東日本大震災:リアス・アーク美術館、すさまじい津波被害伝える 震災以来初の全館開館、常設展始まる−−気仙沼 /宮城
毎日新聞 2013年04月04日 地方版
気仙沼市赤岩牧沢のリアス・アーク美術館が3日、震災以来初めての全館オープンにこぎつけた。同時に始まった常設展「東日本大震災の記録と津波の災害史」では、震災直後から被災地の現地調査にあたった同館学芸員が撮影した写真や収集した被災物などから計約500点を展示。すさまじい被害の様子を改めて伝えている。【井田純】
震災時、高台にある同美術館に津波の影響はなかったものの、建物や展示物が地震による大きなダメージを受け、全館休館に追い込まれた。そんな中、同館の学芸員は震災直後から気仙沼市と南三陸町の被災現場での調査活動を続け、写真約3万点、がれきなどの被災物約250点を収集した。佐藤光一館長は「震災の記録と記憶を後世に伝え、地域文化を再生させる一助になればと努めてきた」と話す。
同展では、がれきのひとつひとつを写し出している被災直後の写真の特大パネルや、ひきちぎられた自動車や漁船の一部など津波の威力を物語る被災物そのもののほか、明治三陸大津波(1896年)など過去の大津波の歴史的資料も数多く展示されている。
調査を担当した一人で同館学芸係長の山内宏泰さんは「職員も半数以上が家族や家を失い、精神的にきつい作業だった」と振り返り、「全国の人に見てほしいし、被災地の人にも、改めて今回の震災の何がどう大変だったのかを考えてほしい」と話している。
同館は、一部の企画展を除き今年度内は観覧無料。