神戸大病院:救急患者の受け入れ停止 再開に数カ月か
毎日新聞 2013年04月16日 12時04分(最終更新 04月16日 12時29分)
神戸大医学部付属病院(神戸市中央区)は16日、救急部が今月5日から新規の救急搬送患者の受け入れを停止していることを明らかにした。救急医が他病院へ異動したり、救急診療体制の方針転換に反対して退職したりするためという。かかりつけの患者は従来通り対応するが、急患の受け入れ再開には数カ月かかる見通し。
記者会見した杉村和朗院長らによると、3月にあった救急部の教授選で、診療体制の大幅な転換を掲げた他大学の医師が新しい教授に決まった。これを受けて在籍する9人の救急医のうち、転換に反対する副部長が辞意を表明。更に5人が異動などで5月までに救急部を離れるという。杉村院長は「内紛という認識はない。受け入れ制限を早く解除できるよう、後任医師の確保に最大限努力する」と述べた。
同病院救急部は、神戸市内の年間の急患約6万人のうち、約1割を受け入れていた。現在、重篤な急患は市立医療センター中央市民病院と兵庫県災害医療センターなどで対応している。県医務課は「今のところ他の病院で対応できているが、災害など多数の患者が出た場合が懸念される。早く体制を整えてほしい」と話している。
神戸大医学部付属病院救急部は1989年に設置された。95年の阪神大震災を受けて97年に「災害救急・医学講座」を発足させ、新潟県中越地震(2004年)や東日本大震災(11年)など大災害に医療救援チームを派遣。災害医療の先進的な取り組みで知られる。【豊田将志、山口朋辰】