社会・生活 週刊文春 掲載記事
THIS WEEK

自衛隊は「迷惑料」を払え!
与那国町長のトンデモ要求

盗人猛々しい?

「防衛は国が考えることで、知ったことではない」

 そう言い放ったとされるのは、日本最西端の与那国町の外間守吉(ほかま・しゅきち)町長(63)。尖閣諸島まで150キロと対中国最前線の島で進められていたはずの陸上自衛隊の沿岸監視部隊の配備計画が、この町長の“法外な要求”によって暗礁に乗り上げようとしている。

 問題が表面化したのは先月20日のこと。2015年度末までの配備を目指し、駐屯地として島西部にある町有地の取得を予定していた防衛省はこの日、左藤章政務官を派遣。外間町長と協議を行った。

 このときに町長が突如、切り出したのが「自衛隊基地建設にともなう迷惑料」として10億円を要求するというもの。寝耳に水の防衛省は、今年3月末までに予定していた用地取得を延期せざるを得なくなり、幹部はカンカンだ。

「与那国島を含む先島諸島は最前線ながら自衛隊の空白地域のままで、計画に遅れが出るようなことになれば国防上の大問題。だいたい、与那国島への配備は09年に町から要望を受けてのものです。それなのに迷惑料を迫るとはどういうことか。そんな名目に予算を出せるわけがない」

 当の外間町長は、先月28日の町議会で「迷惑料ではなく市町村協力費と言い換えたい」としたが、国に10億円を求める姿勢は崩していない。この町長の暴走に拍車をかけているのが、政府による辺野古の“特別扱い”だという。

「辺野古周辺のように、与那国も10億円ぐらい貰ってもいいじゃないか。自衛隊誘致は過疎化の進む島の振興のためで、我々には国防は遠い話ですよ」(町長に近い町議)

 居直る町長一派を、町役場幹部はこう嘆く。

「町長は『計画に遅れが出るのは防衛省の責任。国防は国が考えることで、知ったことではない』とうそぶいていますが、今年8月の町長選を前に『国からカネを引っ張ってきた』という実績を作りたいだけではないか。『与那国はゆすりたかりだ』と全国の笑いものになってしまう」

 一方、気になるのは、公安関係者のこんな深読みである。

「町長は在学中に左翼活動に加わっていた過去がある。誘致派に担がれて町長になったものの、心情的に自衛隊を受け入れられず、計画を潰そうとしているのではないか」

 忖度(そんたく)さえアホらしいが。

「週刊文春」編集部

※この記事の公開期間は、2016年04月10日までです。

この記事の掲載号

2013年4月18日号
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2013年4月11日 発売 / 定価380円(税込)
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