うちはマダラについての雑考 (その1)
「うちはマダラ」についての雑考 (その1)最近の柱間回想の内容も踏まえて、「うちはマダラ」について少々…なんて言いながら、結局マダラという人物について、私もよく分かってない。 ただ… この人、相当変わった「扱いにくい人」ではありますな(もっとも根はすごく真面目な人じゃないかと思うんですが)。 それに、シャイな人ほど「本当の自分」を見せまいとして、巧妙に己を隠しますから・・とにかく、わかりにくい。 でも、『分からなくなったら子供時代を見よ』ということで、柱間回想に登場した“子供マダラ”こそマダラの本当の姿であることを心に留めつつ、少しずつではありますが「うちはマダラ」について考えてみたいと思います。
「分かりにくい人」の中でも、分かりにくさトップクラスを誇る「うちはマダラ」・・・その「分かりにくさ」の原因の1つともなっているのが、本人登場前に予め与えられた“イメージ”。
マダラほど、イメージだけ先行したキャラはいないんじゃないだろうか。 事前に与えられていた「マダラ」のイメージは、とにかく恐ろしい「力」の象徴…。 読者は最初っからその「思い込み」の中でマダラという人物を見ていたから、余計にマダラという人物が、わかりにくくなる。
では、ご本人登場前に「マダラ」のイメージは、どのように描かれてきたかというと・・・
364話トビの「写輪眼の本当の力が… この“うちはマダラ”の力が」 (カッ)←ゴロゴロと雷鳴付き(演出派手っ!)による「恐ろしいイメージ」とか、九尾がサスケに言った「その瞳力とワシ以上に禍々しいチャクラ… かつてのうちはマダラと同じだな」(308話)とか、イタチがサスケに語った「弟の眼を奪った、欲深な兄」としてのマダラ(386話)、自来也がガマ寅に語った「九尾事件の黒幕はうちはマダラではないか」という話(370話)等々・・
ようするに、事前に与えられていた「マダラ情報」とは、作者による「説明」ではなくって、誰かさんの演出だったり、人の「噂」の類ではあったんですが・・・「マダラ情報」を持たない読者としては、彼らの語る「マダラ」をそのまま受け取るしかなかった。
625話の雑考で、扉間が『うちは一族に関する“噂”』をもとに兄者に「推測話」をしているのを見て、なんだ…「噂」を信じるなんてインテリな扉間らしくもない・・なんて書いたのですが、マダラ登場前に与えられたマダラのイメージも、結局は「噂」レベルでしかないんですよね。
しかし、事前に与えられたイメージ《マダラ=憎しみ、力、恐怖》は、いよいよ559話で…《ドッ!!!》…(棺桶のフタぶっ飛ばし)というド派手なご本人登場で、いよいよ「完成」させられるのであります・・・。
(まさに「イメージ通り」だった、初登場時のマダラ)
五影戦場での穢土転マダラも、“イメージ通り”である事を証明するような言動が多かった…
圧倒的な強さ、容赦ない攻撃…敵役としてワルの美全開でしたからねぇ。
そして、五影達を片付けてナルト(本体)がいる戦場に“飛び込んできた”時のマダラさんも、まだそのイメージを引っさげたままでした。 ナルトの『向こうの皆はどうした!!?』という質問に、
『さあな… おそらく―』
『無事ではあるまいな』 (イヤらしい横目遣い)
…ですからねぇ。
だいたいマダラ爺が飛び込んできた時、オビトは露骨に嫌そうな顔をしていたし、こりゃオビトはマダラの事を嫌ってるか、『恐れているか』…どっちかじゃないかと思ったんです。
そして、オビトが『そいつは返す アンタのものだ』と言ってマダラの団扇を放り投げた時も、投げ方がかなり邪険というか…雑に見えまして…。 これもマダラを「煙たがってる」からなのかと…。
だけど、その直後にマダラは盾をつくって(須佐能乎なのかチャクラの盾なのかちょっと不明)オビトのことも守っているし…オビトも「守ってもらって当然」みたいな顔をしてる。 あれっ、この2人意外と信頼関係厚いのか?オビトはマダラを嫌ってる訳じゃなさそうだな・・と思ったんです。
そして、さらにそう思ったのは「カカシがマダラの事を悪者扱いする度に」、オビトが悲しそうな反応をしたからです…
601話で、カカシが「どうして“あんな奴”と…!?」と言った時は無言で虚空を見つめ、回想を始めたし…
607話で、カカシが「なぜマダラのような奴と!?」と(再び)言った時は、黙ってうつむいた…(↓)
当然カカシは「マダラ」を知らないわけだけど、語り継がれてきた「イメージ」だけで「悪い奴」と決め込んでいるわけでして・・・ オビトはどっちも「無言」ではあったけど、カカシがマダラの事を「あんな奴」と言った事が辛かったのか・・?と思える反応でした。 (お前がマダラの何を知っている!?)とでも言いたかったんだろか、と・・。 時々質問を頂くんですが、《オビトはマダラを裏切ると思うか?》とか《マダラはオビトを利用しているだけじゃないか?》とか… でも、私にはそうは思えないんです。 マダラがオビトを見つめる眼は優しいし、それにオビトもマダラを裏切ることは、まず「ない」だろうと…ほぼ確信しています。
なぜなら、オビトはこの戦争にマダラの「形見」である団扇を背負って出陣しているからです…
オビトにとって「背負うモノ」は、特別な意味を持つ…というのは昨年の雑考でも述べた事がありますが、
オビトが今でも「英雄」だと信じる「かつてのカカシ」は、父サクモのチャクラ刀を背負っていた…だからオビトがマダラの団扇を背負って出てきたという事は、マダラの意志を大切にしている「証拠」でして、いくらマダラに悪態を吐こうが可愛くない事を言おうが、マダラを大切に思ってる事は「バレバレ」…
オビトに団扇を投げ返されて、「フン・・」と言うマダラ。
うちは一族が「フン・・」という時は、大抵の場合「ホントは嬉しい時」・・・
もしかして、オビトが団扇を持ってきていた事が、嬉しかったのでは・・・
とはいえ、マダラはオビトにさえ「腑(はらわた)」は見せていなかったようで、マダラが“本当は”何を考えているのか…オビトも量りかねていたような印象を受けるんです。 だから63〜64巻の2人のやりとりを見ていると、オビトはマダラ爺ちゃんの様子を「観察」し、巧みな会話で「マダラの腑」を少しずつ、探っているように見える…。
改めて64巻あたりの2人の会話を読んでみると、『いかにも素直じゃない、うちは一族らしい』会話なんですよね。 表面的に交されている会話はフェイクに過ぎず、実は違うところで腑の探り合いをしてるのではないか…と思えてきました。 例を挙げて、少しずつその様子を見ていくことにいたします・・・
(その2へ続けます)
(ここまで読んでくださって、ありがとうございます・・・ナルト好きブログ! 2013/04/10) |