名古屋−新潟 前半、PKで先制点を決める名古屋・玉田(左)=豊田スタジアムで(今泉慶太撮影)
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名古屋グランパスは、新潟に2−0で快勝。J通算300試合出場を達成したFW玉田圭司(33)が前半13分にリーグ戦3試合連続得点となるPKを決め、勝ち点を11とした。磐田はFW前田遼一(31)らが好機をものにできず0−1で清水に敗れた。また大宮がC大阪を2−1で破って2009年に鹿島が記録した17戦連続無敗のJ1記録に並んだ。
◆名古屋2−0新潟
15年間で300回ピッチに立ち続けても衰えを知らない背番号11のプレーに、誰もが酔いしれた。前半32分、ドリブルで相手ゴール前に侵入したFW玉田が、ひきつけた3人のDFをあざ笑うかのように中央へ振り向きざまの浮かしパス。これにあうんの呼吸で小川が走り込み、田中輝の追加点が生まれた。「あれが自分の持っているもの。あそこで簡単にバックパスをしたら、得点は生まれない」。圧倒的な技術で相手を出し抜く真骨頂とも言えるプレーに、エースは胸を張った。
前半13分には先制のPKをゴールど真ん中に豪快にけり込んだ。33歳の誕生日直後となったJ1通算300試合目で、リーグ3戦連続となる今季3得点目。3が並んだメモリアルゲームできっちり主役になり、「333試合じゃないけどね」と笑った。
「33歳になったけど、他の33歳より筋肉は若い気がする。誰と比べて? オーウェンとか」。今季限りで引退する同い年の元イングランド代表FWを引き合いに出して笑った玉田。若さの秘けつは本人いわく「日ごろの行い」だが、結婚4年目となる夫人の存在が大きい。「食事は毎日気を使ってくれているし、ストレスをためない程度に食べたいものも食べさせてくれる」。しっかりと体調を管理しつつ、好物の甘いものも我慢しすぎない食生活。11日の誕生日にはカロリーの少ない手作りのヨーグルトケーキで祝ってもらった。
実は激痛に耐えていた。前半6分の接触プレーで左足を痛め、試合中に痛み止めの薬を飲むほど。それでも90分間走り抜いた。「家族の前で下手なプレーはできないし、毎試合頑張ることが家族にとってもうれしいことだから」。この日は恒例の左薬指にキスするしぐさだけではなく、3月3日のトークショーでファンの子どもと約束したゴールパフォーマンスも披露。家族同様ファンも大事にする姿勢にプロとしての成熟が表れている。
300試合への感慨はない。「ここで終わる気はまったくないし、1試合でも多く出続けたい気持ちが強いから」。通過点を笑いとばしたエースは、ただ前へ前へと進み続ける。 (宮崎厚志)
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