雅子さま 11年ぶり外国公式訪問へ4月17日 17時59分
皇太子ご夫妻は、オランダの新しい国王の即位式に出席するため、今月28日からオランダを公式訪問される見通しとなりました。
雅子さまの外国への公式訪問は11年ぶりで、療養生活に入られて以降では初めてになります。
オランダでは、今月30日にウィレム・アレキサンダー皇太子が新しい国王に即位する即位式が行われますが、関係者によりますと、オランダ王室からの招待を受けて皇太子さまと雅子さまが、そろって出席される見通しとなったということです。
療養中の雅子さまの出席については、ぎりぎりまで検討が続けられてきましたが、訪問は可能だとする医師団の最終的な判断を受け、皇太子さまと雅子さまが話し合って決められたということです。
雅子さまが外国を公式訪問するのは、平成14年にニュージーランドとオーストラリアを親善訪問して以来11年ぶりで、療養生活に入られて以降では初めてになります。
ご夫妻は、今月28日に政府専用機で羽田空港を出発してオランダの首都アムステルダムに入り、現地時間の30日午後、新教会で開かれる新しい国王の即位式に出席したあと、ダム王宮で行われる記念撮影や簡単なレセプションに臨まれる予定です。
この前日にベアトリックス女王の主催で開かれる晩さん会や、30日の夜に開かれる王室主催の晩さん会など、即位式の前後に予定されている関連行事については、皇太子さまは出席され、雅子さまは体への負担を考慮して慎重に判断される見通しです。
ご夫妻の帰国は来月3日になる予定です。
雅子さまは、公務と子育てによる疲れから体調を崩し、9年余りにわたって療養を続けられていますが、医師団は病状は着実に回復し、徐々にさまざまな活動に取り組めるようになってきていると説明していました。
雅子さまの病状
雅子さまは愛子さま出産の2年後に体調を崩し、その後、9年あまりにわたって療養を続けられてきました。
雅子さまは40歳の誕生日を目前にした平成15年12月、「帯状ほうしん」と診断され、数日間、宮内庁病院に入院されました。
退院からまもなく、宮内庁は雅子さまに公務と子育てによる心身の疲れが見られるため、翌年の春ごろまで公務を控えて静養されると発表しました。
雅子さまは医師の勧めで1か月間、長野県内の親族の別荘で静養するなど回復に努めましたが、体調は大きく変わらず、春以降も静養を続けられることになりました。
雅子さまはストレスのため周囲の環境にうまく適応できなくなる「適応障害」と診断され、7月には宮内庁が病名を公表しました。
静養は年内いっぱい続きましたが、翌年になると雅子さまは少しずつ公務を再開し、7月には皇太子さまと愛知県を訪れ、「愛・地球博」の会場を視察されました。
しかし、その後も体調に波があり、活動のあと疲れが残る状態が続いたため、続けて公務に臨まれるのは難しく、外国へのお出かけも静養を目的とした平成18年のオランダ訪問を除いてはかないませんでした。
雅子さまに回復のきざしが強まった3年前には、治療にあたっている医師団が詳しい見解を公表しました。
この中で雅子さまの病状について、活動の幅が広がり公務への出席も徐々に増えるなど、治療を始めた頃に比べ大きく改善していると表現されました。
一方で、公式の日程が続く外国への訪問については、まだ負担が大きすぎるという見方も示されていました。
ぎりぎりまで続いた訪問検討
療養中の雅子さまは王室の招待にこたえてオランダを訪問できるかどうか、皇太子さまや医師らと相談しながらぎりぎりまで検討を続けられました。
宮内庁などによりますと、先月1日に外交ルートを通じて「新国王の即位式に皇太子ご夫妻を招待したい」というオランダ側の意向が伝えられました。
そのおよそ1週間後、皇太子さまとアレキサンダー皇太子が水と災害に関する国際会議に出席するためニューヨークで顔を合わせた際には、直接、出席の要請がありました。
雅子さまは飛行機での長時間の移動や重要な公式行事の出席に伴う体への負担について、皇太子さまや治療にあたっている医師らと相談を重ね、訪問が可能かどうか検討を続けられました。
当初、「3月上旬までに回答してほしい」としていたオランダ側は、検討に時間が必要だという宮内庁の説明に理解を示したということですが、今月1日、ご夫妻あてに正式な招待状が届いたあとも、雅子さまの出席について結論が出ない状況が続きました。
即位式が行われる今月30日が近づくなか、宮内庁の風岡長官は先週行われた定例の記者会見の席で「オランダ側の準備や閣議の手続きもあるので、一刻も早くお決め頂く必要がある」などと述べていました。
これまでの外国公式訪問
皇太子ご夫妻はこれまでに5回、お二人で外国を公式訪問し、10か国を回られています。
最初の訪問はご結婚の翌年の平成6年でした。
11日間の日程でサウジアラビア、オマーン、カタール、バーレーンの中東4か国を回り国際親善に努められました。
続く訪問先も中東で、平成7年1月、クウェート、アラブ首長国連邦、ヨルダンの3か国を歴訪されました。
ご夫妻は出発の3日前に発生した阪神・淡路大震災の被害の大きさに配慮して、日程を2日間繰り上げて帰国されました。
4年後の平成11年2月、ご夫妻は再びヨルダンを訪れて、国王の葬儀に参列されました。
また、同じ年の12月にはベルギーを訪れ、日本の皇室を代表してフィリップ皇太子の結婚式に出席されました。
5回目の公式訪問は、愛子さまが生まれた翌年、平成14年のニュージーランドとオーストラリアへの訪問でした。
ご夫妻は小児病院を視察して病気とたたかう子どもたちを励ますなど、9日間で6つの都市を回り親善に尽くされました。
しかし、平成15年に雅子さまが体調を崩し療養を始められて以降は、皇太子さまが17回にわたる公式訪問を一人で務められてきました。
この間、雅子さまが外国を訪れたのは、平成18年に愛子さまを含むご一家で静養のためオランダを訪問された1度きりでした。
オランダ王室と皇室
オランダでは、ことし1月、ベアトリックス女王が、75歳の誕生日を迎えるのを前にテレビ演説で退位することを発表し、123年ぶりとなる男性の国王の誕生に注目が集まっています。
オランダ王室は皇室と親密な交流があり、平成3年にベアトリックス女王がオランダの元首として初めて日本を公式訪問し、平成12年には天皇皇后両陛下がオランダを公式訪問されています。
また、平成14年には皇太子さまがアレキサンダー皇太子の結婚式に参列されたほか、平成18年には皇太子ご一家が王室の招きで静養のためオランダを訪れ、女王や皇太子の家族らと交流を深められています。
皇太子さまは、アレキサンダー皇太子と協力して世界の水を巡る問題に取り組んでいて、先月、ニューヨークの国連本部で開かれた水と災害に関する国際会議ではそろって基調講演されています。
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