特集ワイド:冬ソナ10年、韓流ファンは今 2国間冷え込み嫌韓デモも 逆風にも頑張らなくっちゃ

毎日新聞 2013年04月16日 東京夕刊

 多くの韓流ドラマの日本語版を監修した国立民族学博物館の朝倉敏夫教授(文化人類学・韓国社会研究)は「韓国のタレントや政治家から食べ物の名前まで、当たり前のように現地の読み方で呼ぶようになったのは韓流の力が大きい。この10年は日韓の距離を大幅に縮めた」と話す。

 しかし、11年8月には男性俳優のツイッター発言をきっかけに「フジテレビの番組編成が韓流ドラマに偏っている」という不満の声がインターネットで拡大し、デモ隊が同局前に押しかける騒ぎに。昨年8月、韓国の李明博(イミョンバク)大統領(当時)が竹島に上陸し、さらに従軍慰安婦問題が再燃すると緊張は頂点に達した。韓国料理店やグッズ店が並び「韓流ファンの聖地」とされる東京・新大久保などでは、在日韓国・朝鮮人に向けて「出ていけ」「殺せ」といった過激な「ヘイトスピーチ」を連呼するデモが行われている。

 ◇肩身の狭い思い

 再び東京ドーム周辺。

 8年前に東方神起にはまって以来、メンバーの「追っかけ」をしているという札幌市の主婦(54)は「韓国にはコンサートや観光で何度も出かけていますが、領土問題が深刻化してからは行くのをためらうようになりました」と打ち明ける。「現地で日本人と分かって、何か言われると怖いからと旅行を諦めた友人もいます」。娘と二人連れの川崎市の主婦(50)は「親しい友達と話すとき以外は韓流の話題を避けるようになった」と言う。その隣にいた別の女性は「夫に『韓流、韓流と騒ぐのはやめろ』と言われたんです」とため息をついた。

 やはり程度の差はあれ、肩身の狭い思いをしている人は多いようだ。

 「そんなのおかしい。何を好きになり、かっこいいと感じるかは私たちの自由」。そう憤るのはコラムニストの北原みのりさん(42)だ。かつては「冬ソナ」に熱中する祖母に冷ややかな視線を送っていたが、今では自分も完全に「落ち」、ソウルに短期語学留学するまでになった韓流ファンだ。「私自身を含め日本人にはどこか、韓国を見下していたところがあった。でも日本が停滞しているうちに、韓国は経済でも文化でも躍進し、アジアや世界を席巻した。嫌韓を叫ぶ人たち、特に男性の中には、それを認めたくないという心情があるのではないか」と指摘する。

 ◇日本女性を変えた

 韓流好きが高じて韓国留学した経験を持つ富山市の主婦(40)は「現地の友人とも理解し合えているつもりだったのに、ある時『あなたたちはヨン様にしか興味がないんでしょう』と言われて。ショックだったし、もっと自分たちのことを知ってほしいんだと痛感しました」と吐露した。

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