――最後にちょっと大きな話になるんですが、アニメ業界の今後はどうなればいいと思いますか
伊藤:新作アニメの本数が一時期は減ったんですけど、最近また増えていって、それに反比例してパッケージの売り上げは落ちている。では、どう収益を上げるシステムを作れるか。それが課題ですよね。I.Gで湯浅(政明)さんの企画にお金出しませんかというのをやってましたけど(※昨年、I.Gはクラウドファンディングサイトでオリジナルアニメの出資者を募集)、あれに未来はあるのかないのか。制作費を全部を賄えるわけではないけど、可能性はないわけではない。ファンドは失敗してるものもありますけど。叶姉妹のやつとか。
――細田さんの映画「おおかみこどもの雨と雪」は興行収入40億円を突破しました
伊藤:凄い儲かってウハウハに見られてそうですね。でも、おおかみこどもにおいても、あそこ(制作の「スタジオ地図」)は社員の数がいるわけではないですけど、映画のように3年に1本しか動かせないとなるとお金がかかってくる。スタジオ的には楽観視できないと聞いてます。
――3年に一本だと、スタジオジブリみたいに毎回ヒットしなくてはいけない
伊藤:ジブリはもっとも大変ですよね。あそこで1年間映画を作ると人件費だけで数十億かかるとか聞きました。今年宮崎駿さんと高畑勲さんの映画が公開されますが、最低目標が100億円だとかなんとか・・・
――劇場用アニメの監督をやってみたいという気持ちは
伊藤:やってはみたいんですけど。どういうアプローチをすればいいのか分からない。実際、細田さんは映画を作ることだけを目標にテレビの仕事をしていた訳ですから。鬼太郎からアッコちゃん、「おジャ魔女どれみ」の「どれみと魔女をやめた魔女」は最たるもの。でも、俺はそんな気持ちでアニメを作ってないなあと思う。周りの人には「考えすぎだ」と言われるんですけどね。やりたいならやればいいじゃんとか。
――作家気質ではない
伊藤:全然違うと思いますよ。アニメ作品を作るのが楽しい。原作がある場合はよいところをアニメにしたときに元以上に出してやりたいという思いで作っているます。映画に関しても、面白い題材とかあるんですけど、いざやるときにはどういった戦い方があるか考えちゃうんですよ。面白い面白くない以前に。こうすると力を発揮できるやり方があるんじゃないかと。根本的にシステム好きなんですね。もしかしたらプロデューサーの役割かもしれないんですけど、監督もそれを気にかけたほうがいいと思っているので。だから野球監督とかサッカー監督のインタビューが面白いんですよ。人をどう使うかとか。ためになる。「Number」の監督特集とか。それを参考にしているアニメ監督は意外といないんじゃないかな。監督だとサッカーのモウリーニョ(現レアル・マドリード監督)は面白いですね。モウリーニョの弟子のビラスボラス(現トットナム監督)がモウリーニョと同じチェルシーでプレミアに初挑戦したときはちょっと自分を投影していました。
――伊藤さん自身は細田さんと比較されることについてはどう思ってます
伊藤:光栄ですけど、違う人間なのだから。そもそも比較されるのもおこがましいですよ。時々オマージュ的なことをやっているのは笑って許してよと。そんなことは言えますけどね。どっちかというと、俺はより下世話な人間ですよ。より娯楽向け。東スポさん寄りです(笑)
――オカルトも描いたし、あとはエロをやれば完璧に東スポ(笑)
伊藤:残念ながらそういう仕事がこないんですよね。(東スポの男セン面を見ながら)あっ、ティアだ!ティアはいいですよねー!!デビュー作と次の作品を見ましたよー。かわいいですよねー…(以後は延々と記者とAV談義となったため割愛)【了】
☆いとう・ともひこ=1978年、愛知県生まれ。大学時代からサークルでアニメ制作を行い、卒業後「マッドハウス」を経て、現在はフリー。2010年に「世紀末オカルト学院」で監督デビュー。7月には監督第3弾作となる「銀の匙 Silver Spoon」がスタートする。
あの「機動戦士ガンダム」が遂にパチンコ台となって登場! 人気ライター・かおりっきぃが、話題のこの台を徹底解剖する。 勝利の栄光をつかみたい君は、必ずチェックしよう!! (C)創通・サンライズ
本紙でもおなじみの競馬評論家の清水成駿や本紙虎石、血統評論家水上学&〝生ける伝説〟安藤勝己元騎手が参戦!「東スポ@競馬 春のGⅠ大討論会 安藤勝己も登場with競馬ラボ」がニコニコ生放送された。春のGⅠ戦線を心から楽しみたい競馬ファンは絶対にチェック。