【種別】
特殊能力

【元ネタ】
Imagine Breaker=「幻想を打ち砕く者」

【初出】
一巻

【解説】
上条当麻の右手に宿る能力。
超能力魔術問わず、あらゆる異能の力を打ち消す。
原理は今もって不明。当麻の言に寄れば天然素材、生まれた時から持っていた力らしい。
学園都市では一応『原石』のカテゴリに含まれているが、その分類が正しいのかも不明。

あらゆる異能を触れただけで消し飛ばす、強力無比な能力。
……なのだが、上条自身は特に鍛えられている訳でもない為、
反応できず異能に触れなくてアウト、という事態も多々ある。
その他、右手が異能に触らない限り発動しない上、
「力」が右手首から先しかない、元を断たない限り再生するタイプの魔術に弱い、
数が多すぎると迎撃しきれない、軌道が読めなければ触れない、
有益無益の判断が無いため、回復魔術などのプラスの恩恵も受けられない、
(インデックスの推測ではあるが)空気に触れている事が空間に作用して運気を下げているらしい等と、
絶大な効果に比例して弱点・欠点盛りだくさんの困った能力。
更に、身体検査にも反応しないので、
万年無能扱いされるという不幸も招いている。

異能の一部に触れただけでも無効化は炎が燃え広がるように全体に広がっていくため、
「一塊の異能」であれば、
たとえ複数の異能の集合であろうと範囲攻撃であろうと触れるだけでまとめて消すことが出来る。
そのため、幻想殺しと接触させやすい分、
点攻撃よりも面攻撃の方が防御しやすいという変わった特性も持つ。
逆に言うと、アドリア海の女王のように区画分割されている場合一度に消すことはできない。

「単位時間あたりに処理できる異能の個数・種類・量」や「効果範囲」などには限界があるようで、
一方通行の黒翼のようにあまりにも莫大な力は消し切るのに時間がかかるし、
魔女狩りの王のように再生する/連続的に放たれる力は処理が追い付かないので、
両者とも消し切れずに受け止めるに止まってしまう。
御使堕しのような超広範囲の異能も全部は消しきれなかった。
竜王の殺息は規模が莫大かつ連続的に放たれる上、
個数が多く種類がバラバラという最悪の相性であったようで、
受け止め切ることさえできず押し負けてしまった。
「消せない」という状況は本来マイナスであるはずだが、
度重なる戦闘経験から学習し、一方通行との再戦時には、
打ち消し切れない量の異能である『黒翼』を「掴み取る」という対応を覚え、戦術の幅を広げた。

異能の力そのものにしか作用しないので、能力によっておこされた二次的な物理現象を消す力はない。
たとえば異能でできた火の玉は防げても、火の玉が砕いたコンクリの破片は防げない。
魔女狩りの王を受け止めた場合でも火傷などはしていないところから見ると、
受け止めた時の反動を除けば、完全に打ち消せない場合でも右手に異能の影響は出ないようである。
ただし例外も幾つかあり、
異能であると同時に刃でもある『瞬間練金』を受け止めた際には、
破壊こそしたが異能消去が発生するまでの僅かなタイムラグによって手を切り裂かれ、
『竜王の吐息』に関しては完全に処理落ちを起こし、異能によるダメージを右手に与えられている。

霊装など、魔術の仕組みを持った物体に触れた場合は、
物質を消滅させたりはしないものの、その物体の放つ魔術的効果だけでなく、
異能を発動させる構造も完全に破壊or解除する。
物によってはバラバラに分解、あるいは粉々に破壊し、その物体の魔術的な要素を完全に消し去る。
(ex:歩く教会は縫い目からバラバラの布切れに、C文書は塵になった。)

なお、土御門の推測によると、
「生命力」や「地脈」といった打ち消せない「例外」も存在するとのこと。
もし打ち消せてしまうなら生物に触れただけで殺してしまうし、
地面に触れただけで地球がばらばらになってしまうはずである、ということらしい。
しかし、『「調和の取れた破壊」で『世界の力』を破壊し続けている』というインデックスの分析もあり、詳細は不明。

バードウェイの分析によると、
地脈・龍脈のような「惑星を循環する異能の力」さえも破壊しているらしい。
とはいえ、「調和の取れた破壊」であるらしく、
「異常な値を均一化させること」には極端に働くが、
元から均一なものに対してはあまり効果を発揮しない。
そのため、たとえ異能の力が流れていても、
人に触れたからといって魂を破壊するわけではないし、
惑星に触れたからといって惑星が滅ぶわけではない。
幻想殺しが地脈などを削っても、削った分は周囲から自然と補われて修復されるようになっているため、
すぐに破壊の跡は周囲にとけ込んでわからなくなってしまう。
なお当麻自身は「そんなに都合良くカッチリはまるものなのか?」と疑問を呈しているが、
バードウェイが答えて曰く、
幻想殺しに限らず「天然モノ」の能力は、あらかじめ環境や状況に合致した設定を施された場合も多いとのこと。
なおグレムリンは実際にこの破壊と修復のサイクルを利用して幻想殺しの探索を行っており、
バードウェイの分析はかなり正確なものだと思われる。

アレイスターは滞空回線によって幻想殺しの力の質と量を測定している。
方法としては、吸入する酸素と排出される二酸化炭素の量から脳の作動状況を逆算し、
学園都市に蔓延するAIM拡散力場の相殺具合のデータから導きだしている。
非論理的現象を否定するための基準点(Point Central 0)という物があり、それが安定レベル3を維持し、
中心部でアイドリングを続けるコアの規定回転数が確認されている描写がある。
因みにプランの影響率は98%のようだ。

フィアンマとの決戦においては、
幻想殺しごと右腕を切断され、『聖なる右』完成のピースとして取り込まれた。
しかし、その肩口にはフィアンマの完成した右手が見劣りするほどの『莫大な力』が集まり、
完成した『聖なる右』の一撃を受けてもあっさりと吹き散らしている。
「透明な何か」が切断面から生じていたようだが、
上条の意思で現れた別の力で上から握りつぶされ、右腕の再生に使われてしまったので詳細は不明。
また、右腕が再生すると同時に、フィアンマが奪った上条の右腕からは幻想殺しの力が消失しており、
「幻想殺しは同じ世界に2つも存在できない」、
「上条当麻に取り付けられた腕にこそ本物の力が宿る」といった概念・ルールがあるらしい。後に「上条当麻の右肩から生えているモノなら幻想殺しと定義できる」旨の発言もある。

フィアンマは幻想殺しの本質を「神聖なる右手が自然に備えてしまった浄化作用」と推測していたが、
アレイスターによれば、「単なる十字教で説明できるような事柄では無い」らしい。
尤も、「力のフォーマットが古すぎたことを除けば、良い所まで行っていた」とも発言しており、
全くの見当外れというわけでも無いようだ。
また、「奥にある物を垣間見た」との言から、中には現在知られる以上の何かが存在し、
『異能を打ち消す力』はその何かの副次的な効果でしかないらしい。

オッレルスの言によると、その正体は「全ての魔術師たちの怯えと願いが結実したもの」。
魔術を極めれば世界を思いのままに歪められる。それは一見都合の良い話だが、もしかしたら歪めた結果弊害が起きるかもしれないし、そのとき元に戻そうとしても、「元の世界」を思い出せなくなってしまうかもしれない。
しかしもし「魔術の影響を受けないもの」があれば、世界を歪めてしまっても、それだけは元の姿を保ったままであるから、それを基準に元の世界の姿を思い出すことが可能となる。
そんな「世界を元に戻すためのバックアップ・基準点」が幻想殺しの正体である。
類似の力は過去にも確認されており、テッラの言はそれを受けてのものであると思われる。(もっとも、幻想殺しとそれらが全く同一の力なのか、あるいは似ているだけで別々に発生した力なのかは不明である)

【備考】
一巻の時点から「あらゆる異能を問答無用で~」という触れ込みだが、
最初期の時点では「異能=超能力」(だけだと上条が思っている)ということらしい。(※ただし神様の奇跡?についても言及有り)
よって正しく「あらゆる異能を~」と認識・表現できるのは歩く教会破壊後から。