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弘前学院大「地域学」発刊終える
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「地域学」発行を終えた弘前学院大学地域総合文化研究所の(左から)川浪亜弥子文学部准教授、笹森所長、西東准教授 |
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弘前学院大学地域総合文化研究所(所長・笹森建英同大学特任教授)が2001年から発行してきた研究誌「地域学」が、3月刊行の「地域学別巻」で発刊を正式に終えた。全国でも先駆けとなる、地域に視点を据えた取り組みだったが、創刊から10年が経過したことを一つの区切りとした。「地域がアイデンティティーを持ち、自立するまでには到達していない」と笹森所長。同研究所は今後新たな本の企画を検討するという。
「地域学」は、地域の根底にある歴史や文化、政治・経済などを多面的に考察し、市民に分かりやすく伝える目的で創刊。年1回のペースで発行してきた。
巻ごとのテーマは設けず、県内外の研究者の論文のほか、同研究所が講演会やパネルディスカッションの内容を紹介。本県ゆかりの陸羯南や新渡戸稲造らにスポットを当てて、思想の今日的意義を浮かび上がらせたほか、ねぷた・ねぶたなどの祭りや方言、津軽三味線といった地域文化を掘り下げてきた。
12年3月発行の第10巻でいったんピリオドを打ったが、次への企画の橋渡しとして別巻を発行。10年に「『陳情』・『口利き』政治と地域主権」、12年に「地域文化と人間の思考」をテーマとして開催したシンポジウムの内容を収録した。
別巻の編集代表を務めた西東克介社会福祉学部准教授は「精神的な豊かさが経済的な豊かさにもつながると思う。そういう考えが、地域を引っ張る大人の社会に理解されることで、真の意味で地域が形成される。地域の政治に踏み込んだシンポジウムで(発刊を)締めくくられたのは意義深い」と強調する。
笹森所長は10年余りを振り返り、「これでいいということではない。日本の社会全体が中央志向から抜けきっていない。政治的にも経済的にも、地域が地域としてのアイデンティティーを持って自立するようにならないといけない」と述べた。
地域学別巻は952円(税別)。県内の書店で購入できる。問い合わせは同研究所(同大学代表、電話0172-34-5211)へ。
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