そんな日本人のおかげで、ステファニーも輪をかけて地元ニースに詳しくなってきている。
「ニースで生まれ育ったので、この市についても近郊についても、もう十分知っていると思っていました。でも案外知らないことがあったり、参加していないイベントもまだあったりで、今も新しいニースを発見しています」
語学力を生かして、通訳やコーディネーターにも挑戦
ステファニーは正社員として働いて3年、社長になって2年が過ぎた。今述べたように穴場や新しい情報には常に目を向けているが、主要観光案内は手順も説明内容も完璧にできる。旅行業とは少し趣が違う通訳や、日本の雑誌・テレビのコーディネートも始めたのは、少し刺激をと思ったためだ。
「難しいことに挑戦したいと思いまして。通訳は入念な準備が大変ですね。最近では、2月にモナコで初めて開催された漫画のイベントで通訳を引き受けました。とても大変でした。でも、あまり通じていない漫画の世界について学べて楽しかったですし、特別な単語も学べて得るものが大きかったです。コーディネートの方は、とくにテレビ番組の場合、かなり特定のテーマになることが多いため、そのご希望に沿うよう綿密に調べます。
いずれも達成感がとても大きいです。いろいろな職業の方たちと知り合えるのも、日本の事情にもっと詳しくなれるので本当にうれしいことです」
「まさか私が社長に!」――日本語好きから、天職の観光ガイドへ
日々の仕事について、ステファニーは生き生きと話す。日本人と関わる仕事に携わって、本当にうれしそうだ。こういう姿を天職に就いているというのだなと、しみじみ思った。
けれど、ステファニーは観光ガイドになりたいとはまったく思っていなかった。ましてや、旅行会社の社長になるなどとは、頭をかすめたことさえなかった。ずっと前に一度、写真家のためにニースを案内したことがあったが、町案内という職業への興味はわかなかった。目指していたのは、フランス人に日本語を教える仕事だった。
「私が日本語を学び始めたのは高校生のとき、15年以上前です。そのころは漫画がまだフランス語に訳されていなかったし、日本食も和のインテリアも南フランスでは流行っていませんでした。私自身も芸者のことを知っていた程度でしたし。
今は変わりましたね。漫画本屋さんで立ち読みしている人もいるくらいです。日本人はいい人たちだというイメージも広がっています。日本を訪れたり、日本語を学んだりする人が増えたのがはっきりと分かります」
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