◎教室内グローバリゼーションとどう向き合うか
グローバリゼーションという妖怪が、教室を徘徊している。外国人労働者などの増加とともに、教室内に日本語の分からない子供たちがたたずむ光景は全国各地で見られるようになった。日本はその子供たちをきちんと迎えているのだろうか。否。日本語も分からず、母語も失いかけている子供がいる。義務教育さえも受けられず、社会からこぼれ落ちていく。一方で、帰国した児童・生徒の中にも、日本人としての自己証明を失う者がいる。母語もセカンドランゲージも獲得できず、両方失うダブルリミッテド。その問題に切り込んだ迫真のリポート。もちろん、解決策も提示した。
時事通信社「内外教育」掲載
2010年10月19日付〜11年2月8日付
田熊 美保
OECD教育局教育政策訓練課政策アナリスト
田幡 秀之
内外教育編集部 記者
●A5判・106頁
●発行:2011年5月20日
【目 次】
1.学びを支える
リーマン・ショックで不就学増
高校進学も課題─伊勢崎市と品川区
ノウハウ、人材、教員増なく
散在地域の悩み─千葉県香取市
「すべての子供」に教育への権利保障を
小貫大輔東海大准教授に聞く
2.ダブルリミテッド
経済危機で顕在化
母語も日本語も曖昧
帰国生に一貫指導が奏功
小5で帰国、回復に4年─啓明学園
「時間の問題だけ」と真っ向反論
ミックメーヒル大東文化大教授に聞く
乳幼児期の言語環境が重要
こども園構想で改善を
3.パリからの報告
エビデンスに基づく移民教育政策の策定を
ステップ(1) 政策課題の認識が重要
ネーティブとの学力差縮める二つの要因とは
ステップ(2) 移民の子供の学力に影響する要因の検証・上
家庭の学習環境サポートと言語教育の工夫を
ステップ(2) 移民の子供の学力に影響する要因の検証・下
学校レベル・制度レベル双方で支援が必須
ステップ(3) 検証結果に基づく移民教育政策策定