15人のメンバーを揃えた政人達は「同行」を使用し、ソウフラビへと飛んだ。
「一坪の海岸線」入手条件。
それはレイザーと14人の悪魔を倒すことであり、そのためこちらもそれと同数の人数を揃えていかなければならない。
“15人でソウフラビへと飛ぶこと”それがイベントの発生条件だ。
「こっちだ」
レイザーに案内され政人達が到着したのは岬だ。
灯台を改造した要塞。その中で勝負は行われる。
中に入って最初に思ったことは“体育館のようだ”だった。
2箇所に取り付けられたバスケットのゴールに、床に設置されたバレーのコート。
他にも跳び箱やマットなどがある。
その体育館の中には海賊達がたむろしており、全員が黒い帽子を被っている。
「ここでレイザーと戦うわけだ」
「いや、レイザーってあんただろ」
レイザーの説明にキルアが横槍を入れる。
戦うはずのボスキャラがこちらにいるわけだが、これでゲームが成立するのだろうか。
「ま、問題ないさ」
「いや、大アリだろ」
明らかにおかしい状況だが当の本人は気にしていないらしく、キルアをスルーしてルールの説明を開始する。
ゲームは互いに15人ずつ代表を出して戦い、一人一勝。同じ代表が何度も勝ち星を稼ぐことはできない。
勝利条件は先に8勝することで、負けた場合のデメリットは同じチームで挑めなくなることだ。
とはいえ、一人でも代えればそれで済む話なのでかなり軽いデメリットだ。
勝負の形式はスポーツ。
海賊達がそれぞれ得意なスポーツで勝負を挑む。
「俺が一番手だ。勝負形式はボクシング!」
海賊のうちの一人、細長い男が名乗りをあげる。
対し、こちらから先陣を切ったのは世紀末覇者ラオウ!
二人はリングの上へと登り、グローブを付けて向かい合う。
「1ラウンド3分間判定なし! どちらかがKO負けとなるまで何ラウンドでも続ける! ファイト!」
試合開始のゴングが鳴り、それと同時にラオウが踏み込む!
「俺の剛拳、いつまで受けきれるかな!?」
北斗羅烈拳!!
神をも屠る剛の拳が連続で海賊を打ちのめし、血の海に沈める。
ガードなど最初の一発で弾かれてしまった。格が違う。
「そこまで! 勝者ラオウ!」
続く第2戦はSUMOU!
海賊の中で最も太くでかいボポボという男が土俵に立ち、ミルキが迎え撃つ!
互いにSHIOを巻き、周囲を浄化。
四股を踏み、正面から見合う。
「はっけよい、残った!」
開始の合図。それと同時に両者は飛び出し、DOHYOU中央で衝突する。
衝撃。
突風。
二人の激突により体育館内を嵐が吹き荒れ、窓が割れる。
「ふん!」
ミルキが腰を落としHARITEの連打。
空間すら捻じ曲げ、光速すら越えた攻撃が何度もボポボを滅多打ちにする。
だがボポボは倒れず、それどころか頭から突進!
「どすこい!」
人間ミサイルと化したボポボの突進を、しかしミルキは正面から受け止め、空中に放り投げる。
だがRIKISHIにとって空中に投げられることは敗北を意味しない。
RIKISHIにとっては空中すらもDOHYOUに過ぎないのだ。
ボポボが飛ぶ。
ミルキも飛ぶ。
割れた窓から二人は飛び出し、グリードアイランドそのものをDOHYOUとして戦い続ける!
アントキバ!
アイアイ!
マサドラ! ドリアス!
リーメイロ! ルビキューダ!
カード不要の空中戦。場所を変え、空を変え、二人は戦う。
HARITEが炸裂し、竜巻が巻き起こる。
TUPPARIによって空が割れ、雲が吹き飛ぶ。
雷が鳴り響き、地震が大地を揺らし、台風がグリードアイランドを覆う。
そして一周して二人は要塞上空へと戻り、遂に決着の瞬間が訪れた。
「はあ!」
ミルキがボポボを掴み、急降下!
要塞の屋根を突き破り、体育館床を突き破り、大地を突き破り、地核をも突き破って地球の反対側へ!
そしてリターン!
再度地核を貫いて再び体育館へ。
そして空中へ放り投げ、落ちてきたところへHARITE!
派手な轟音と共にボポボは弾き飛ばされ、体育館の壁を突き破って吹き飛んでいった。
OSIDASI!
ミルキの勝利だ。
ちなみに、ミルキが突き破った地核などはGYOUJIが修復した。
第3戦。リフティング。
出るのはジャギだ。
勝負開始と同時に銃声! ジャギの凶弾が海賊のボールを破壊した!
ボールがなくてはリフティングもできない。
この時点でジャギの勝利が決定した。
「いや、今のどう考えても反則だろ……」
スポーツの基準って何だっけ?
キルアは己の中の常識が崩壊していくのを感じていた。
第4戦。ビーチバレー。これにはサウザー・モラウがコンビで挑んだ。
まずモラウが念能力で煙の兵士を量産し、コート内の人数を増やし、数の有利を築く。
続いてサウザーが敵コートに聖帝十字陵を建設。相手を一人潰し、更に相手コートを埋めてしまった。
こんな状態で勝負になるわけもない。
モラウ・サウザーコンビはあまりにも一方的な勝利を収めた。
「俺が相手になろう」
「あんたこっち側じゃなかったっけ」
ここに来て遂にゲームマスター・レイザーが動いた。
しかしレイザーはこちらのメンバーだ。戦えるわけがない。
そのことをキルアが指摘すると、レイザーは不敵に笑った。
「少年、“14人の悪魔”とは何だと思う?」
「は? そりゃここの海賊のことだろ?」
レイザーと14人の悪魔、なのだから当然それはレイザー以外を指すはずだ。
ならばここにいる海賊達以外ないだろう。
そうキルアが言うとレイザーはチッチッチッ、と指を振った。
「違うな。14人の悪魔、とは……俺の念能力のことさ!」
言って、レイザーは己の念能力を発動する。
現れるのは具現化された念。
レイザーのオーラで作られた自立式念人形。
コートに立つ、14人のレイザー!!!
「はあ!!?」
「“最終鬼畜・14人の悪魔(”!! これが俺の念能力だ!」
なんだよ、その反則能力。キルアは念能力がわからなくなった。
メモリって何だっけ? 系統って美味しいの?
オーラ総量とかどうなってるの?
様々な思考が脳内を飛び交い、最終的に出した結論は“こいつらに常識は通じない”だった。
「なるほど、そういうゲームか。えげつねェな」
ゴレイヌが真っ先に気付き、呟く。
このゲームは結局のところレイザー一人がボスであり敵なのだ。
このドッジボールで勝てば8勝が手に入り勝利条件達成。
逆に負ければいくら他の雑魚に勝っていても意味がないわけだ。
「さあ、8人の代表を選ぶんだな」
メンバーを選べというレイザーの言葉に政人達は顔を見合わせる。
間違いなくこのゲーム最強の敵。ならばこちらも最強のメンバーで挑むべきだ。
まず、レイザー! それからレイザー!
レイザーにレイザー、更にレイザー! ついでにレイザー!
後レイザーは入れたいところだし、だがここはレイザーにするべきだろう。
そして最後にキルア!
ゲームにはこの8人が挑む!
「ふざけんなァァァァ!!!!」
キルアの怒声が木霊した。
レイザーチーム
外野・レイザー
内野・レイザー×7
マッスルチーム
外野・レイザー
内野・レイザー×6、キルア
「馬鹿じゃねーの!? 何だよこのアホな布陣! どれが敵かわかんねーだろ!」
右を見てもレイザー、左を見てもレイザー。
敵も味方も全部レイザー。
こんな場所にいては狂ってしまう。そう考えたキルアは強引にメンバー変更を強行。
以下のメンバーへと変えた。
レイザーチーム
外野・レイザーA
内野・レイザー×7
マッスルチーム
外野・レイザー
内野・政人、ゴンさん、ウボォー、ウォーズマン、レオリオ、キルア、ゴレイヌ
ゼーゼーと荒く息をつきながらキルアはとりあえず平静を取り戻す。
マッスルの中にいるのは嫌だが、さっきよりはマシだ。
本音を言えばメンバーに自分を入れたくなかったが、何故かそれだけは出来なかった。
そんなキルアの、マッスル達にすら容赦なく突っ込みを入れる程に逞しくなった姿を見てミルキとシルバはうんうん、と頷く。
やはりマッスル達に任せて正解だった、と。
その二人の顔面へ、キルアの蹴りが炸裂した。
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