カメラ、モニタ、画像合成器
各地のカメラを画像合成器の入力につなぐ。
画像合成器の出力を各地のモニタにつなぐ。
合成画面が超鏡画面としてふさわしいようにカメラアングル、拡大率、明るさ、照明などを調整する。
超鏡は、料理に似ています。材料も大事ですが、微調整が非常に大事です。材料を結線しただけでは、必ずしも、期待したような超鏡画面が得られるわけではありません。
超鏡画面は、遠くにいる人がまるで同室にいるかのような映像である必要があります。利用者が「鏡を見ている」と錯覚するような映像です。もちろん、対話中のすべての映像が、本物の鏡と同じである必要はありません。しかし、要所要所で、本物の鏡を見ていると錯覚させる事が必要です。
鏡を見ていると錯覚するような映像を作るために、それぞれの装置の微調整が必要です。どの特性が超鏡画面として不可欠なのか、どの特性は重要でないのかは、正直、まだ完全に解明されたわけではありません。はっきり言えることは、貴方自身が体験して、「画面上で隣にいる相手が、すぐ貴方の横にいる感じがする」というのが、良い調整であるということです。
以下に、私が実験で使った超鏡システムの材料と料理方法を示しますので、参考にしてください。
カメラ:SONY TRV-900 + SONY VCL-0752H(レンズ)
モニタ:三菱LVP−X300 + キクチSBSR−43G、上黒500特注品(スクリーン)
画像合成器:SONY DCK500
その他: A室の背景を青カーテン(色綿布(いろめんぶ)26番)とする。 双方の照明を高周波点灯型の蛍光灯(松下電工2FA42038ENH、40KHz)とし、同じ方向からの照明となるようにする。 双方のカメラを高さ140cmに設置する。 プロジェクタをできるだけ撮影範囲外になるように設置する。 プロジェクタを左右反転表示に設定する。 A室のカメラの拡大率を調整して、青カーテン側の300cm×400cmの範囲を撮影するようにする。 青カーテン上の高さ140cmの位置にA3の紙を張る。 B室の対応位置(高さ140cm)にA3の紙を張る。 B室のカメラを調整して、合成画面上で、2枚のA3の紙が重なるように、拡大率、カメラアングルを調整する。 両者の事物が同じ明るさ、色に表示されるように、B室のカメラを調節する。
カメラ:CMA01,東芝 IK-UM42 + JK-L55(レンズ),FUJI Hi-8等、市販のビデオカメラ
モニタ:SHARP XV-A1Z(1箇所に2台)+ XU-PP60S(スクリーン)
その他:双方の背景を黒カーテンとする。 2台のプロジェクタを画面の半分が重なるように横にずらして表示する。 双方のカメラを高さ140cmに設置する。 プロジェクタをできるだけ撮影範囲外になるように配置する。 全てのプロジェクタを左右反転表示に設定する。 A室のカメラを拡大率を調整して、150cm×200cmの範囲を撮影するようにする。 双方のカーテン上の高さ140cmの位置にA4の紙を張る。 B室のカメラを調整して、合成画面上で、2枚のA4の紙が重なるように、B室のカメラの拡大率、カメラアングルを調整する。 双方の事物が同じ明るさ、色に表示されるように、B室のカメラを調節する。 人物の表示が見やすいように、プロジェクタの明るさ、コントラストを調整する。 B室の2台のプロジェクタもA室と同じ表示になるように、表示位置、明るさ、コントラストを調節する。
カメラ:東芝 IK-UM42 + JK-L55(レンズ)等、小型のビデオカメラ
モニタ:SHARP LC-20V1等、左右反転表示可能なモニタ
画像合成器:SONY DCK500
その他: A室の背景を青カーテン(色綿布(いろめんぶ)26番)とする。 双方の照明を高周波点灯型の蛍光灯(松下電工2FA42038ENH、40KHz)とし、同じ方向からの照明となるようにする。 双方のカメラをモニタの上中央に設置する。 モニタを左右反転表示に設定する。 A室のカメラアングル、ピントを調整して、A室のモニタ前の利用者の上半身が写るようにする。 このとき、背景は全て青カーテンに含まれることを確認する。 利用者はその場所で肩の高さの位置にA4の紙を持つ。 B室の利用者は、A4の紙を持ち、紙の大きさが同じになる距離に立ち、画面上で同じ高さに表示したい位置に紙を置く。 B室のカメラのアングル、ピントを調整して、合成画面上で、2枚のA4の紙が隣合うように調整する。 さらに双方の事物が同じ明るさ、色に表示されるように調節する。
カメラ:Panasonic NV-GS300
モニタ:NEC LCD4010
マイク・スピーカ: YAMAHA PJP-100UH
クロマキーヤー: SONY DCK-500S
ビデオーネットワークケーブル変換機:Blackboxデュアルオーディオ/ビデオバラン IC446A
照明:ブルーバック側 普通背景側
小物: 花台。小物を置くことにより、空間の認識にリアリティがでる効果がある。画面に人物が並んで表示されるだけでなく、前方(モニタ側)に小物があると、合成された空間がより具現化して認識される。
その他:普通背景側は照明が暗いので、カメラの設定は、逆光補正、カラーナイトビューをオンにする。カラーナイトビュー(メニュー 3/4の月と星のアイコン)
平面図
ブルーバック側の様子:天井の照明は2種類用意し、ひとつは昼光色の蛍光灯で影を作らないようにブルーバックを照らす。部屋中央の照明は白色の蛍光灯で人物や小物を照らす。いずれもインバーターによる高周波点灯タイプの蛍光灯を使用する
普通背景側の様子:他の展示との兼ね合いで、照明は立ち位置の上部にあるスポットライトのキセノンランプを使用して、人物を照らす。照明の不足は、カメラの設定(逆光補正、カラーナイトビューをオン)で補う。
写真の女性は、ハイパーミラー画面に映っている遠隔地の花を指差している
モニタ台の側面図
===側面図は作成中です。今しばらくお待ちください==
2本のポールを床と天井に押し付けて固定します。
その突っ張りポールの間に横板を渡し、そこに青カーテンをつるします。
しまうときは、横板にカーテンを巻きつけておきます。
左右反転表示可能なモニタとして SHARP LC-20V1 以外に、LC-20S4 も使用可能ですが、最新版である LC-20SX5 は、遅延時間が大きい為、ハイパーミラーのモニタとしては使用するのはお勧めできません。目視では200msから250ms程度の遅延があるようでした。ハイパーミラーを構築する場合には、遅延時間の少ないモニタを選ぶようにしてください。
左右反転表示可能なモニタとして NEC LCD4010 が見つかりました。遅延時間も少なく、大画面で使用可能です。(2006-11-17)
1CCDと3CCDで撮影した映像の違いは、肉眼ではレンズの違い、照明の違いのほうが大きくて、あまりよくわかりませんでした。しかしクロマキーヤーを通すと、その差は歴然で、3CCDでは輪郭がきれいに抜けますが、1CCDでは安いクロマキーヤーで抜いたように輪郭がぼけてしまいます。
青カーテンは時間とともに色があせてきて、抜けが悪くなることがあります。最近見つけたものは、抜けの良い色のロールスクリーンで、使わない場合、巻き上げておくことでしわもよらず色あせが軽減できると期待できます。
常設だけでなく、仮設の場合もロールスクリーンを使うメリットがあります。 設置・撤去が楽、取り扱いが楽、必要な長さだけ引き出せばよいので、壁の大きさに合わせるのが楽、等々。
抜けが良い青は、「ニチベイ ロールスクリーン ソフィー 標準タイプ の サファイアブルー(N4540)」 でした。