レオ「俺のお願い、聞いてくれる?」
レオの言葉に、私は約束を思い出す。
―レオ「負けた方は勝った方の言うことを一つだけ聞くっていうのは、どう?」―
(約束、だもんね……)
私は頷きながらも、そっと口を開いた。
「わかった」
「でも……その前に、お祝いさせて」
(せっかく二人きりの誕生日だから、もう少しだけお祝いをしたい……)
レオ「…………」
すると少し考えるように沈黙してから、レオがにっと笑みを浮かべる。
レオ「じゃあ、こうしよう。俺を喜ばせてよ」
「え?」
見上げると、レオが目を細めて言った。
レオ「キスしてくれる?」
レオ「誕生日だし……ね」
「……っ」
(誕生日……だから…)
レオの言葉に頬を赤らめながらも、私は静かに立ち上がる。
椅子の下がる音が、耳に微かに響いた。
やがてレオの隣に立つと手を伸ばし、私はレオの頭を優しく抱きしめる。
レオ「…………」
「……おめでとう、レオ」
レオ「うん。でも……」
レオが腕の中で顔を上げ、わずかに甘えたようにささやいた。
レオ「それだけじゃ、足りないよ」
「…………」
腕の中のレオが顔を起こし、私をじっと見つめている。
「でも、私……」
レオ「上手じゃなくても、いいから」
「……っ…」
レオの言葉に引き寄せられるように、私は少しずつ顔を寄せる。
レオの吐息がかかるとぎゅっと目を閉じ、唇を重ねた。
鼓動が、痛いほどに跳ねる。
レオ「…………///」
顔を離すと、レオがくすっと笑った。
レオ「……○○ちゃんの味がする///」
「そんな……っ…」
思わず声を上げると、レオの手が私のうなじを引き寄せ、
唇をふさぐようなキスをする。
「ん……」
私の唇を軽くかむと、レオがささやいた。
レオ「……次は?」
「え?」
顔をまじまじと見つめると、レオがにっこりと笑みを浮かべる。
レオ「分かるでしょ?」
レオ「俺がいつも○○ちゃんにしてること、代わりにして」
(レオが、いつもしていること……)
私はごくりと喉を鳴らし、レオの耳元に唇を寄せた。
「レオ……」
(いつもレオは、こうやって名前を呼んでくれるから……)
耳元でささやくと、レオが途端に身体を離す。
レオ「……っ///」
椅子がガタンと音をたて、私は驚いて顔を上げた。
(……え?)
見おろすと、レオの頬から首筋までが真っ赤に染まっている。
「レオ……?」
レオ「俺、耳は……///」
気づけばレオは、私がささやいた方の耳を抑え視線を背けていた。
「…………」
(何だか、可愛いな……)
私が笑みを浮かべると、レオが立ち上がって言う。
レオ「俺の負けだよ。もう十分受け取ったから……///」
手を伸ばし、私の身体を引き寄せた。
レオ「後は俺の、好きなようにさせて///」
「あ……」
レオの手がゆっくりとしたに降り、腰元を引き寄せる。
顔を上げると、レオがゆっくりとした速度で顔を傾けた。
「……んっ…」
優しく触れるレオの舌が、私の唇を開く。
熱い吐息が絡まり、私の身体からは力が抜けていった。
レオ「…………」
私の身体を抱えあげると、レオが優しくベッドへと運んでくれた…。
レオ「…………」
私の身体を優しく横たえると、レオがベッドに膝を乗せた。
そして静かにベッドを軋ませると、自分の服に手をかける。
「……っ」
服を脱いだレオの姿を直視出来ず、私は慌てて顔を背けた。
すると気づいたレオが、くすっと笑みをこぼす。
レオ「○○ちゃん……」
私の両肩の脇に手を置くと、レオが口を開いた。
レオ「触ってみて」
「え……っ…」
レオが私の手首を優しく持ち上げ、自分の胸に触れさせる。
「あ……」
レオの心臓の音が速いことに気づき、私は視線を上げた。
レオ「俺も、緊張してる」
(レオも、私と同じくらいドキドキしているんだ……)
レオ「こんな風になるのは、○○ちゃんだけだよ」
呟くと、どこか苦しそうに眉を寄せる。
レオ「……どうにか、なりそうだよ///」
「レオ……」
手首からレオの指先が離れると、
私はそのまま、レオの頬に触れた。
レオ「…………///」
目を細めたレオが、ゆっくりと身体の距離を縮める。
そして唇を重ねると、私はレオの重さを感じながら目を閉じた…。
「ん……っ…」
繰り返されるキスを受けとめ、私はレオの肩に指先を沈める。
甘い声が漏れると同時に、私は息を吸いこんだ。
するとその瞬間…―。
(あ……)
真夜中を告げる鐘の音が、遠く響いてくる。
(レオの、誕生日になったんだ……)
レオ「…………」
するとレオが顔を上げ、吐息混じりに呟いた。
レオ「……誕生日なんて、どうでもいいと思ってた///」
レオ「でも○○ちゃんが祝ってくれるなら、来年も楽しみだよ///」
「……うん」
レオの言葉に、私は小さく頷く。
(来年も……って、思ってくれるんだよね)
(ずっと、一緒にお祝いをしたい)
レオ「ありがとう///」
レオが微笑み、私の額にそっとキスをした。
「……っ…レオ」
涙を滲ませ名前を呼ぶと、レオが私のドレスの紐を解く。
その仕草に背中を震わせ、私はレオにしがみついた。
(お礼を言うのは、私の方なのに)
微かに甘い香りがする唇が、私の身体中をたどる。
「ん……」
私は夜の間中、甘い刺激に身をよじらせながら、
レオの名前を、何度も口にしていった…。
Sweet End