お役立ち情報

国の行政施策の中から、暮らしに役立つ情報を分かりやすくまとめて提供しています。

  • 分野別に見る
  • 府省別に見る

ここから本文です

ご存じですか?食品中の放射性物質の新しい基準値は、
子どもたちの安全に特に配慮して定められています

平成24年4月掲載

  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録

Outline

  • 食品中の放射性物質については、平成23年3月から、「年間線量5ミリシーベルト以下」に基づく暫定規制値が適用されてきました
  • 平成24年4月1日からは、より一層の安全・安心を確保するため、「年間線量1ミリシーベルト以下」に基づく、より厳しい基準値が適用されています
  • 新たな基準値は、「飲料水」「乳児用食品」「牛乳」「一般食品」の4区分で定められています
  • 新たな基準値は、最も食品摂取量の多い、13歳~18歳の男性でも年間1ミリシーベルトを超えないように設定しており、乳幼児などの年齢の線量はさらに小さなものとなると考えられます
  • 乳児用食品や牛乳は、子どもの安全を優先する観点で設けられた区分で、万が一、流通する食品のすべてが汚染されていた場合まで考慮して、基準値を計算しています
  • 消費者庁、内閣府食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省では、食品と放射性物質に関して、消費者と専門家が共に参加する意見交換会などを全国各地で開催しています

農産物や水産物、飲料水など、ふだん口にする食品について、国は様々な安全基準を規定しています。食品中の放射性物質については、平成23年3月から「年間線量5ミリシーベルト以下」に基づく暫定規制値が適用されていましたが、より一層の安全・安心を確保するため、平成24年4月1日から放射性ストロンチウムなどを含めて「年間1ミリシーベルト以下」に引き下げた新たな基準値が適用されています。

放射能の強さを表す「ベクレル」、人体への影響の程度を表す「シーベルト」

放射能に関する情報では、「放射能」「放射線」「放射性物質」という言葉や、「ベクレル」「シーベルト」という単位が登場しますが、まず、この言葉や単位が何を表すかについて説明します。

放射能とは、放射性物質が放射線を出す能力のこと、放射線とは物質を通過する高速の粒子や波長が短い電磁波のことです。電球にたとえて説明すると、放射性物質が電球、放射能が電球が光を出す能力、放射線が光にあたります。

放射性物質は放射能をもつ物質で、放射性ヨウ素や放射性セシウムなど、様々な種類があります。放射性物質がもつ放射能は、時間が経つにつれて弱まり、一定の期間が経つと半減する性質があります。

(参考:文部科学省「中学校生徒用 放射線等に関する副読本」)

 

放射能に関連するニュースで見聞きする「ベクレル」は、放射性物質が放射線を出す能力(放射能の強さ)を表す単位です。農産物などの食品に放射性物質が検出された場合は、1kg当たりの「ベクレル」で示されます。また、「シーベルト」は人体が受けた放射線による影響の度合いを表す単位です。放射線を外部から受ける外部被ばくの場合は、空間線量と被ばくした時間によって、放射性物質を含んだ食品などを摂取して体の内側から放射線を受ける内部被ばくでは、「ベクレル」と食べた量(kg)、実効線量係数(※1)によって、それぞれ人体への影響の程度(単位:シーベルト)(※2)を計算することができます。

※1 放射性物質の種類や年代ごとに、口から摂取したか、鼻から吸い込んだかなどの被ばく経路別に国際放射線防護委員会などが設定している係数。

※2 放射線の管理では、一時的な被ばく量だけでなく、被ばくの総量を管理することも重要となります。

より一層の安全と安心を図るため、平成24年4月から新たな基準値を適用

食品による内部被ばくを防ぐため、厚生労働省では平成23年3月17日から、食品に含まれる放射性物質について暫定規制値を定め、暫定規制値を上回る食品の規制を行ってきました。

この暫定規制値は、原子力安全委員会が示していた「飲食物摂取制限に関する指標」に沿って、食品からの被ばく線量の限度を放射性セシウムについては1年間に5ミリシーベルトとし、食品カテゴリーごとに、汚染された食品を一定の割合で食べ続けた場合でも、この線量に達しないよう算出されていました。成人、幼児、乳児はそれぞれの摂取量や体格・代謝などが異なることから、年代別で限度値は異なりますが、その中でも最も厳しい数値をすべての年齢に適用していました。この考え方は新たな基準値でも同じであり、新たな基準値では考慮する年代をさらにきめ細やかにして計算をしています。

この暫定規制値に適合している食品は、健康への影響はないと一般的に評価され、安全性は確保されていると考えられますが、より一層、食品の安全と安心を確保するため、平成24年4月1日から、年間の線量の上限を「5ミリシーベルト」から放射性ストロンチウムなどを含めて「1ミリシーベルト」に引き下げた、新たな基準値が適用されています。食品の国際規格を作成しているコーデックス委員会の指標も、「1ミリシーベルト」を超えないように設定されていることから、新たな基準値は、国際規格にも準拠したものになります。

すべての年齢の人に配慮された基準値を設定しています

新たな基準値では、すべての人が摂取し代替がきかず、摂取量が多い「飲料水」、乳児だけが食べる「乳児用食品」、子どもの摂取量が特に多い「牛乳」など、特に配慮が必要と考えられる食品については区分を設け、それ以外の食品は、個人の食習慣の違い(飲食する食品の偏り)の影響を最小限にするため、一括して「一般食品」として、4つの区分で次のような基準値を設定しました。

放射性セシウムの暫定規制値

放射性セシウムの新基準値
食品群 規制値
(単位:ベクレル/kg)
食品群 規制値
(単位:ベクレル/kg)
野菜類 500 一般食品 100
穀類 ○食品の区分を変更
○年間線量の上限を引き下げ
肉・卵・魚・その他 乳児用食品 50
牛乳・乳製品 200  牛乳 50
飲料水 200 飲料水 10

*参考:コーデックス委員会の指標値

  放射性セシウム指標値(Bq/kg)
一般食品 1,000
乳幼児用食品 1,000

※参考の表は、コーデックス規格「General Standard for Contaminants and Toxins in Food and Feed」を基に作成。コーデックス規格では、核種(放射性物質)ごとに指標値を示しているが、食品区分ごとには示されていない。

まず、すべての人が摂取し、摂取量も多い飲料水の基準値は「10ベクレル/kg」とされました。これは、WHO(世界保健機関)が示している指標値に沿ったものです。

一般食品の基準値は「100ベクレル/kg」です。これは、年間1ミリシーベルトから、飲料水の線量(約0.1ミリシーベルト/年)を差し引いた線量(約0.9ミリシーベルト/年)を、年齢区分別の年間摂取量と実効線量係数で割ることにより、限度値を算出し(※)、すべての年齢区分の限度値のうち、最も厳しい値から基準値を決定したものです。

※なお、限度値の算出に当たっては、日本の食料自給率などを考慮して、流通する食品の50%が汚染されていると設定して基準値を算出しています。

乳児用食品や牛乳は、子どもだけが食べる、あるいは、子どもの摂取量が特に多く、内閣府食品安全委員会において、大人よりも放射線に対する感受性が高い可能性が指摘されていることから、一般食品の基準値「100ベクレル/kg」の半分である「50ベクレル/kg」とされました。従って、乳児用食品や牛乳では、万一、流通している食品のすべてが基準値上限の放射性物質で汚染されてしまっている状況までを考慮して基準値が設定されていることになります。

年齢区分別の限度値

年齢区分 性別 限度値(ベクレル/kg)
1歳未満 男女 460
1歳~6歳 310
320
7歳~12歳 210
190
13歳~18歳 120
150
19歳以上 130
160
妊婦 160
最小値 120

子どもにとっても安全性を考慮した基準値

一般食品の基準値は、すべての年齢区分の中で最も小さい値を全年齢の基準値とすることで、どの年齢の人にとっても考慮された基準値となっています。

一般食品の基準値の食品を一定の割合で摂取した場合の被ばく線量は、最も多いのが13歳~18歳の男子で0.8ミリシーベルト/年で、年間1ミリシーベルトの上限を2割下回ります。また、乳幼児の被ばく線量は大人の半分程度です。このように、一般食品の基準値を満たした食品で離乳食をつくって、子どもに食べさせることができます。

基準値上限の食品を食べ続けるというような状況は考えられませんので、実際の被ばく量はこの数値よりもかなり小さい値になります。

基準値の食品を一定の割合で摂取した場合の被ばく量

基準値の食品を一定の割合で摂取した場合の被ばく量

(資料:厚生労働省「食品中の放射性物質の新たな基準値について」より)

米、牛肉、大豆や製造・加工食品には経過措置を設定

新たな基準値は、平成24年4月1日以降に出荷する原料(生鮮食品など)、平成24年4月1日以降に製造、加工、輸入された食品に適用されます。なお、平成24年3月31日までに製造、加工、輸入された食品については、賞味期限まで暫定規制値が適用されます。

また、米や牛肉、大豆およびその加工食品については、一定の範囲で経過措置期間が設けられています。これは、米と大豆は1年に1回、決まった時期に収穫される農作物であること、また、牛肉は、冷凍牛肉の賞味期限が約2年であり、平成24年4月1日より前にと畜された牛肉の在庫の残りがなくなるのに6か月程度を要することなどから、市場に混乱が起きないよう配慮したものです。 米・牛肉については、平成24年9月30日までを経過措置期間とし、平成24年10月1日から新たな基準値が適用されます。

大豆については、平成24年12月31日までを経過措置期間とし、平成25年1月1日から新たな基準値が適用されます。

なお、新基準値の適用日より前に、これらを原料に製造・加工、輸入された食品については、賞味期限まで暫定規制値が適用されることとなります。

食品中の放射性物質の新たな基準値について

(資料:厚生労働省「食品中の放射性物質の新たな基準値について」より)

各都道府県等が検査を行い、基準値を超えた場合は出荷制限を行います

食品中の放射性物質に関する検査は、原子力災害対策本部が検査計画のガイドラインを策定し、そのガイドラインに基づいて、各都道府県、保健所設置市及び特別区が検査計画を策定し、実施します。新たな基準値の施行に当たっては、放射性セシウムの検出レベルの高い食品、飼養管理の影響を大きく受ける食品、水産物を重点的に実施できるようにするなどガイドラインの見直しも行われました。

厚生労働省では、測定機器購入補助のほか、検疫所を含む国立機関などの試験機関を紹介したり、簡易測定機器の導入によるスクリーニング検査の導入を促進したりするなど、各都道府県等が行う検査体制を支援しています。

ガイドラインに基づいて各都道府県等が行った検査の結果は、すべて厚生労働省に報告がなされ、厚生労働省においてとりまとめられ、ウェブサイトで公表しています。

検査の結果、基準値を超えた場合は、その食品の回収・廃棄が行われ、それが複数の市町村で確認された場合などには、原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)から、地域や品目を指定して出荷制限の指示が行われます。さらに、著しく高い濃度の値が検出された場合は、摂取制限の指示が行われます。

 

生産現場では、食品の基準値を超える放射性物質を含む農畜産物が生産されたり、農地の汚染が拡大したりしないように、農地土壌の放射性物質の濃度を調べたり、除染を行ったりしています。さらに、肥料や家畜の飼料などの放射性物質濃度の許容値を設定して、許容値を超えたものを利用しないようにするなど、様々な取組を行っています。

このように、基準値を超える食品や農畜産物が生産・流通しないよう、生産現場や行政機関では、様々な取組を行っています。放射性物質や基準値について、正しい知識と情報を持ち、バランスのとれた健康的な食生活を心がけてください。

食品と放射性物質に関するリスクコミュニケーション等について

新たな基準値や食品中の放射性物質による健康影響、国や地方自治体が実施する検査の方法、生産現場での取組などについて理解を深めていただくことを目的として、消費者庁、内閣府食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省では、食品と放射性物質に関して、消費者と専門家が共に参加する意見交換会などを全国各地で開催しています。お近くの方は、ぜひご参加ください。

<取材協力:内閣府、消費者庁、文部科学省、厚生労働省、農林水産省  文責:政府広報オンライン>

「お役立ち情報」では、国の行政施策の中から暮らしにかかわりの深いテーマ、暮らしに役立つ情報をピックアップし、分かりやすくまとめて提供しています。

政府広報

政府インターネットテレビ 政府インターネットテレビ
食品中の放射性物質の新・基準値~さらなる安全と安心のために
  食品の中の放射性物質については、平成24年4月から「年間1ミリシーベルト以下」に引き下げた新しい基準値を設定し、適用しています。この新しい基準値は、食品のより一層の安全と安心を確保するためのものであり、基準値を下回って流通している食品については、乳幼児をはじめ、すべての年齢の方々にとって安全なものとなっています。今回は、食の安全を守るために、生産者や地方自治体、そして、国の取り組みについてご紹介します。
政府インターネットテレビ 政府インターネットテレビ
食品中の放射性物質の新・基準値~食品中の放射性物質の健康への影響
  食品の中の放射性物質については、平成24年4月から「年間1ミリシーベルト以下」に引き下げた新しい基準値を設定し、適用しています。しかし、実際、食品の中の放射性物質やシーベルトといってもよく分からないという方が、大勢いるのではないでしょうか?今回は、私たちの身の回りにある放射性物質と毎日食べる食品中の放射性物質から受ける健康への影響について、ご説明します。

みなさまのご意見をお聞かせください

Q1.この記事をご覧になっていかがでしたか?
Q2.この記事は役に立ちましたか?