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銀座で罪人の気持ちにせまる八丁堀を遠回りした罪人一行は、京橋から東海道に入り、その後はそのまま南下し、三田のすこし先、札の辻まで進む。
現在の地図で言えば、中央通りを南下し、銀座を通り抜けるかたちになる。 より大きな地図で 市中引き回しルート図 を表示 銀座四丁目にやってきた
いよいよ、銀座四丁目にやってきた。なにがいよいよなのかよくわかないが。とりあえず、シチューはかき回しておきたい。 はいっ
さすが東京屈指の繁華街、平日にもかかわらず人どおりが半端ではない。
ひと目を避けながら自転車のカゴからさっと鍋を取り出し、サッとかき回す。別に悪いことしてるわけではないのだけど、なぜか腰が引けてしまう。 目の前のひとたちは「市中引き回しとシチューかき回し」というダジャレを知らないから、みな一様に視線が冷たい。(知ってても冷たいかもしれないが) 目の前はこのありさま
確かに、ぼくだって三越のライオンの前で、シチューをもったおっさん二人組が写真を撮り合っていたら冷たい視線を投げかける。
冷たい目線、ごもっともでございます、それ正解。 もう矢でも鉄砲でも持って来いという心持ちだ。 またひとつ、衆目にさらされる罪人の心情に近づけたのではないだろうか? 近づいたとしても特になんの感慨もないけれど……。 ついにシチューを食べる。店の。「シチュー」というダジャレにちなんで銀座までやってきた。せっかくなのでここは前からきになっていた店へ行っておきたい。「銀之塔」というシチュー専門店だ。
蔵のような建物だ
市中引き回しのルートからは若干ずれるが、先日完成したばかりの歌舞伎座のほど近くにある。
市中引き回しの罪人は、今生との別れとなるため、お上のお情けとして幾らかのお金が罪人に渡され、引き回しの途中、希望すればお酒やたばこを買うことができたらしい。それにくらべれば、とくに罪人でもない我々は、ルートからちょっと外れてシチュー屋に立ち寄り、シチューに舌鼓を打つぐらいのことは多めに見てもらえるだろう。 作ってきたシチューは自転車のカゴに隠して店に入る
銀座のシチュー専門店「銀之塔」は昭和30年創業の老舗シチュー専門店だ。メニューはシチューとグラタンしかなく、パンではなくご飯がついてくるのが特徴だ。ビーフとタンのミックスシチュー2500円を頼む。
泡がボコボコでてる
しばらくすると、地獄みたいなグツグツした状態のシチューが運ばれてきた。 じゅうぶんに冷えてから、シチューの中の肉を食べてみる。 うんめー
……タンもビーフも噛むまえ舌の上で崩壊するほど柔らかい。柔らかい食べ物を求め続けた人の叡智が生み出した最終回答のような肉だ。
さらに中に入っている根菜も同じ形に切りそろえられていて、手が込んでいる。 にんじんとじゃがいもの形がかわいい
とってもおいしかったので、店の前でシチューをかき回させてもらった。
かき回し入りましたー
林さんも「3000円ぐらいなら、飲みに行くの一回がまんして、こういう店でちょっとぜいたくなもの食べるのもいいなぁ」と、ついマジメな感想をいってしまうほど満足していた。
いっきに札の辻まで行きます銀座で寄り道したシチューかき回し一行は、自転車で次の目的地、札の辻交差点までいっきにむかう。
銀座から札の辻までは一本道なのでわかりやすい
自転車をこぐこと約20分ほど。札の辻交差点に到着した。
自転車だからはやい
札の辻。東京にお住まいの方でもあまりなじみのない地名かも知れない。
三田のすこし先で泉岳寺までは行かない。という微妙な位置にある。
むかし、お触書などが書かれた高札が掲げられた場所であったため、「札の辻」と呼ばれるようになった。 このあたりは、東海道から江戸に入ろうとすると、ちょうど江戸の町の入口にあたるところだったのだ。 「江戸とは別のまちといった感覚だったのではないだろうか?」
「札の辻よりもっと先にある品川は、今はすっかり東京の市街地に取り込まれてしまっているが、むかしは日本橋の次の宿場町だったわけで、江戸とは別のまちといった感覚だったのではないだろうか」と、いうようなことを、シチューかき回しながら言っていると思っていただけると幸いです。
昔の道が残っているところここからは札の辻から折り返すように北に進む。
タワーをバックにシチューかき回し
ところで、ルート図をみてみると、ちょっと不思議な道があった。
より大きな地図で 市中引き回しルート図 を表示 道が太い桜田通りからわざわざ細い道に入り込んでまた太い道に出ているのが見て取れると思う。ちょうど霊友会釈迦殿前のかぎ型の道がそれだ。
この建物の前の道
そう、これはみなさんご想像の通り、江戸時代の道がそのまま残っている場所だ。
古地図をみてみると、たしかにかぎ型になっている。「西クホ」というのは隣の西久保八幡神社のことだろう。 矢印のさきのかぎ型の道がそのまま残ってる
しかし、残念なことに、これは家に帰ってから地図をみて気がついたので、現地でシチューはかき回し忘れた。
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