ニュース
» 2013年02月07日 00時00分 UPDATE

遠隔操作「真犯人」“最後のメール”から1カ月 捜査本部、人物特定進める

遠隔操作ウイルス事件の「真犯人」とみられる人物が“最後”のメールを発信してから1カ月。捜査本部は江の島周辺の防犯カメラを解析して首輪を付けた人物の特定を進めている。

[産経新聞]
産経新聞

 遠隔操作ウイルス事件の「真犯人」とみられる人物が“最後”のメールを発信してから5日で1カ月。合同捜査本部はメールの内容通り、神奈川県藤沢市の江の島でネコの首輪に取り付けられた記録媒体を発見し、遠隔操作ウイルスの「設計図」を確認。記録媒体は真犯人のものと断定した。また、江の島周辺の防犯カメラを解析して首輪を付けた人物の特定を進めており、「サイバー空間」と「現実空間」の双方で捜査の包囲網を狭めている。(大島悠亮、中村翔樹)

 「この人を見たことありませんか」

 江の島では1月下旬、2人一組の捜査員が防犯カメラの画像を持って、住民らに聞き込みを続けていた。

 真犯人が同月5日に送ったメールのパズルの最後に出てくるネコの写真は、江の島の高台にある広場で撮影されたもの。江の島には昨年末、最新の防犯カメラが35台設置されたばかりで、撮影場所の周辺にもカメラがあった。

 合同捜査本部は、映像が首輪を取り付けている瞬間を捉えていることに期待をかけたが、手元を確認することはできなかった。ただ、眼鏡をかけた不審な男など複数の人物がネコを抱き上げたり、写真を撮ったりしていたことが判明。人物の特定を進めている。

「設計図」確認

 捜査関係者によると、記録媒体の解析で、遠隔操作ウイルスの設計図にあたる「ソースコード」やA4判数枚分のメッセージを確認。メッセージでは「以前、事件に巻き込まれたせいで、無実にもかかわらず人生の大幅な軌道修正をさせられた」と訴えており、真犯人に逮捕歴がある可能性も出ている。

 メッセージでは、真犯人が昨年8月28日に匿名化ソフト「Tor(トーア)」を使わずにネット掲示板「2ちゃんねる」に直接書き込んだとされるミスに言及し、「全てトーアで書き込んだ」と反論した。だが、トーアでは2ちゃんねるに書き込めないため、「嘘をついている可能性がある」(捜査幹部)。

 真犯人は今年1月1日の「新春メール」で雲取山の頂上に記録媒体を埋めたと示唆したが、実際には埋めていなかった疑いが強く、これも嘘だったとみられ、新たに福岡のPCを遠隔操作して襲撃予告をしたことが嘘だった可能性が発覚したことで、捜査攪(かく)乱(らん)の意図が浮かび上がってきた。

「メールしない」

 真犯人は新春メールで、記録媒体内に残したメッセージを「警察以外の誰かに最初に読んでほしい」と望んだ。ただ、合同捜査本部が記録媒体を押収したため、その内容は断片的にしか明らかになっていない。

 ただ、メッセージには「アドレスは解約したのでもうメールはしない」とも記載。警察を翻弄して喜んでいるかのようなこれまでの経緯から、真犯人がまだ何らかのメッセージを発信する可能性もあるが、この1カ月は実際に沈黙したままだ。捜査幹部は「現実空間とサイバー空間双方の証拠を固めて包囲網を狭めていきたい」としている。

copyright (c) 2013 Sankei Digital All rights reserved.

新着記事