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2013年4月18日(木) 東奥日報 ニュース



■ 県内リンゴ園雪害調査 農家悲嘆

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完全に裂けた普通樹を切り倒し、処分作業に追われる工藤さん。作業は10日以上遅れている=17日、青森市浪岡銀
 
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地面から高さ1メートルほどの枝がほぼ失われた石岡さんの園地。後ろには折れた枝が積み重ねられている=17日、青森市浪岡女鹿沢
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 県、市町村、農協によるリンゴ園地の雪害合同調査が15日から、県内各所で一斉に行われている。昨年の豪雪を上回る積雪となった津軽地方では、雪解けとともに被害の深刻さが浮き彫りとなってきた。2年続きの雪害に「もう、うんざり」とリンゴ農家。雪害が軽微だった地域でも野ネズミの食害が広がり、農家の経営意欲をそいでいる。市町村担当者は「農家の士気が失われないか心配だ」と懸念を示している。

 17日に行われた東青地区の合同調査。普通樹、わい化樹合わせて約900本弱を植えている青森市浪岡女鹿沢の石岡一彦さん(75)の園地では、わい化樹のほぼすべてに、枝折れ被害が出た。「今年は去年よりひどい。下枝は幹の中心から完全に裂けてしまった。収量がどれぐらい落ちるのか不安だ」と話す。

 昨年の豪雪を教訓に今冬は3回、融雪剤を使ったが、まいては雪が降る繰り返しで効果が乏しかったという。「雪の中から枝を掘り出したかったが、この年だし、体力が続かない。あと何年、(栽培を)続けられるか」

 完全に主幹が裂け再生不能となった木の切断作業をしていた同市浪岡銀の工藤健治郎さん(82)の園地では、7割の樹木が被害を受けた。「雪の重みで主幹から裂けた。こうなると(回復は)無理。もう、うんざり」

 裂開した木は十数本に上る。ボルトや支柱で補強しようにも、直径20センチはある枝の修復作業は、1人では難しい。「若い働き手がおらず、近くの農家は70〜80代ばかり。復旧したくても、できない」。回復の見込みのない木は早く処分しないと、健康な木に病気が広がる恐れがあるが、剪定(せんてい)や枝の片付け作業は、例年より10日から2週間も遅れている。「正直、どうしたらいいか。焦っている」

 16日の西北地区の調査では、東青、中南地区に比べ、雪害は比較的軽かったが、野ネズミの食害が目立った。五所川原市金木の原田瞭さん(85)は「去年植えた苗木がほとんどネズミにやられた。50年以上リンゴ栽培をしているが初めてだ」。

 園地には最深で1.5メートル以上の積雪があったが、雪に潜り込んだ野ネズミに樹皮を食べ尽くされた。樹皮が一部でも残れば再生も可能だが、幹回りを完全に食べられると回復しない。同市金山の農家女性も「新しい苗木を植え替えしても、そのたびにネズミに食べられる。出費がかさむばかりだ」と憤慨した。

 東青地区の調査に加わっていた青森市農林水産部の永澤保弘次長は「農家の今年の雪害の受け止め方が、今までと違っているように感じる」と漏らした。

 浪岡地区の農道を車で走ると、木がすべて切り倒されていたり、剪定作業が全くされていない園地が目に付く。永澤次長は「2年続きの雪害の上、木が完全に駄目になった衝撃も大きいようだ。あきらめた、という印象が強い」と農家の意欲喪失を危ぶむ。

 調査は23日まで。県が、調査園地200地点の被害状況を取りまとめ、5月1日に関係者を集めて今後の対策を協議する。

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