「……レオっ」
膝の上で身をよじると、レオが私を見上げるように視線を上げた。
そして、低い声で尋ねる。
レオ「ここで、何してるの?」
「あ……ちょっと、調べものを」
私は頬や首筋が熱く火照るのを感じながら、視線を逸らした。
レオ「……隠してることと、絡んでるよね?」
「…………」
(レオ。本当に自分の誕生日、思い出さないのかな)
(今日は、その前日なのに……)
ゆっくりと視線を戻すと、レオが目を瞬かせる。
レオ「……なに?」
(誕生日は明日だから、それまで黙っていればいいんだよね)
(それに……)
―レオ「舞踏会が終わるまでにしゃべったら、○○ちゃんの負け」―
―レオ「負けた方は勝った方の言うことを一つだけ聞くっていうのは、どう?」―
「…………」
(ここで話したら、負けってことだもんね)
黙ったままでいると、レオがふっと笑みを浮かべ顔を寄せる。
レオ「言わないと、続きしちゃうよ?」
「……っ!」
レオの指先が、私の脚をなぞるように撫でていく。
「や、やだ……」
レオ「…………」
思わず声を上げると、
何かに気づいたレオが突然私の口元を手で覆い、
目を細める。
「……??」
(……レオ?どうしたんだろう)
耳を澄ますと、外から人の声が聞こえてきた。
驚き顔をあげると、レオがささやくように告げる。
レオ「……舞踏会があるからね。他国の要人もたくさんいる」
「…………」
レオの言葉に緊張を覚え、私はゆっくりと息をついていった。
その時、レオの指先が私の腰元を撫でる。
「……っ」
声がこぼれそうになり、私は口元を抑えるレオの手をぎゅっと押した。
そんな私の様子を楽しむように、レオが指先を進めていく。
「ん……」
(声が……)
やがて外から聞こえていた話し声が遠ざかると、
レオがふっと笑って手を離した。
レオ「……いったね」
「……っ…」
そして真っ赤に染まった私の顔を覗きこみ、言う。
レオ「そろそろ戻りなよ、プリンセス。準備して来て」
レオ「舞踏会、楽しみにしてる」
そして、舞踏会の開始時間になり…―。
仕度を終えた私は、差し伸べられたレオの手を取っていた。
レオ「行こうか」
そしてエスコートされるまま、会場へと入っていった…。
レオの手を取りダンスホールへと進むと、私はため息をついた。
レオ「緊張してる?」
「……少し」
素直に頷くと、レオがくすっと笑みをこぼした。
レオ「大丈夫だよ、俺がいるでしょ?」
握った手にぎゅっと力が込められ、私は顔をあげる。
(レオ……)
「うん、ありがとう」
そうしているうちに、会場には音楽が響いてきた。
レオ「踊ってくれますか?○○ちゃん」
音楽に合わせて足を動かしながら、私はレオを見上げた。
(練習したおかげかな、すごく息がぴったり……)
私の視線に気づいたのか、レオが息をつくように笑う。
そして、レオが低く甘い声音でささやいた。
レオ「ねえ、○○ちゃん」
「……え?」
耳に吹きかける吐息に、私は思わず顔を背ける。
レオ「キスしようか」
レオの言葉を理解出来ないまま、動きが泊まり…。
「……!」
「……だ、だめだよ。こんなところで…」
(レオ、何を考えて……)
レオの手が、心なしか強く私の腰元を引き寄せている。
レオ「じゃあ、隠してることしゃべってよ」
言うと、レオが眉を寄せて小さな声で呟いた。
レオ「……何かに巻き込まれたりしてるんじゃない?」
「……?」
(今、何て……)
考えているうちに、レオの顔がゆっくりと近づいてくる。
会場に響く音楽に合わせるように、鼓動が早鐘を打っていた。
「ま、待って」
唇が重なる直前、私は口を開く。
「レオ……お誕生日、おめでとう」
レオ「…………」
その瞬間、音楽はフィナーレを迎え人々が足を止めた。
「忘れてるみたいだったから、隠れてお祝いの準備をして、驚かせたかったの」
レオ「…そっか」
どこかほっとしたように息をつくと、レオが目を細める。
「え……?」
(レオ、もしかしたら何か心配をしてくれていたのかな)
目が合うと、レオがにっこりと微笑んだ。
レオ「何でもない」
舞踏会を終え、私はレオと共に部屋へと戻ってきていた。
レオ「…………」
私が事前に用意していたケーキに、レオが目を瞬かせる。
レオ「……十分、びっくりしたよ」
そして私を見おろすと、少しだけ困ったように笑みを浮かべた。
レオ「敵わないな、○○ちゃんには///」
ケーキを見て目を瞬かせるレオを見上げ、私はそっと告げた。
「おめでとう、レオ」
「それに、パートナーになってくれてありがとう」
すると視線を私へと移し、レオが優しく微笑んでくれる。
レオ「……当たり前だよ」
手を伸ばし、私の髪をさらりと撫でた。
レオ「他のやつには、触れさせたくないからね」
(レオ……)
髪にそっとキスを落とすと、楽しそうに笑う。
レオ「ケーキ、食べてもいい?」
「……うん!」
ケーキを食べることになり、私はレオの姿をじっと見つめていた。
レオが生クリームをたっぷりつけた、いちごを口に運ぶ。
レオ「うん、美味しい」
(本当に嬉しそう。良かった……)
思っていると、レオがふとクリームをすくう手を止めた。
レオ「…………」
少し考えるように黙ると、お皿に残ったクリームを指先につける。
そして軽く腰を上げると、私の頬にその指先で触れた。
「…っ……え?」
頬に触れたクリームの感触に、私は驚き顔を上げる。
するとレオが悪戯っぽい笑みを浮かべて顔を寄せ、私の頬を舐めた。
「……っ…」
レオ「……あの勝負、俺の勝ちだよね」
レオ「俺のお願い、聞いてくれる?」