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【与那国】与那国町は自衛隊配備計画を進める国に対し、「迷惑料」として約10億円を要求し、交渉が難航している。額の根拠は、防衛省が2012年度に計上した予算10億円。しかし、この中には用地取得のほか調査費などが含まれており、国が町に示したのは、町有地の売買で1億円程度、賃貸料だと年間500万円程度。町は「町民は10億円が用地取得費と考えている。年間500万円では到底納得できない」と述べ、国と交渉を進める方針だ。(八重山支局・新崎哲史)
用地交渉では、買い上げと賃貸の両面で調整を進めていたが、町側は「町内外から『先祖伝来の土地を売らないでほしい』との要望があった」として、賃貸の方針を固めていた。
賃貸料では、国が町有地約20ヘクタールを農地として算出したのに対し、町は「今は農地でも、売却後は施設が建つので宅地計算すべきだ」と主張し、年間1200万円を要求。この額でも国と差が出ている。
20日に左藤章防衛政務官と交渉した外間守吉町長は「狭い島の中、誘致賛否の議論をしている。多くの町民が納得する対価が必要」との“特殊事情”を強調し「迷惑料」の支払いや賃貸料で譲歩するよう求めた。
面談後、配備計画への影響について「遅れる可能性はあるが、自衛隊誘致を容認した立場なので白紙撤回は考えていない」と述べる一方、「要求に見合わない額なら私は島民から『国賊』扱いされる。国の提示額をみて、強い姿勢で交渉していきたい」と強調した。
一方、誘致反対派は「今まで『経済振興』のためと誘致を進めていたのに、迷惑料を言うのはおかしい」と指摘。反対する町議は、開会中の町議会定例会の一般質問で追及する姿勢を示している。