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国際
【正論】東京基督教大学教授・西岡力 金正恩氏は不安な「カダフィ」か
国連や日米韓などによる経済制裁で、朝鮮労働党管理下の秘密資金が枯渇しだし、1990年代以降、首都警備部隊や特殊部隊以外の軍は、食糧や装備を自ら調達せよとの指示を受け、軍団ごとに外貨稼ぎに走っている。正恩氏の叔父で全体のお守り役、張成沢氏らが、金日成生誕行事への外貨供出を命じたところ、軍が出し渋ったため、外貨獲得事業を政府に強制移管する措置が取られ、不満グループの中心人物として李英浩氏が任を解かれたというのだ。
金正恩政権は、軍の事実上のトップである総政治局長に軍歴のない崔竜海氏を据えた。奇襲武力挑発やテロを専門とする偵察総局長の金英哲氏を前面に出し「言葉の戦争」だけを仕掛けているようだ。兵士の食糧にも事欠く現状ではとても戦争などできないというのが、軍幹部多数の本音だろう。
《脅しに恩恵与えてならぬ》
大多数の国民はこの20年、政府に頼らず闇商売で糊口を凌(しの)いできた。韓国が自由で豊かなこと、中国が共産党政権下でも改革開放政策の結果、驚異的に経済発展していることは国民に広く浸透している。彼らの体制への忠誠心はとっくに薄れ、逆らえば家族連座制で殺されるか収容所送りにされるという恐怖感で、体制は維持されている。昨年末頃から正恩氏の警備が厳しくなったのは、不満勢力が存在している証左だろう。
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