論文不正:松原元教授関与、13本に不正

毎日新聞 2013年04月11日 15時00分

 京都府立医大の松原弘明元教授(56)=2月末に辞職=を巡る論文不正疑惑で、大学の調査委員会は、松原元教授が関与した論文のうち少なくとも13本に図表の捏造(ねつぞう)や改ざん、流用があったことを指摘する報告書をまとめた。松原元教授本人が不正に直接関与したかは不明としつつも、「最終的な責任者である松原氏の責任は、極めて大きいと言わざるを得ない」と結論付けている。

 調査委は2011年12月、外部から指摘を受けた大学側が、学外の有識者を交えて設置した。松原元教授が関西医大在籍中(03年3月まで)に関与した論文を含む1999〜11年の18本を調査対象とし、連絡先が確認できた共著者77人に書面や面談で聴取した。

 主に再生医療の実験に関するもので、04年の急性心筋梗塞(こうそく)患者に対する臨床試験の参考にしたとされる02年の論文(04年に修正)も含まれている。調査委は動物実験を経ていないことについて、「倫理上、重大な問題」と指摘した。

 報告書によると、18本のうち、少なくとも13本に掲載された顕微鏡写真などの画像で、回転させたり、拡大・縮小したりして別画像に見せかけるなどの不正があったと判定した。13本の他に2本は、内容が同じなのに、題名と共著者だけが変わっており、重複投稿と認定した。

 こうした結果について「松原氏の研究室管理体制に本質的な欠陥」があり「極めて異常」と指摘。「(仮に)意図的な改ざんや捏造がなかったとしても、図表の間違いの混在した論文を極めて高頻度に国際的に発表し続けた責任は免れ難い」とした。

 松原元教授は、日本循環器学会で理事や医道委員会委員長を歴任。最近は日本高血圧学会の理事だったが、3月6日付で辞任した。

 毎日新聞の取材に松原元教授は、自ら不正に関わった事実はないと主張した上で、「多数の執筆者が関わった論文の一部に改ざん・捏造があったと指摘される事実については、私が監督責任を果たさなかった結果で、十分反省している」などと文書で回答した。

 松原元教授はこのほかにも、降圧剤「バルサルタン」の効果に関する論文3本が「重大な問題がある」との指摘を受けて撤回。経緯などを大学が調べている。【八田浩輔】

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