ディッシュのスプリント買収案、米当局審査で有利の可能性
4月16日(ブルームバーグ):ソフトバンクに対抗して米2位の衛星テレビ会社ディッシュ・ネットワークが携帯電話サービスで米3位のスプリント・ネクステルに提示した買収案は、海外企業が関与していないことが米当局の承認を受ける上で有利に働く可能性がある。アナリストらがこうした見方を示した。米当局は携帯電話サービスの競争促進に努めている。
ディッシュのチャーリー・アーゲン会長は15日、スプリントに255億ドル(約2兆4900億円)での買収を提案したと発表。ソフトバンクは昨年10月、スプリントの株式70%を約200億ドルで取得することで合意したが、ソフトバンクが中国製サーバーを使用していることが米の安全保障上のリスクとなるかどうかをめぐり米当局や議員から精査を受けている。
FTIコンサルティングのマネジングディレクター、ビル・バーコウィッツ氏はインタビューで、アーゲン会長の提案には「米司法省がソフトバンクの潜在的懸念をめぐり指摘した明らかな安全保障・公衆安全上の問題の一部」は存在しないと述べた。
ディッシュの買収案は米外国投資委員会(CFIUS)による審査を必要としない。CFIUSは海外企業が米国企業を買収する際、安全保障面への影響を調査する。
ディッシュのアーゲン会長は「米連邦通信委員会(FCC)の審査では、恐らく2つのスプリント買収案はいずれも問題はないとみているが、司法省の審査では当社が有利なのは確かだ。当社はCFIUSの審査を受けない。米国企業である当社との間に問題は生じない」と説明した。
司法省のジーナ・タラモナ報道官とFCCのニール・グレース報道官はいずれもコメントを控えた。
当局は歓迎かソフトバンクの買収案と同じく、ディッシュの買収案も実現すれば米携帯電話サービス市場で1、2位のベライゾン・ワイヤレスとAT&Tに挑むスプリントの潜在能力を押し上げるとみられる。
ポトマック・リサーチ・グループのシニアアナリスト、ポール・グレンチャー氏はインタビューでディッシュの買収案について、「当局は概して歓迎するだろう」とした上で、「AT&Tやベライゾンとの競争促進につながると判断されれば、案件の前進を望むはずだ」と説明した。
原題:Dish-Sprint Without Foreign Buyer Baggage Would Find U.S.Favor(抜粋)
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更新日時: 2013/04/16 14:51 JST