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再生エネルギー、課題が山積み

東洋経済オンライン 4月13日(土)11時15分配信

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再生エネルギー、課題が山積み
再生エネルギー、課題が山積み

 太陽光発電はにわか業者も参戦でバブル的な混乱、風力や地熱発電は潜在力を生かせず低調──。これが、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)初年度の総評となるだろう。

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 太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱で発電された電気を国が定めた固定価格で一定期間、電気事業者に調達を義務づけるFITの導入は昨年7月。再エネの普及を促すため、当初3年は発電業者の「利潤」が特に配慮された結果、買い取り価格はコストに比べ高く設定された。

 2012年度の買い取り価格は、大型の太陽光が1キロワット時当たり40円、風力が同22円(共に税抜き、20年固定)など、ドイツの現状の2〜3倍だった(13年度は太陽光が36円に引き下げられた)。

 こうした優遇策で発生したのが、太陽光、とりわけ非住宅での参入ラッシュだ。住宅向けはすでに09年から余剰電力買取制度が始まっていたが、非住宅向けはFITが最初。太陽光は価格で優遇されているうえに、稼働までのリードタイムが2カ月〜1年と他の再エネに比べ短く、参入しやすい。そのため、さまざまな業界からの新規参入が相次いだ。

■ 太陽光の認定は原発5基分

 FIT導入から昨年12月末までに、政府から認定を受けた設備容量は、非住宅の太陽光が385万キロワットと全体の74%を占めた。FIT以前の導入量が約80万キロワットなので、その4倍以上の設備が認定を受けたことになる。件数も3万を超え、1000キロワット以上のメガソーラーも742件に及んだ。3月末には500万キロワットを突破する勢いだ。

 500万キロワットというと原発約5基分となるが、あくまで最高出力であり、夜間や降雨時に発電しない太陽光の平均設備稼働率は約12%にすぎない。それでも急増である。

 「FITの効果は絶大。これまでインセンティブが少なかった非住宅の需要が掘り出され、設備認可や申請数は予測を上回る勢い」と、太陽光発電協会の亀田正明技術部長兼広報部長は話す。同協会では最近、発電システムの施工・設計業者を中心に会員増加が顕著という。

 当然ながら、太陽電池メーカーへの恩恵は大きい。昭和シェル石油傘下のソーラーフロンティアは、昨年までは6〜7割に低迷していた工場稼働率が、今年1月からはフル生産になった。国内パネル価格が海外より4割高で高止まりする中、原材料のバーゲニングパワー拡大もあって採算も急改善。今年1〜3月期は05年の創業以来初の黒字浮上(減価償却後ベース)となったようだ。

 一方、発電業者は新規参入組が多く、現場では混乱も少なくない。「今後は設備認定の申請書類に、土地の借用書を加える必要があるかもしれない」と、資源エネルギー庁の村上敬亮・新エネルギー対策課長は話す。大型設備の認定を受けたが、土地の確保ができておらず、運転開始前にギブアップするケースも出ている。同一の土地を前提に3件の申請が出されたこともある。現状では、こうした場合も3件と認定されるため、「設備認定の数字は非常に波乱含み。どこまで運転開始につながるかは読めない」(村上課長)。実際、FIT導入以降の非住宅の運転開始はまだ20万キロワットにすぎない。

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最終更新:4月13日(土)22時0分

東洋経済オンライン

 

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