4月15日、中国国家統計局が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は前年比7.7%と、第4・四半期の7.9%から鈍化した。遼寧省瀋陽で2日撮影(2013年 ロイター) |
[北京 15日 ロイター] 中国国家統計局が15日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は前年比7.7%と第4・四半期の7.9%から鈍化し、市場予想の同8.0%を下回った。鉱工業生産、固定資産投資の伸びが鈍化し、アナリストに通年のGDP予想の引き下げを促す内容となった。
多くの投資家は第1・四半期の流動性拡大や輸出の伸びを受け、7四半期連続の景気減速に歯止めが掛かった第4・四半期から再び回復が加速し、コンセンサス予想を上回る可能性があると予想していた。
ING(シンガポール)のアジア経済リサーチ責任者、ティム・コンドン氏は、ロイターに対し「第1・四半期に大量の流動性が供給されたのもうなずける。鉱工業生産が予想以上に弱く、これがGDP低迷の原因となった」とし、「今後、GDPの市場予想が下方修正されるだろう。当社も予想を見直す」と述べた。
RBSは2013年の中国GDP伸び率予想を、データ発表前の8.4%から7.8%に引き下げた。
RBS(香港)の中国担当チーフエコノミスト、Louis Kuijs氏は顧客向けノートの中で「2013年の初めが弱かったことと、第1・四半期の伸び率が前期比で予想を下回ったことが要因」と指摘した。
GDPが前期比で鈍化したことへの懸念は他のエコノミストも共有しているが、国家統計局のSheng Laiyun報道官は記者会見で、そのような懸念は根拠がないとし、「中国経済のファンダメンタルズは変わっていない。われわれは今後の成長を確信しており、今年の成長率目標の達成を楽観している」と述べた。
GDP統計発表後、原油から銅、小麦、トウモロコシまであらゆるコモディティ(商品)相場が下落。株式市場や豪ドルも下落した。
世界銀行がこの日、2013年の中国GDP伸び率予測を0.1%ポイント引き下げ、8.3%としたことも、世界的に第1・四半期の経済指標が改善していることが中国の景気回復を後押しするとみていたエコノミストにとって、さらなる打撃となった。
GDPと同時に発表された3月の中国鉱工業生産は前年比8.9%増加した。ロイターがまとめた市場予想の10.0%増を下回った。
1─3月の固定資産投資は前年比20.9%増。市場予想の21.3%増を下回った。
3月の電力生産が前年同月比2.1%増と半年ぶりの低い伸びとなったことや同月の粗鋼生産が1日当たり3.2%減少したことも、経済活動の鈍化を示す兆候と受け止められた。
3月の小売売上高は前年比12.6%増。市場予想は12.5%増だった。
第1・四半期のGDP統計では国内消費の寄与度が4.3%ポイントと最大だった。資本形成は2.3%ポイント、輸出は1.1%ポイント、GDPに寄与した。
ただ、国内消費の大部分を構成するのは建設で、経済活動は依然として投資支出に大きく依存している。
GDPは鈍化したものの、1─3月の不動産投資は前年同期比20.2%増加、1─3月の不動産販売も前年同期比61.3%増となり、当局が懸念する持続不可能な住宅価格上昇が現実味を帯びてきたことが示された。
アナリストは、不動産市場の過熱が金融引き締めにつながることを懸念しているが、一部のエコノミストは第1・四半期のGDP伸び率鈍化を受け、その可能性は低いとの見方を示している。
UBS(香港)のエコノミスト、TAO WANG氏は「これが緩やかな成長の転換点とは思えない。回復は恐らく遅れているものの、なお見込める」と指摘。「政策が大幅に引き締められることは見込んでいない。また特にこの数値では、政策は引き締められず、極めて緩和的な政策が維持されるだろう。政策は既に極めて緩和的な状態で、(一層の)緩和が行われないことを願う」と語った。
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