泥沼の海外受注競争、安値受注のツケ表面化

 サムスン物産は先月、大規模な海外工事受注に成功したことを大々的に広報した。オーストラリアで鉱山を開発する「ロイヒル・プロジェクト」のインフラ工事だった。しかし、同プロジェクトの発注元であるロイヒル・ホールディングスは、同じ韓国勢のポスコ建設とも事業発注に向けた交渉を進めていた。サムスン物産による受注発表の直前まで、ポスコ建設は63億ドル(約6200億円)前後で受注する方向で、ロイヒル側と大詰めの交渉を行っていた。ロイヒル・プロジェクトにはポスコ建設の親会社である鉄鋼大手ポスコが12.5%を出資していたためだ。韓国国土交通部(省に相当)の担当者はオーストラリアに飛び、ポスコ建設が派遣した関係者と夕食会で受注の前祝いまで行っていた。

 しかし、土壇場でサムスン物産が受注に乗り出し、脚本が狂った。サムスン物産はポスコ建設より6億ドル(約590億円)安い57億ドル(約5610億円)を提示し、工事を受注した。発注元の立場から見れば、韓国企業同士の競争関係を利用し、当初の予想価格より安値で工事を発注することに成功した格好だ。ポスコ建設関係者は「その価格では到底工事を進めることはできない。(サムスン物産も)後で大きな損害を受けることになる」と指摘した。

■競合社のネガティブキャンペーンも

 2011年にA社が受注したサウジアラビアでの建設工事は、当初B社が受注したと報道発表した事業だった。しかし、A社はB社の親会社の会長が検察の取り調べを受けているという韓国国内の事情をアラビア語に翻訳し、発注先にばらまいたことから、B社からA社に発注先が変更された。

 C社が昨年マレーシアで受注に失敗したプロジェクトは、発注元と契約直前まで行っていた。しかし、D社がC社の韓国国内での財務危機や不渡り説を発注元に流し、結局D社が落札した。C社はシンガポールでも同様の状況に直面した。韓国のライバル企業がC社に関するネガティブなうわさを翻訳し、複数の発注元に電子メールで流したため、C社は耐え難い多くの質問を受ける羽目になった。C社関係者は発注元に電子メール送った韓国の建設会社に厳重抗議し、騒ぎはひとまず沈静化したが、C社は大きな打撃を受けた。

 4年前にシンガポールで行われた土木工事の入札は、韓国有数の建設会社E社とF社が激しい競争を展開した。しかし、入札価格の探り合いをしていた当時、E社がF社の入札担当者をハンティングしたことで泥仕合となり、超低価格での落札につながった。

 SK建設が09年3月に受注したアラブ首長国連邦(UAE)のガス圧縮施設工事は、9億ドル(約885億円)前後に入札価格が決まったが、海外メディアはそれを「衝撃的で驚くべき価格だ」と報じた。

李衛栽(イ・ウィジェ)記者
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