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イレッサ問題について、「これは投与した医師の責任だ」という意見がある。
→ イレッサ訴訟で裁判官を批判してる人は裁判の内容を知っているのか? - Togetter
その趣旨は次の通り。
・ イレッサの副作用は、十分に告知されていた。
・ だから慎重に投与した事例では、問題はなかった。
・ 一部の医師は、いい加減に投与したので、問題が生じた。
・ 責任は当の医師にある。国の責任ではない。
これを読んで「なるほど」と思った人が多い。特に、原告側にいるのが浜六郎という人物で、これがトンデモマニアの目の敵であることから、「イレッサ原告側はトンデモだ! トンデモの言うことは間違いだ! だからイレッサの被告側が正しいんだ!」という趣旨の見解が、はてなブックマークでは賑わった。
→ はてなブックマーク
ところで、一般的には、次の命題が成立する。
「トンデモマニアが騒いでいる事例では、たいてい、トンデモマニアが間違っている」
私も、上記の togetter を読んだときは、「なるほど」と思ったのだが、トンデモマニアが賛同しているのならば、たぶんそれは間違いだろうと思って、調べ直した。すると、まさしくその通りだと判明した。
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まず、私は次のように述べた。
「イレッサ問題の本質は、マスコミが『夢の新薬』と騒いだことである。そのせいで、ろくに副作用の危険性もわきまえずに、やたらと大量に使いすぎた」
→ イレッサ問題の本質 (2011年02月26日)
この件について情報の詳細を求めたところ、次のページが見つかった。
→ 私たちが信じたイレッサ・患者たちが期待した経緯と背景 (2011年8月)
このページは、私の指摘(2011年02月)の半年後に書かれたものだ。私の指摘は、Google でもかなり上位に来ていたので、関係者が私のページを見て、調べ直したのかもしれない。
ともあれ、それによると、非常に詳しい状況が記されている。詳しくは上記ページを見てもらえばわかるが、長すぎるので、簡単にポイントを示しておこう。こうだ。
「イレッサの発売前には、マスコミ各社が大々的に『夢の新薬だ』という記事をあちこちで記した。一種のブームだった。ではなぜ、それらのブームが起こったか? マスコミがそろって勘違いしていたからか? 違う。これらの記事は、製薬会社の広告記事だったのである。簡単に言えば、製薬会社がマスコミを買収して、宣伝していた」
つまり、「マスコミの嘘を信じた患者が悪い」と言えるのだが、その根源には「嘘をついたマスコミ」があった。そのまた根源には、「マスコミを買収して嘘をつかせた製薬会社」があった。
以上を簡単に言えば、こうなる。
「製薬会社が、多額の広告宣伝費によってマスコミを買収して、『夢の新薬だ』という記事をあちこちで書かせた。つまり、虚偽によってだました」
ライブドアのホリエモンは、嘘をついて、投資家の夢をふくらまして、投資家に多額の損失をもたらした。そのあとで、懲役刑となった。
イレッサの製薬会社は、自分では嘘をつかず、マスコミを買収して、マスコミに嘘をつかせて、患者の夢をふくらまして、患者の命を多大に奪った。そのあとで、知らぬ顔の半兵衛をしながら、懐には巨額の利益を入れた。
一般に、抗ガン剤の製造コストは1割程度である。(インドで同じ構造の薬を作ると、1割で済む。) つまり、利益率は9割。販売額がそのまま利益になる。
そして、イレッサは、「夢の新薬だ」という記事のおかげで、短期間に大量の販売が可能になった。
販売当初一錠の価格は9000円(保険適用前),7216円(保険適用後)。製薬会社は、マスコミや医療関係者の買収のために、1億円ぐらいを使ったのだろう。だが、それを圧倒的に上回る巨利(1000億円?)を、まんまと手に入れたのである。
平成14年7月5日から平成16年12月31日までのイレッサの国内出荷量は、約554万錠、推定累積患者数42000人。
2002年〜2008年の販売額は、
95億円,135億円,150億円,130億円,130億円,135億円,140億円
( → 上記ページ )
あなたなら、どうしますか?
「そこいらには、金を欲しがる守銭奴がいる。その守銭奴を買収して、嘘をつかせればいい。すると、その嘘を信じた阿呆が、どんどん金を払う。あなたが守銭奴に買収費を1億円払えば、阿呆があなたに 1000億円をもたらしてくれる」
この質問を受けて、あなたならどうします?
あるいは、こうだ。
「愚か者たちをだますといい。あなたは何も手を下す必要はない。ちょっと金を渡して、嘘をつかせるだけでいい。そうすれば、あなたは 1000億円をもらえる。あなたは嘘をつかせるだけで、自分では手を汚さない。ちょっと人をだますだけで、1000億円を手に入れられるんだ。だから、さあ、愚か者たちをだますといい」
そう教えたのは、こいつだ。
悪魔
(出典:ダンテ・神曲(ドレ) )
そして、こいつの言葉に従えば、あなたは 1000億円を得る。しかし同時に、1000人の死者が生じる。
あなたは 1000人を死なせることで、1000億円を得る。
どうです? あなたなら、そうしますか?
そして、その悪魔の言葉を聞いたときに、製薬会社がどういう返事をしたかは、言わずもがな。
[ 余談 ]
この方法には、「悪賢さを非難される」という弊害がある。
それを避けるために、一つ、うまい方法がある。こうだ。
「『製薬会社はちっとも悪くない。悪いのは医者だよ』と togetter に書く」
これはうまい方法だ。こうすれば、愚か者たちがだまされて、「悪いのは医者だ。製薬会社は悪くはない」と信じるようになる。特に、トンデモマニアたちは、その言葉を信じるようになる。
「製薬会社は悪くない! 製薬会社が悪いという奴はトンデモだ! その証拠に、裁判の原告側には、トンデモが混じっているぞ!」
こうしてトンデモマニアのような連中は、あっさり引っかかる。かくて、あなたは 1000人を死なせて、1000億円を入手しても、真相を隠しておける。ちっとも非難されない。
ただし、それを暴露してしまったのが、私だ。
ゆえに、悪魔はきっと、トンデモマニアを駆り立てて、本サイトに対して「こいつはトンデモだ!」と非難するだろう。そのうちいつか。( or すでにそれをしている?)
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何だか話が逸れてしまったようなので、最後にまとめておこう。
イレッサ問題の本質は、マスコミが嘘を書き連ねたことだ。
その根源には、製薬会社がマスコミを買収して、嘘を書かせた、という事実がある。その際、高名な医療関係者も、買収された。
このような狡猾な買収と人的被害に比べれば、ライブドアの問題なんて、児戯に等しい。
[ 付記 ]
なお、「誰が真犯人か?」を知りたいときに、一般的に成立する方法がある。
「その事件では被害者が生じたが、利益を得たのは誰か? それを探れば、真犯人がわかる」
イレッサを「夢の新薬」と大々的に売り出したときに、利益を得たのは誰か? マスコミか? マスコミが莫大な利益を得たのか?
そこまで考えれば、真犯人は自明だろう。
【 関連項目 】
→ イレッサ問題の本質 (2011年02月26日)
【 関連サイト 】
本文中でも示したが、詳細は下記ページ。
→ 私たちが信じたイレッサ・患者たちが期待した経緯と背景 (2011年8月)
そこに掲載されているが、マスコミの提灯記事は、下記に証拠がある。(記事の PDF )
→ 「2001年8月9日・読売新聞「イレッサ・病巣狙い撃つ新薬」
→ 医学雑誌・メディカルトリビューンMedical Tribune) (県立愛知病院・院長)
→ 2001年11月22日・イレッサに関して行われた対談(Medical Tribune) (国立がんセンター中央病院内科部長)
※ 後者の二つは「提供●アストラゼネカ株式会社」と右上に書いてある。