ここ数年の季節調整済み実質GDPの需要項目別の推移(対前期伸び率の年率換算値)を見ると、図表1に示すとおりである。
まず注目されるのは、輸出の変動が、経済全体の変動に大きな影響を与えていることだ。より詳しく見ると、つぎのとおりだ。
リーマンショック後の2008年10−12月期、09年1−3月期に、実質輸出は、それぞれ-45.3%、-68.8%というきわめて大きな減少を記録した。実質GDPが落ち込んだ大きな理由は、このように輸出が急減したことだ。
その後、輸出は高い伸びで増加した。落ち込んだことの反動もあるが、それだけではない。
実質輸出の実額を見ると、単なる反動とは言えないことがよく分かる。図表2に見るように、10年10−12月期(4Q)まで、実額が増加し続けたのである。これは、主として中国への輸出が増大したからだ。そしてこれは、中国が強力な景気刺激策をとったからである。
この時期には顕著に円高が進行したにもかかわらず、このように輸出が伸びたことに注意が必要だ(ただし、実質輸出が経済危機前のピークを回復することはなかった。これは、経済危機前の輸出が、アメリカの住宅バブルに支えられたものだったからだ)。
輸出が増加したため、GDPの伸び率も高まった。09年10−12月期(4Q)から10年7−9月期(3Q)にかけては、とくにそれが顕著だった。
ところが、大震災後に輸出が急減し、これがGDPのマイナス成長をもたらした。その後回復したが、12年7−9月期から、実質輸出が再び大きく減少した。