2013.4.16 TUE
自閉症について学ぼう
4月2日は「世界自閉症啓発デー」だった。現在でも自閉症にまつわる誤解や思い込みは多い。例えば、新3種混合ワクチンは自閉症の原因ではない。一方、自閉症の人が増えているのは事実だ。啓発デーを機会に、この障害について学ぼう。
TEXT BY CATERINA VISCO
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI
WIRED NEWS (ITALIAN)
PHOTO: Kid photo from Shutterstock
4月2日は「
自閉症啓発デー」で、世界中の多くの建物が
青でライトアップされた。他人と交流をもつことが大変な人々がいることを意識するためだ。自閉症は脳組織の発達障害で、その罹病率は増加し続けている。新生児の約150人に1人がこの障害にかかり、特に男児が多い(4:1の割合)。
自閉症という名称は、この病気の多種多様さを適切に表現していない。特に、心の健康に関するあらゆる障害の参照マニュアルとなる『
精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSM)』の新しい第5版に従うとなおさらだ(参考:
精神疾患のマニュアルが改訂:病気の定義とは )。
ローマのジェズ・バンビーノ小児医療センターの児童精神医学者、ジョヴァンニ・ヴァレーリはわたしたちにこう説明する。「新版では、自閉症スペクトラム障害の名前のもとに、以前は自閉症、アスペルガー症候群、レット症候群、
小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害の、5つの異なるカテゴリーに分類されていた一連のすべての病状が集められました」。
『DSM』第5版は、まずこの自閉症スペクトラム障害の総合的な診断のために、さまざまな指標を提供して(社会性障害、コミュニケーション障害の重さ、言語能力、反復行動の存在とその類型、知的障害、関連する病気など)、そのあとで非常に詳細な病状を定義している。こうすることで、現在用いることのできる10〜15の処置モデルの最良の組み合わせを選択することが、より簡単になるはずだ。これらのモデルは、2011年の保健高等研究所(Istituto Superiore di Sanita)の
ガイドラインにあるのと同じものだ。
実際、もしこうした障害がまだ医学的に多くの謎を残しているにしても、数多くの研究や調査のおかげで、現在では多くのことが判明している。そして著しい改善を可能にする、さまざまな手段が開発された。しかしいまでもたくさんの間違った伝説や思い込み、偏見が残っていて、自閉症スペクトラム障害をもつ人々の生活を困難なものにしている。ヴァレーリ医師の助けを借りて、いくつかのことをはっきりさせておこう。
1. 自閉症の原因はわからない
原因となる要素の根本的な部分は判明しており、例えば高血圧のようなほかの病気よりも、わかっていることは多い。ずっと以前からわかっているのは、遺伝が重要な要素となっていて60〜80%の割合を占めていることだ。しかし自閉症の遺伝子は存在しない。10ほどの遺伝子が関係していて、互いに相互作用しているのだ。いずれにせよ、遺伝的脆弱性が常に存在している。
さらに、遺伝的要因と並んで重要な要因となっていることが証明されているのは、受精時の父親の年齢が高いこと、妊娠後最初の3カ月間でのウイルス感染、サリドマイドやバルプロ酸のような薬品の摂取、早産、分娩前後の傷害で、これらが残りの20〜40%の要因となる。
2. ワクチンが自閉症を引き起こす?
麻疹、流行性耳下腺炎、風疹の新3種混合ワクチンが関係しているというのはデマだ。最近また騒ぎになったが、過去に何度もはっきりと否定されてきた。疑惑は、イギリスの
消化器医アンドリュー・ウェイクフィールドの研究の結果から生まれたが、これはのちに途方もない虚偽であることが判明した。
この説は、製薬会社だけでなく公的研究機関が行っている多くの研究が否定しており、さらには日常的な臨床経験もある。自閉症スペクトラム障害の診断は、ワクチンを受けていない子どもにも下されているのだ。まさに、両親がこの種のデマを恐れて子どもにワクチンを受けさせなかった場合にも。ワクチンと関係がないことについてもっと知るには、
ここや
ここや
ここを読んでみるといい。
生物学的症状はなく、行動症状のみなのか?
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