(東北大学多元物質科学研究所 教授)
私は高校時代には文学部に進学したいと思っていましたが、両親が女性も専門的な職業に就くべきという考えで理系を勧めたので、最初は自分の視野を広めようと納得して化学科に進学しました。実験がおもしろく、特に物理化学の学生実験で測定から分子の性質が具体的に分かることに感動して、化学をもっと学びたいと思うようになりました。
大学院での研究では、実験で自分の気づいた小さな糸口から、それまで知られていなかった現象を一般的な形で表現でき、研究がおもしろくて段々に打ち込んでいきました。
修士課程では観察を大事にという指導を受けました。博士課程で学んだ研究室には、物理の好きなスタッフ・学生が多く、基礎を物理的に考えるという訓練を受けました。また、大学院において、何とか観察を体系的にまとまった研究にしたいと努力したことがその後の研究の基礎となっています。
30代半ばで永住も考えながらスウェーデンの界面化学研究所で研究していた時、JSTのERATO研究への参加を要請され帰国しました。そこでグループリーダとして5年間研究して、まとまった成果を出すことができました。この成果が、名古屋大学への助教授のポストにつながりました。
理工系の進路は多様なので、好きなことを見つけて、活躍して下さい。
男女共同参画は確実に進んでいると思います。学生や若い研究者が将来への夢を実現できる環境を整備することに少しでも役立つことができれば幸せです。