レトロゲーム機切った貼った業界では著名な「Bacteria」氏が、15機合体の大作 Project Unity を完成させました。中身はファミコンやメガドライブからコレコビジョン、ネオジオ、新しめではDreamcast やGameCube まで。

すべて実機の基板を巨大キューブ型の筐体に収め、ひとつのマスターコントローラと映像出力、電源ケーブル一本で、全15機種18フォーマット(※)のレトロゲームを実物そのままに遊べるという趣向です。(※一機種で複数フォーマット互換の場合があるため)。

作者いわく、筐体の重量は約20kg、ケーブル総延長約300メートル、総作業時間 3500時間。聞かれる前から「ワンオフです!売りません!」と宣言する製作記動画は続きをごらんください。




(画像:フロントパネル)
対応機種は、ラベルの順に:

Amstrad GX4000 (英国の家電メーカー Amstrad が1990年にリリースした8bit機)
マスターシステム
ATARI 7800
コレコビジョン
インテリビジョン
メガドライブ
SNES (スーパーファミコン)
NINTENDO64
NES (ファミコン)
GAMEBOY ADVANCE
NEOGEO MVS (業務用ネオジオ)
TurboGrafx-16 (海外版PCエンジン。スーパーグラフィックス / SuperGrafx に非ず)

右列の光学ドライブスロットに移って上から

ゲームキューブ
ドリームキャスト
セガサターン
プレイステーション 2

追記:初掲載時、対応機種のTurboGrafx-16が記入漏れでした。
PCエンジンは海外では販売市場も少なく、投入した国でも売れなかった不人気ハードウェアであり、海外のレトロゲーム業界ではまるで無視されることが多いにもかかわらず、わざわざ対応しているはこの Unityの特徴でもあります。日本電気方面ならびにPCエンジン派残党の皆様にはご迷惑とご心配をおかけしました。大変にもうしわけありません)。


(画像:Unity マスターコントローラ)

ゲーム機合体Mod業界 (そういうものがあるのです) でも、バクテリアン文明に特徴的なカートリッジ式「マスターコントローラ」。筐体内で独自コントローラ基板に集約して汎用のBluetoothコン対応に〜といった賢しらな手段は採らず (あるいは技術的に採れず)、コントローラに巨大なスロットがあり、各機種ごとの対応基板とコネクタを含むカートリッジを交換することで運用します。NESのゲームカセットは単なる外装。


(画像:Unity ゲームセレクタ部)

作者の設計思想を象徴するのが、この絶句せざるを得ない「スイッチユニット」部。どのゲーム機を起動するか、機織り機のように見えるこの巨大な機械式スイッチで決定します。

フロントパネル上部に見えるバットマン(「BACMAN」)アイコンのつまみ部分がメインの接点と直結しており、左右にスライドさせることで、あくまでメカニカルに各ゲーム機の基板と接続します。端子を確実に接触させるのは左右に巻いてあるゴムバンドの役割。

子供の夢のような合体ゲーム機をまじめに作る趣味のなかでも実機15台合体というだけで面白い作品ですが、エミュレーションやクローンハードウェアどころか独自のマイクロコントローラすら使わず、木工とメカニカルな配線だけで制作するという設計思想あるいは技術レベルが、ある意味スチームパンク的なセンスオブワンダーを与えてくれます。(あるいは、仮に8bit / 16bit ゲーム機の時代に Unity が製品として実在したとしても、さすがに木製機械式ではなく樹脂製電子式だったはずと考えれば、「失われた先史文明の遺物をハンマーで直しながら運用」系かもしれません)。

敢えて「洗練された」構成を採らなかった理由は、作者いわくエレクトロニクスのことは分からないから、(機械式のほうが)メンテナンスしやすく信頼できるから、とのこと。
ここまで 頭のおかしい 壮大なおばけマシンでなくていいから単に古いゲーム機の実カートリッジで遊びたい需要には、5スロット9機種対応の市販品 RetroN 5 もあります。RetroN 5はオリジナルのカートリッジに対応しつつ、無線Bluetoothコントローラやステートセーブ、HDMI出力やオーバークロックなど快適仕様を追求した商品。

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