パソコン（ＰＣ）遠隔操作事件で、愛知の会社や大阪の男性のＰＣから３件の犯罪予告を書き込んだとして、東京地検はＩＴ関連会社社員、片山祐輔容疑者（３０）を威力業務妨害やハイジャック防止法違反（航空機の運航阻害）などの罪で起訴する方針を固めた模様だ。片山容疑者は取り調べに応じていないとされるが、複数の客観証拠で立証できると判断したとみられる。

　警視庁は２月、片山容疑者がウイルス感染した愛知県内の会社のＰＣを遠隔操作し大量殺人を予告したとして逮捕。更にウイルス感染させた大阪府の男性のＰＣを遠隔操作して「航空機に爆弾を持ち込んだ」とのメールを航空会社に送るなどした疑いで再逮捕した。

　警視庁の捜査では、遠隔操作に使われたウイルスに片山容疑者が使っていたＰＣで作成された痕跡があり、同容疑者が接触したとみられる猫の首輪についていた記憶媒体からはウイルスの設計図が見つかった。地検は処分保留としていた最初の逮捕容疑と再逮捕分を併せて起訴できると判断した模様だ。

　片山容疑者は今月２１日の勾留理由開示手続きで「ウイルスを作ったり使ったりしたことはない」などと陳述。弁護人も「（同容疑者は）ウイルス作成に必要なプログラム言語を使えない」と述べ、地検に不起訴とするよう求めていた。【山本将克、山田奈緒】