<「東京新聞」6月11日>
改憲阻止へ情報交換 「九条の会」全国交流集会
改憲に反対して作家の大江健三郎氏や沢池久枝氏ら九人の文化人が呼びかけた「九条の会」が十日、発足二周年を記念して東京都新宿区の日本青年館で初の全国交流集会を開き、約千五百人が集まった。
文化人らの呼びかけで二〇〇四年六月に発足した同会は、全国で講演活動などを重ね、賛同者を募ってきた。この間、地域や職業などごとに「九条の会」を掲げる護憲グループが誕生し、現在、五千二百近くがそれぞれ独自に活動している。 各グループの情報交換や交流を目指した全国集会では冒頭、呼びかけ人のうち六人が参加して活動の広がりを振り返った。故三木武夫元首相夫人の三木睦子氏は「戦争を知る年寄りばかりで始めたが、若い方が大勢応えてくれてうれしゅうございます」とあいさつ。大江氏は「憲法も、憲法の理想の実現は『教育の力』とした教育基本法も守りうるか分からない。だが、少しずつ声を発していく」と話した。 各地のグループによる活動報告では「従来の護憲運動の枠では、改憲の動きを押し返せない」との焦燥感をにじませる声も上がったものの、知恵を絞った取り組みが紹介された。
<「毎日新聞」6月11日>
九条の会が初の全国集会
戦争放棄をうたう憲法9条の堅持を訴える市民らでつくる「九条の会」が10日、2周年を迎え、東京都新宿区の日本青年館で初の全国交流集会を開いた=写真。運動は全都道府県に広がりをみせており、約1500人が参加した集会では、地域や職種ごとの「九条の会」が5174に上っていることが報告された。呼びかけ人の一人で、評論家の加藤周一さんは「改憲勢力は議会の多数派だが、国民多数の支持は得ていない。想像力を働かせ、9条を守るために何ができるか考えたい」と訴えた。評論家の鶴見俊輔さんは「私はもうろくした老人だが、戦争を起こす文明に対して『もうろく人』として反対していきたい」とユーモアを交えて語り、会場を沸かせた。
<「毎日新聞」大阪版6月11日>
九条の会が初の全国集会
戦争放棄をうたう憲法9条の堅持を訴える市民らでつくる「九条の会」が10日、2周年を迎え、東京都新宿区の日本青年館で初の全国交流集会を開いた=写真。運動は全都道府県に広がりをみせており、約1500人が参加した集会では、地域や職種ごとの「九条の会」が5174に上っていることが報告された。呼びかけ人の一人で、評論家の加藤周一さんは「改憲勢力は議会の多数派だが、国民多数の支持は得ていない。想像力を働かせ、9条を守るために何ができるか考えたい」と訴えた。評論家の鶴見俊輔さんは「私はもうろくした老人だが、戦争を起こす文明に対して『もうろく人』として反対していきたい」とユーモアを交えて語り、会場を沸かせた。
また、作家の小田実さんは「資源もなく、食糧自給率の低い日本は、自衛できない。国を守るためには、戦争のない世界をつくるという理想こそが現実的で、その土台にあるのが平和憲法だ」と呼びかけた。【青島顕】
<「朝日新聞」6月11日>
九条の会が全国集会
戦争放棄を定めた憲法9条を守ろうと結成された[九条の会]初の全国交流集会が10日、都内で聞かれた。各地での活動内容が発表され、改憲反対で力を合わせることを確認した。会は04年6月、作家の大江健三郎氏ら9人の呼び掛けで発足。集会には全国から約1500人が参加した。
<「神奈川新聞」6月11日>
「九条の会」2周年全国交流集会
運動広がり1500人参加
横須賀 原子力空母問題も報告
憲法九条堅持を訴え、作家の大江健三郎さん、評論家の加藤周一さんら九人でつくった「九条の会」が十日、二周年を迎え、各地で生まれた「九条の会」を集めた初の全国交流集会を都内で開いた。神奈川の百十人を含め約千五百人が参加。加藤さんが「九条を中心に日本は戦争と平和の分かれ道に差しかかっている」と連帯を訴えたほか、「横須賀市民九条の会」の岸牧子さんが、原子力空母問題に揺れる横須賀での活動を報告した。
大江さんたちに呼応して生まれた各地各分野の九条の会は、同日までに神奈川の二百四十五団体を含め五千百七十四団体(準備段階含む)。集会には、全都道府県から約九百団体の代表が参加した。運動の広がりに加藤さんは「日本で唯一、世界でも珍しい地方分権組織。活動は上り坂にある。(改憲の動きに)勝てる可能性がある」と強調。大江さんも「独立した多様な声の重なりが結実した」と述べた。
また、作家の小田実さんは「自衛隊を自衛軍にしたら歯止めは利かなくなり大変なことになる。もっとも理想的であることが、もっとも現実的だ」と九条擁護の意義を訴えた。
大江さんたちのあいさつに続き、神奈川、新潟、千葉、沖縄、大阪からの報告も行われた。横須賀の岸さんは「基地の街、小泉純一郎首相の地元だからこそ、九条を守る運動をぜひ広げたい。原子力空母問題も安全面だけでなく、横須賀が米軍の出撃拠点になっていることが問題。岩国など基地を抱える地域の会と交流を深めたい」と呼び掛けた。新潟の「九条を守る阿賀野の会」の川上寿造さんは「元町村長、元教育長らがこぞって中心メンバーになり、生き生きと活動している」などと報告した。 参加者は全体集会後、十一の分散会に分かれ交流し、活動のノウハウなどを交換していた。 (熊谷和夫)
<「神戸新聞」6月11日>
「九条の会」2周年、東京都内で集会 憲法九条を守り改憲を阻止しようと、作家の大江健三郎氏や小田実氏、評論家の加藤周ー氏らの呼びかけで発足した「九条の会」の全国交流集会が10日、東京都内で開かれた。結成から丸2年を記念した集会で、全国各地にできた「九条の会」から約1500人が参加。互いの取り組みを報告し、連携や活動を広げる方策などを話し合った。
全体会では加藤氏が「日本は九条を中心'に、戦争と平和の分かれ道に立っている」と指摘。与党を中心とする改憲の動きには「国民の支持がないことが弱点」と述べた。
小田実は最近の改憲論について「『自衛隊を軍隊と認めることで軍国主義に歯止めをかける』というが、夢想的だ」と批判。「石油がなく、食糧自給率が40%という国が戦争をできるのか。理想に徹することが一番現実的だ」と訴えた。 九条の会は現在、全国に5174団体あり、兵庫県内では163団体が結成されている。大江氏は会の広がりについて「独立した多様な声が重なり合う場所として、憲法擁護のために大きく結実している」と評した。(足立聡)
<「共同通信」配信記事>
以下の各誌が掲載 静岡新聞、日刊県民福井、熊本日日新聞、中国新聞、徳島新聞、河北新聞、京都新聞、秋田魁新聞、福島民友社、山陰中央新報、東奥日報、山陽新聞、四国新聞
<「東京新聞」6月25日「社説」>
憲法をポケットに 週のはじめに考える
飾っておくだけでは役に立ちません。まして仕舞い込んではないも同然です。いつも持ち歩いて、絶えず意識し、現実と照合する。それが憲法を生かします。 ……………………………………………………………………………………
憲法改正の国民投票法案、教育基本法改正案、防衛庁を省に昇格する法案…白本の将来を暗示する宿題を残して通常国会が閉会しました。ポスト小泉レースの結果によっては、三法案の先にある「憲法改正」が一層現実味を帯びてくるでしょう。
そんな折、米連邦議会の重鎮ロバート・バード上院議員(民主党)の在職が一万七千三百二十七日を超え、歴代最長記録を更新しました。合衆国憲法の写しをいつもポケットに携帯し、イラク戦争に反対したリベラリストです。 いつも持ち歩き読む
憲法の重さを身をもって知り、大切にしていた世代が次々引退している日本の現状と、つい照らし合わせてしまいます。 宮沢喜一元首相は、国会を離れてからも尻ポケットの手帳に日本国憲法が印刷された紙を挟んでいます。時々、取り出して読みます。宮沢さんの番組をつくったテレビプロデューサーが「新・調査情報」59号誌上で披露したエピソードです。 「この憲法についてはあまりよく知らないからです」「明治憲法は学校でさんざん習ったのです。でも、新憲法は学校で習ったことがないのでいつも持ち歩いています」 この言い方はシャイな宮沢さんらしい謙遜で、本当は「常に憲法を意識する」姿勢の表れでしょう。 宮沢さんの覚悟を知ると小泉純一郎首相をすぐ連想します。
憲法解釈は「常識で考えろ」で押し通し、「どこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域か、私に分かるわけがない」と開き直ってイラクに自衛隊を送り出しました。戦争指導者も祭られている靖国神社に首相が参拝することで心に痛みを感じる人には目もくれません。 香りが漂ってこない
こんな首相が日常的に憲法を読み返しているとは思えません。 かつて日本による中国支配で重要な役割を担った人物を祖父に持ち、国際的なタカ派路線が評価されている安倍晋三内閣官房長官、中国や朝鮮半島の日本支配を肯定するかのような発言をした麻生太郎外相など、小泉後継の候補といわれる人たちの周辺からも“平和憲法の香り”は漂ってきません。
戦前からのエリートの血筋を受け継いだり、選挙地盤や財産を祖父、父から譲り受けた二世、三世の政治家、そうでなければ政治家養成学校で観念的な政治教育を受け、下積み の苦労を知らない苦手議員たち…この国の政治権力は与野党を問わずこんな人たちの手中にあります。 共通点は「戦場に送られるかもしれない」という被統治者の不安に対する想像力の欠如です。「自分は死なない」という気楽さからか、国際政治や軍事をゲーム感覚で語ったりします。
戦後六十年、日本人が生き方を洗い直すために掲げてきた、憲法とぃう旗印が降ろされようとしています。多くの国民がそれを許そうとしいるようにも見えます。 テポドン、靖国をめぐる中韓両国との対立、石油を中心とする資源争奪戦などの現実を前にして、平和だけでは日本人の生活を守れない、平和を支える軍事力が必要、との意識が国民の間に育ちつつあります。
しかし、その意識の裏に、流血や人の死と無関係な軍事力があるかのような錯覚がないでしょうか。六十年余も戦争に巻き込まれず戦死者ゼロという事実が、軍事力頼りに対する警戒感を弱めました。
日本では反戦平和論の多くが「悲惨な体験を繰り返したくない」と被害者の視点と文脈で語られます。その積み重ねが、「自分たちは負けない」「悲惨さが見えない」戦争、つまり日本から遠い地域での武力衝突に対する感受性を、いつの問にか鈍らせたようにも思えます。
改憲に積極的な論者はそこをついて一国平和主義と批判し、国際平和維持のために軍事的に貢献する必要性を強調します。でも、その人たちが、ともすれば犠牲者の出ることの想定抜きで軍事や戦争を語りがちなのも事実です。
日本国憲法を読めば、決して一国平和主義ではなく、非軍事的貢献で世界平和を構築することが日本の責務であると理解できます。
その責任を果たせずにいるのは、日本人が憲法を棚に飾るだけで、使いこなせなかったからでしょう。自民党政治による憲法棚上げを防げなかったのも同じ理由です。 総括のリトマス紙に
米国の一極支配をサポートし、自衛隊と米軍の事実上の一体化をこのまま進めるのか、それとも憲法の原点に戻って自立、自律の国際協調路線を目指すのか。これから秋にかけて小泉政治を総括し、ポスト小泉を大きな転機にしたいものです。れて肌身離さず携帯し、折に触れ読み返せば総括のリトマス試験紙になります。 |