傍田
「シリーズでお伝えしている、『イラク戦争開戦から10年』。
2回目の今日(19日)は、戦争後の混乱で激しさを増した宗派間の対立です。」
鎌倉
「挙国一致を目指して発足した政権の内部でも依然、宗派対立は根深く、国作りにとっての障害を築くとともに、今もあとを絶たないテロの原因にもなっています。
イラクの宗派対立の構図について、まず黒木さんからです。」
黒木
「こちらをご覧下さい。
イラクでは、人口のうち、イスラム教のシーア派が6割、スンニ派が2割を占めています。
スンニ派のフセイン政権時代、多数派のシーア派は抑圧されてきましたが、フセイン政権が倒れると立場は逆転し、シーア派のマリキ政権が発足します。
しかし、それまで既得権を握っていたスンニ派が反発を強め、宗派対立は一時、『内戦』と呼ばれるほど激しさを増しました。
その後、一時鎮静化したかに見えた宗派対立が再び激しくなるきっかけとなったのは、隣国シリアの内戦なんです。
マリキ政権は、シーア派の一派が支配層を占めるシリアのアサド政権と良好な関係にあります。
一方、シリアの反政府勢力はスンニ派が中心です。
このシリアの反政府勢力をイラクのスンニ派が支援する動きが出ています。
仮にアサド政権が倒れると、イラクのスンニ派も勢いを増すと見られ、シリア内戦の影響がイラクに飛び火しかねない状況になっているのです。」
鎌倉
「シリアの内戦の影響で再び激化する様相を見せるイラクの宗派対立。
戦乱に翻弄されるイラクの市民を取材しました。」