東日本大震災:堺市が5億円支援基金 復興予算86億円批判受け
毎日新聞 2013年04月16日 大阪朝刊
東日本大震災で出た災害廃棄物(がれき)の受け入れを一時検討しただけで国の復興予算約86億円を受け取り、批判を浴びていた堺市は、震災からの復旧・復興を支援する約5億円の基金を創設することを決めた。竹山修身市長は、「市民からの厳しい意見を踏まえた。息の長い支援をしたい」と話す。基金の設置条例案を5月議会に提案する。
堺市は07年度から総工費約183億円をかけて、ごみ焼却場「堺市クリーンセンター臨海工場」(堺市堺区)を建設、今月に本格稼働を始めた。
同工場の新設を含む12年度事業について市は当初、復興予算とは関係ない別の交付金を申請、将来の財政措置も含めた国の実質的な負担は約60億円のはずだった。しかしその後、災害廃棄物の受け入れを一時検討したところ、状況は一変。受け入れなくても「返還不要」という国の大盤振る舞いに乗り、最終的には受け入れ先から除外されたにもかかわらず、86億円を受け取ることができた。市が当初負担するはずだったのは約23億円で、同額を「差益」として得た形になった。
同様のケースは他に9市町・団体あるが、事業規模の大きい堺市は金額が最多で、「被災地のために使うべきだ」と市民の批判が殺到していた。工場の建設費を既に支払い、新年度予算もスタートしたことから、当面は12年度決算の余剰金を財源に基金を創設する。
竹山市長は毎日新聞の取材に、「国や大阪府と役割分担し、基礎的自治体らしく、きめ細かな支援をしたい」と話した。【高瀬浩平】