京都府立医大:不正5論文、倫理委パス…松原元教授が申請

毎日新聞 2013年04月12日 02時31分(最終更新 04月12日 04時13分)

 京都府立医大(京都市上京区)のチームが2004年、動物実験を経ずに心臓の血管再生を図る臨床試験をした問題で、責任者の松原弘明元教授(56)=2月末に辞職=が、学内の倫理委員会に臨床試験を申請する際、5本の「不正」論文を研究実績として示していたことが、大学側が公開した文書などから分かった。大学側は11日に記者会見し、この5本を含む01〜11年に松原元教授が関与した14論文で計52カ所の不正があったと発表。副学長らが陳謝し、「臨床試験についてこれから検証が必要だ」とした。【八田浩輔、河内敏康、五十嵐和大】

 ◇14論文で不正52カ所…調査委公表

 毎日新聞の情報公開請求に大学側が開示した文書によると、松原元教授は、03年6月9日付の申請書を学内の「人間を対象とする医学研究審査委員会」(現在は医学倫理審査委員会に統合)に提出。この中に「申請責任者による関連する発表論文」の一覧があり、松原元教授が名を連ねた7本の論文が記載されていた。だが、このうち5本は、大学側が11日に「不正があった」と明らかにした論文だった。

 倫理委は、申請から約1カ月後の同年7月17日付で臨床試験を承認したが、この間の審議については「議事録を作成していない」(大学総務課)ために不明なままだ。

 松原元教授らは04年2月、急性心筋梗塞(こうそく)の患者の血液から血管の基になる幹細胞を採取し、失われた心臓の血管の働きの再生を図る「世界初」の治療を実施したと発表。しかし、論文不正疑惑を調べていた大学の調査委の聞き取りに対し、松原元教授は動物実験を行っていなかったことを認め、元教授が試験の「参考にした」とする慢性心筋梗塞のブタを使った研究論文は、血管を書き加えるなどの改ざんがあったことが分かった。

 松原元教授を巡っては、降圧剤の「バルサルタン」の効果に関する論文3本が「重大な問題がある」として掲載誌から撤回された問題があり、大学が調査している。

 ◇副学長「倫理上も問題」

 京都府立医大の伏木信次副学長は11日、今回の臨床試験を巡る問題について、「誠に遺憾。倫理上も問題がある」と記者会見で陳謝した。だが一方で、倫理委員会が松原元教授の臨床試験を審査した03年の経緯については、「海外で類似の(臨床)事例があるため、安全上は問題ないと考えた」と説明した。

 伏木副学長は当時の倫理委の委員長だった。

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