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自閉症について学ぼう

 
 
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TEXT BY CATERINA VISCO
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI

WIRED NEWS (ITALIAN)



6. 他者の感情を理解しない

部分的には事実だ。自閉症の人は幸福や悲しみ、怒りのようなすべての基本的感情を感じ、認識することができる。これに対して、恥や困惑のようなもっと複雑な感情については、非常に苦労する。これは、彼らが異なる「精神化」の能力をもっていることにも起因する。これは、他者に精神状態を割り当てる能力のことで、つまり他者が何を望んでいるか、考えているか、感じているかを見抜くことだ。

さらに、自分自身を言葉で表現するのが事実上困難な人が多い。この能力を決して回復できないこともある。このため、彼ら自身が感情を有していないと思われてしまう。これは間違いで、最終的には、感じていることを表現するのに別の方法を見つける人が多い。


7. 友人を欲しがらない、つくることができない

自閉症スペクトラム障害の人は、相互的な社会関係を確立する能力に障害をもち、一般的に少なくともある程度の間は、彼らは人と交流することにあまり関心をもたない。しかし、孤独の欲求もみな同じではない。この意味では、少なくとも3つの異なる患者のタイプに分類される。

孤独型は、他者との交流や接触に関心をもたない。受動型は他者、例えば遊んだり交流したりする同年代の子どもを観察して、加わりたいはずだけれどもどうすればいいかわからない。だいたい、中国にいる西洋人が会話に加わりたいと思うけれども言葉がわからないときのようなものだ。そして奇矯型はひとりで完結しているようだが、特定の特徴、例えばメガネや赤毛の人を見ると、触ったりかかわったりしようとする。


8. みな「レインマン」のように天才なのだろうか?

この思い込みを否定するには、自閉症スペクトラム障害の人々の50〜60%は重大な認知障害、いわゆる知的障害をもつというデータだけで十分だろう。残りの50%の事例においては、大部分は100前後の中程度のIQをもち、大部分の人々と同じだ。さらにIQ140もあるような非常に知性の高い人や、もう少し才知の劣る人も一定の割合いる。自閉障害をもたない人の場合とまったく同じだ。


9. 不測の事態に対応できない

これは事実だ。そしてこのために治療の多くは、起きるであろう事柄を予測する能力を向上させることに力を注いでている。例えば、もし両親のひとりが、子どもが診察のために病院に行くときにパニックになることを恐れるなら、起こるだろう事柄を何枚かの絵で語って聞かせることがときとしてアドヴァイスされる。クルマや診察室での医師の診察、そして家に帰るまでについて、子どもに準備させる。これで十分パニックを避けることができる。

大人になってからは、ほかの解決法を見つけなければならない。人によっては、社会的な状況のフィルムライブラリーをつくることもある。ヴィデオを通して、これから起こるだろうとわかっていること(友人との夕食、仕事の会合、医師の診察)に対応する準備をする。


10. 肉体的な接触や、視線を直接交わすことに耐えられない

肉体的な接触を完全にであれ部分的にであれ拒否することは、一部の患者の場合のみ事実で、反対になでられたり、可愛がられたり、くすぐられたりするのを非常に好む人もいる。反応は個人的なものであり、視覚的なコンタクトもこれと同じだ。居心地の悪さやストレスの原因になる可能性のある人もいれば、単に目を介することでより多くの情報を得ることができ、視線がコミュニケーションの根本的な部分となっていることを知らないだけの人もいる。


11. 性に関心がない

これは、自閉症スペクトラム障害に関する伝説で最も間違っているもののひとつだ。これにより、孤独な人間というステレオタイプと相まって、しばしば患者が家族以外との社会的関係をもたない原因となる。自閉症スペクトラム障害の人々は、ほかの人々とまったく同じように性に関心をもつ。しかし彼らが他者の感情を解釈したり、相互に交流することが困難であるために、このような欲求は実らないことが多い。

 
 
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