現場から:放射性物質含む廃棄物、悩む自治体 行き場を失う焼却灰=高橋直純、山田麻未 /神奈川
毎日新聞 4月13日(土)11時36分配信
川崎市は震災後、ごみの焼却で生じた主灰(しゅばい)(燃え殻)の海面埋め立ては続けたが、より放射性物質が濃縮される飛灰(ひばい)(ばいじん)は11年7月から、下水汚泥焼却灰は同年5月から、コンテナに入れるなどして浮島地区で一時保管を続けた。
国が海面埋め立てに関する明確な基準を示さない中、市は国立環境研究所との共同研究などを基に昨年11月、国の基準(排水1リットルあたり75ベクレル以下)より厳しい、排水1リットルあたり10ベクレル以下とする独自基準を設けた。さらに放射性物質の流出を防ぐ鉱物を散布する施設なども導入。ごみ飛灰は対策が整ったとして、海面埋め立てを今月中旬から開始することを決めた。埋め立て地の排水の濃度は1リットルあたり3〜4ベクレル程度を予想している。
ただし、埋め立て対象は、今後新たに発生する飛灰のみ。これまで保管してきた飛灰や下水汚泥焼却灰については、最大で1キロ当たり1万3200ベクレルを検出するなど放射性物質の濃度が高いため、引き続き処理方法を検討している。
飛灰の埋め立て処理開始に当たっては、周辺の企業や町内会長に個別に説明をしたほか、今後も要望があれば説明会を開催するとしている。
◇横浜市は埋め立て計画凍結−−その他
横浜市は県内で最も多い2万2800トンの下水汚泥焼却灰を保管している。11年9月に下水汚泥焼却灰(1キロあたり最大6468ベクレル)を南本牧廃棄物最終処分場(中区)へ海面埋め立てする方針を示したが、港湾関係者や地元住民らの反発で計画は凍結されたまま。ごみ焼却灰については、当初から主灰だけでなく、飛灰も原発事故前と同様に海面埋め立てを行っている。
陸地に管理型処分場を持つ県内の多くの自治体は、震災後も変わらず埋め立て処分を行っている。ところが民間業者に埋め立てや再利用を委託している自治体は、11年11月に国の基準が示されるまでは受け入れを拒否されたところが相次いだ。県が管理する下水処理場4カ所では、最大で計5300トンの汚泥焼却灰がたまったが、12年1月から処理業者による受け入れが再開され、現在は相模川流域2カ所の3860トンにまで減少した。
最終更新:4月17日(水)17時31分