円安にもかかわらず、輸出数量の
対前年比マイナスが続く
GDP統計は有用な統計であるが、タイムラグがある(2013年1−3月期の第1次速報が発表されるのは、5月16日)。
そこで、もっと最近の状況を把握するために、タイムラグがより短いデータを見ることが必要になる。タイムラグがもっとも短いのは、貿易統計だ。
貿易統計では、数量指数と価格指数が算出されている。数量指数は、実質輸出や実質輸入に近い。価格指数は、現地価格と為替レートに影響される。原油や食料品などを除けば、現地価格はそれほど大きく変化しないので、1年程度の期間を見ているかぎり、価格指数はほぼ為替レートの動きを反映していると考えることができる。
輸出数量指数の推移を見ると、図表4のとおりだ。
12年6月以降、対前年比マイナスだ。13年2月は、対前年比-15.3%ときわめて大きい。円安にもかかわらず、輸出数量は落ち込んでいるのである。
3月上中旬は、輸出金額の対前年比が1.9%。価格指数は20%程度のはずなので、数量の対前年比はマイナス18%程度のはずだ(速報値は4月18日に発表される)。
なお、JETRO(日本貿易振興機構)が算出する「ドル建て輸出額」は、数量指数に近いものだ。
13年2月は、前年比マイナス18.3%と、きわめて大きな落ち込みだ。
この原因として、今年は春節(旧正月)が2月だったことの影響があると言われる。実際、対中輸出の対前年比は、1月に-9.2%だったが、2月には-29.2%となっている。
ただし、寄与率で見ると、2月には、中国-5.4%、北米-2.4%、欧州-2.7%などだ。北米、欧州だけで-5.1%になる。つまり、落ち込んでいるのは中国だけではないのである。