美羽のにゃんにゃん物語

イケメン王宮×王子様のプロポーズSeason2
次世代を担う異種混合プリンセスブログ……かもしれない(・∀・)


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澄んだ星空が、見渡す限りに広がる冬の夜…―。


私はルイと共に、庭園をゆっくりと歩いていた。

(空気は冷たいけど、気持ちのいい夜だな……)

考えながら歩いていると、風がふわりと髪を揺らす。
その時、低い呼び声が響いてきた。

ルイ「○○」

振り返ると、ルイがふっと目を細めて手を伸ばす。

(え……?)

そして私の髪に触れると、ささやくように口を開いた。

ルイ「髪が」

「あ……風で絡まっちゃったのかな」

ルイの細い指先が、私の髪の絡まりを解いていく。

「ありがとう、ルイ」

ルイ「うん」

私の髪をするりと手のひらに滑らせ、ルイが顔を寄せた。

ルイ「……どういたしまして」

「……っ」

突然のキスに驚き、私は思わず息を呑む。
そしてすぐに、頬を赤く染めた。

(ルイったら……)

髪に触れていた手が、やがて私の背中に回った時…。

ルイ「…………」

ルイが何かに気がついたように、ふと振り返った。

「どうしたの?」

ルイ「……ううん」

しばらくの間後ろを見ていたルイが目を細め、私の身体を引き寄せる。

ルイ「なんでもない」






屋敷に帰ったルイは、静かな廊下に微かな足音を響かせていた。

ルイ「…………」

不意に足を止め、部屋の前へと視線を向ける。
そこには、屋敷の使用人の姿があった。

ルイ「…………」

ルイの眉が、自然と厳しく寄せられていく。
静寂に満たされた空気に、ルイの深いため息が流れていった…。






そして、翌日…―。


いつも通り、ルイにダンスの稽古をしてもらうため、
私はダンスホールを訪れていた。

「……?」

(ルイ、遅いな……どうしたんだろう)

私は不安になり、ルイの姿を探しにホールを出た。






「あ……」

城の中を歩き探していると、私は廊下にその姿を見つける。
こちらに向かい歩いてくるものの、私に気づいた様子はなかった。

「ルイ……?」

思わず名前を呼ぶと、ルイが顔を上げぴたりと足を止める。

ルイ「…………」

そして私の姿を見つけると、低く呟くように告げた。

ルイ「ごめん」

「え……?」

(何で、謝るの……?)

首を傾げるようにして言葉の続きを待つと、ルイが口を開く。

ルイ「ダンスのレッスンは、しばらく休むから」

「……え?」

ルイの言葉に、私は戸惑い目を瞬かせた。

ルイ「先に言わなくて、ごめん」

「…………」

沈黙の後で、私は小さな声で尋ねる。

「なんで、急に……?」

ルイ「…………」

ルイがふと視線を逸らし、微かに眉を寄せた。

「ル……」

黙ったままのルイに、呼びかけようとしたその時…。

???「○○様ー?」

(この声は、ユーリ……?)

ユーリの呼び声に気づき、私はわずかに振り返る。
すると、ルイが口を開いた。

ルイ「じゃあ」

「あ……」

慌てて視線を戻した時には、ルイの姿はすでになく。
振り返ってその後ろ姿を見送りながら、私はため息をついた。

(どうしたんだろう、ルイ)






そして、その夜…―。


(私、何かしちゃったのかな……)

ベッドにうつぶせになり、ルイのことを考えていると、
不意に部屋のドアが叩かれた。

「……はい」

顔を上げ小さな声で返事をすると、静かにドアが開いていく。

「え……」

そこには思いがけず、ルイの姿があった。

ルイ「……○○」

ドアを静かに閉めながら、ルイが私をじっと見つめている。

「……どうしたの?」

(やっぱり、何かあったんだ……)

私はベッドから起き上がり、ルイの元へと歩み寄っていった。
するとルイが、躊躇いながら口を開く。

ルイ「ごめん。本当は……」

そしてルイが、ダンスの稽古を休まなければならない訳を話してくれた。






「そんな……」

ルイの話を聞き、私はわずかに息を呑む。
それは、ルイと私の噂話が城に流れているという話だった。

ルイ「俺も屋敷の人間から聞いて知った」

どこか遠い目をするルイが、私を見おろす。

ルイ「ただの噂だけど、これ以上広がるとやっかいだね」

噂が広がれば、私やルイの立場が政治的に利用されかねないと言う。

(そんな噂があるなんて、初めて知った……)

思わず見つめ返すと、ルイが目を細めた。

ルイ「だからしばらく、距離を置いたほうがいいかも……」

「……うん」

私は静かに頷き、胸の前で手をぎゅっと握る。

(……ルイのためにも、それが一番いい方法なんだよね)

ルイ「…………」

そうしてうつむき考えていると、不意にルイの手が肩に触れた。

(え……?)

気がつくと私の身体は、ルイの腕の中にすっぽりと包まれていた…。
私の身体を抱き寄せ、ルイが深く息をつく。

ルイ「…………」

「……ルイ?」

私はルイの腕の中でそっと、その名前を呼んだ。
すると優しく力を込めながら、ルイが呟く。

ルイ「しばらくの我慢、だから」

(しばらくの……)

私はルイの腕に指先を添え、胸に顔を埋めるようにして頷いた。

「……うん」

(私はルイのことを信じて、噂が消えるまで待つしかないよね……)

ルイ「…………」

ルイは、腕にさらに力を込め痛いほどに私の身体を抱きしめた。






部屋を出ると、ルイはふと顔を上げた。

ルイ「…………」

視線の先には、ジルの姿がある。

ジル「……大丈夫ですか?」

腕を組みルイの様子を窺うジルに、ルイがふっと口元に笑みを滲ませた。

ルイ「……うん」

そして、小さな声でぽつりと呟く。

ルイ「……本当は泣いて『離れるのは嫌だ』って言ってくれないかって、」
ルイ「どこかで期待してたのかも……」

ジル「……?」

声が届かなかったジルが、眉を寄せる。
その様子に目を細め、ルイが足を踏み出した。

ルイ「いや」

そしてジルの横を通り過ぎ、そのまま振り返ることなく去っていった…。






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