ウェアラブルコンピュータに注目集まる
米Juniper Researchが発表した調査リポート「Smart Wearable Devices: Fitness, Healthcare, Entertainment & Enterprise 2012-2017」によると、ウェアラブルコンピュータの予想販売台数は2013年には1500万台程度と予想されるが、2017年には市場の急速な拡大で7000万台規模になるとの見解を示した。
注目を集めるウェアラブルコンピュータ
ウェアラブルコンピュータが注目を集める理由は、十分に普及したスマートフォンを核とし連携することで、従来の製品に付加価値を付けることが目的だ。グーグルの「Google Glass」の開発者向けリリースが年内に予定されていることもあり「スマートフォンの次なるステージ」としても注目を集めている。
近年「Google Glass」によって脚光を集めだしたウェアラブルコンピュータだが、「Google Glass」以外にも既に製品として提供されているものもあるので幾つか紹介したい。
スマートウオッチ
まず紹介するのは「スマートウオッチ」だ。ウェアラブルコンピュータの中で現在一番注目を集めている。というのも「アップル」が新製品として、テレビもしくは、「スマートウオッチ」をリリースするのではないかと噂されているためだ。
BlutoothでiPhoneと連携し、スマートウオッチに話しかけることで、iPhoneの電話をかけたりすることが可能になると予想されている。Blutoothを搭載したスマートウォッチは目新しいものではないが、それゆえに十分にプラットフォームとして成長したiPhoneに連携可能な「スマートウォッチ」ならアップルにとって「時計市場」を開拓することになる。
なお、既にソニーが「スマートウォッチ」という名称でXperiaと連携可能なスマートウォッチをリリースしている。
画像は噂を基にしたイメージ:iphoneindiablog.com
もし、アップルがスマートウォッチをリリースすれば大きな注目を集めることになるだろう。しかし、それは従来の時計メーカにとっては、フィーチャーホンメーカが体験した「複雑なボタン操作」から「タッチや音声入力」といった高度なUIを武器に黒船が攻めてくることを意味する。
スマートバンド
手首に巻く「リストバンド」、脈拍測定などの健康器具として利用されることが多い。
ナイキの健康アシストアクセサリー、nike+fuelbandはスポーツ中の脈拍や移動距離などを自動的に計測してくれる。
変わった所ではウォルトディズニーがディズニーランド入場用に「マジッグ・バンド」を開発している。これを利用して紙の入場券を廃止し、ホテルでの鍵かわりなどに利用するのではないかと推測されている。
ウェアラブルセンサー
CES2013でも注目を集めていた「Misfit Shine」。一見するとアクセサリーのようだが、僅か10gの小型センサー。ios5、Android4以上のOSを搭載したスマートデバイスと連携することが可能だ。
あらかじめ用意されたセンサーアルゴリズムによって、サイクリングやスイミングの運動量や移動時間などを計測することが可能だ。面白い使い方としてはモーションセンサーとしても利用することが可能なため、人の動きを取り込むといったことが高価なシステムを購入することなく行える。
現在、Misfit Shineは事前予約を受け付けており、一個$99で購入可能だ。
ウェアラブルゴーグル
Google Glassが注目を集めているが、既にスキーのゴーグルではウェアラブル可能なゴーグルが「Recon Instruments」社から販売されている。Recon InstrumentsのMOD LiveはAndroidが内蔵されているハイテクスキーゴーグル。
現地の地図や高度、温度といった環境表示や、ジャンプの高さや角度の解析、スピードの解析をリアルタイムに表示してくれる。GPSを内蔵しているのでナビ機能や友人とはぐれた時のための「探索機能」もついている。またスマートフォンやパソコンと連携することも可能でリアルタイムに取得されたデータをパソコンなどであとから確認することが出来る。
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大元隆志(おおもと たかし)
通信事業者のインフラ設計、提案、企画を12年経験。異なるレイヤーの経験を活かし、技術者、経営層、 顧客の三つの包括的な視点で経営とITを融合するITビジネスアナリスト。業界動向、競合分析を得意とする。Yahoo!ニュース、講談社 現代ビジネス、CNET、翔泳社EnteprizeZine、ITmedia マーケティング、ITイニシアティブ、等、様々なIT系メディアで活躍する。SNSビジネス特集でNHK教育テレビに出演。ソーシャルメディア系イベントしては国内最大級となるソーシャルカンファレンス主催者。著書に「ソーシャルメディア実践の書」、「IPv4アドレス枯渇対策とIPv6導入」がある。所有資格 米国PMI認定PMP、シニアモバイルコンサルタント等。