美羽のにゃんにゃん物語

イケメン王宮×王子様のプロポーズSeason2
次世代を担う異種混合プリンセスブログ……かもしれない(・∀・)


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そして、ルイとは会えない生活が始まり…―。


数日後、私はプリンセスとしての公務に追われる日々を送っていた。

「…………」

私は書類に目を通す合間、大きくため息をつく。
ルイの姿が脳裏に浮かび、私はまつ毛を伏せた。

(ルイ、今ごろ何をしてるのかな……)

いつの間にかペンの動きは止まっていて、ジルの声が響いてくる。

ジル「……プリンセス?」

「あ……」

ジルの声にはっと顔を上げ、私は慌てて髪を耳にかけた。

「すみません」

(全然集中していなかった……しっかりしないと)

ジル「…………」

再び机に向かいペンを動かし始めた私に、ジルがふぅと息をつく。

ジル「仕方がありませんね」

「え?」

思わず顔を上げると、ジルが私を見おろし告げた。

ジル「休日を差し上げます」

「休日、ですか……?」

尋ね返すと、ジルが私の前の白い書類を取りあげて言う。

ジル「プリンセスが上の空では、敵いませんからね」






そして私はジルに言われるまま、森の中で待っていた。

「…………」

(ジルには、ここにいればわかりますって言われたけど……)

私は不安気に、辺りを見回す。
すると、後ろの茂みがガサリと音をたてた。
茂みを振り返り、私ははっと息を呑んだ。

「ルイ……?」

ルイ「…………」

思わず掠れた声で呼びかけると、目を細めたルイが頷く。

ルイ「うん」
ルイ「……ジルが、手を回してくれたみたいだね」

そして静かに私の前まで歩み寄ると、優しい声音で告げた。

ルイ「久しぶり」

「うん……」

私の頬は嬉しさを隠しきれず、ほんのりと赤く染まっている。

(こんな風に、会うことが出来るなんて……)



そして側にあった切り株に腰かけると、ルイが話しはじめた。

ルイ「もう少し、かかるかもしれない」

「…………」

噂はすでに官僚の重鎮たちの耳にまで届いており、
収拾には、もう少し時間がかかるという。

「そっか……」

(まだ、会えない日々が続くってことだよね……)

ルイの言葉に落ち込みながらも、私は顔を上げた。

(でも私が弱音を言うわけには、いかないよね)

ルイ「…………」

冷たい風が、森の木々を揺らしていく。
ざわめきを耳にすると、私は静かに口を開いた。

「寒いね。もうそろそろ、行かないと……」

(こうしていると、ずっとこのままでいたくなってしまう……)

そうして立ち上がろうとすると、不意にルイが私の手を掴んだ。

ルイ「待って」

「……え?」

じっと見上げられるだけで、私の鼓動は早鐘を打っていた。

ルイ「もう少し……」

ルイの掠れたささやき声が、風に乗り流れていく。
私が小さく頷くと、
ルイが手を引き寄せ、そのまま私の身体を抱きとめた。

「……っ…ルイ?」

抱きすくめる腕の強さに驚き、私は吐息をこぼす。
するとルイが、ゆっくりと私の身体を離しながら口を開いた。

ルイ「……俺の方が堪えられそうもないから///」

そして私の目を見て、ささやく。

ルイ「触りたい///」

「…………」

ルイの言葉に、私は自分の手をゆっくりと持ちあげた。

「……うん」

(私だって……)

ルイの背中に手を回し、そっと抱きしめる。
ルイの肩が微かに揺れる。

ルイ「○○……///」

静寂の森の中を、私とルイの鼓動だけが響いていく。
やがて私を抱きしめるルイが、ゆっくりと顔を傾けた。

(あ……)

唇が重なる予感に、そっとまぶたを閉じていくと…。

ルイ「…………」

茂みの向こうから、遠く人の声が聞こえてきた…。



遠くに人の声を聞き、ルイがそっと顔を上げた。

ルイ「…………」

(もしかして、誰か来る……?)

不安に鼓動が跳ねると、同時にルイが立ち上がる。

ルイ「こっち」

「……!」

手を引かれるまま立ち上がり、私はルイを追って駆け出した。
懸命に足を速めながら、私はルイの名前を呼ぶ。

「ま、待って……ルイ」

木の根に躓きながら、私はルイを見上げた。

(こんな日に限って、走りにくい靴を履いてきてしまったから……)

ルイ「…………」

ルイが足を止めた瞬間、私は急いで靴を脱ぎ去る。

(これで、大丈夫……)

すると突然ルイが私の身体を抱き寄せ、そのまま横抱きにした。

「……っ」

驚くままルイの首元にしがみつき、私は声をあげる。

「こ、これは無理だよ……」

ルイ「……?何が無理なの?」

私の顔を覗きこみ軽く首を傾げると落ちた靴を拾い、
ルイがそのまま森の中を駆けていった。

「…………」

私は首にまわした腕に力を込めながら、ルイを見つめる。

(こんな時に、不謹慎だけど……)

私の鼓動はルイの足音よりも大きく、鳴り響いていた。

(ルイって細く見えるけど、やっぱり男の人なんだ……)






森の奥深くまでやってくると、ルイがようやく足を止めた。

ルイ「……もう大丈夫かな」

大きな木の後ろで私を降ろし、そっと息をつく。

ルイ「もうしばらくしたら、出よう」

「う、うん……ありがとう」

胸の鼓動が収まらないまま、私は顔をうつむかせた。
ルイを見上げると、その首筋に一筋汗が流れていく。

「…………」

ルイ「……○○、どうしたの?」

思わず見惚れていると、ルイが私の顔を覗きこんだ。

「何でもない」

はっと息を呑み、私は慌てて赤く染まった顔を逸らす。

ルイ「…………」

すると赤くなった顔に気づいたのか、
くすっと笑みをこぼしたルイが私の髪に指先を伸ばした。

「……っ」

ルイの手が、優しく髪飾りを直してくれる。

(どうしよう、このまま顔を見られたら気持ちがばれてしまいそう……)

やがて髪からルイの手が離れると、低くどこか甘い声が耳に届いた。

ルイ「ねえ、○○」

その声音に、私は思わず背中を震わせる。
するとからかうように、ルイが口を開いた。

ルイ「……こっち見てよ」






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