第259号 2013年4月8日号
ガンダムとエヴァンゲリオンは、どっちが強いですか？
皆さん入学・進級おめでとう。新学期の『通信』は、大阪府の平成のピカソさんから届いたこの質問で始めよう。
『機動戦士ガンダム』は１９７９年、『新世紀エヴァンゲリオン』は95年にＴＶに初登場し、ともに現在まで人気を博しているシリーズである。
それぞれの主人公機であるＲＸ－78－２ガンダム（以下、ガンダム）と、エヴァンゲリオン初号機（以下、エヴァ）は、どっちが強いのか!? 科学的に考えてみよう。
◆体格差がありすぎ
ガンダムは地球連邦軍のモビルスーツ、エヴァンゲリオンは汎用人型決戦兵器。ともにパイロットが搭乗して操縦するが、そのサイズはあまりに違う。『スーパーロボット画報』（竹書房）によれば、ガンダムは全高18ｍ、自重43・４ｔ。エヴァは全高40ｍ、重量７００ｔ。ガンダムを身長１８０㎝、体重80㎏のラグビー選手にたとえるなら、エヴァは身長４ｍ、体重１・３ｔの超巨漢！ 圧倒的な体格差だが、スピードで翻弄すれば、ガンダムにも勝機はあるはず。両者の運動能力を比べてみよう。
ガンダムの公称出力は１３８０kW。これは、自衛隊の90式戦車を25％も上回る。
エヴァの出力は非公表なので、画面から推測するしかない。第３使徒サキエルとの戦いで、エヴァは水平に身長の10倍ほどジャンプして、サキエルの顔面に膝蹴りを見舞った。ここから算出される出力は４６００万kW。ガンダムの３万４千倍だ！
これは運動能力として、どれほどの差になるのか。体格と出力から計算すれば、ガンダムは時速75㎞で走れるはずだ。対するエヴァは時速１２５０㎞。この汎用人型決戦兵器、デカいうえにメチャクチャ速い。ガンダム、危うし！
◆武器はどちらが上か？
だが、これは単純に運動能力を比較しただけ。劇中では、どちらも強力な武器を装備している。その威力まで含めると、どちらが上なのか？
ガンダムのビームライフルは、ミノフスキー粒子を結合させたメガ粒子を、３段階に加速して撃ち出す。ミノフスキー粒子とは架空の粒子で、ビームサーベルにも使われている。この光の剣は、敵のモビルスーツを溶融させていたから、ライフルのビームも溶融力を持つだろう。エヴァの機体は、未知の生命体から作った人造人間に、金属の装甲を施したもの。ビームライフルが命中すれば、装甲は溶け、内部の人造人間は、重傷を負うに違いない。
対してエヴァのライフルは、画面を見る限り、単に巨大な機関銃のようだ。これは、ガンダムにとって朗報だ。ガンダムはルナ・チタニウム合金で堅固に装甲され、敵のモビルスーツ・ザクのマシンガンをまったく受けつけなかった。ならば、エヴァのマシンガンも……と思ったが、銃弾の重さが半端ではない。機関銃に使われる12・７㎜ＮＡＴＯ弾は、重量42ｇ、初速が秒速９２８ｍ。これをもとに計算すれば、エヴァが携行するにふさわしいマシンガンは、口径28㎝、弾丸重量４６０㎏。こんなモノが秒速９２８ｍで激突したら、ガンダムは壊れなくても、時速70㎞で後方26ｍまでぶっ飛ばされる！
ガンダムとしては、まずエヴァのマシンガンをビームライフルで破壊すべきだろう。そして、自分だけ飛び道具を持つという圧倒的優勢のなか、ビームライフルを撃ちまくる……いや、それでもエヴァが倒れるとは限らない。サキエルとの戦いで、エヴァは勝利を収めたあと、頭部をボタッと地面に落としていた。つまり、頭がチギレていても戦えたわけである。やっぱりエヴァが圧倒的に有利なのか？
◆第３新東京市を破壊せよ！
エヴァの唯一の弱点は、背中に接続したアンビリカルケーブルから電力を供給されていることだ。これが破断すると、最大５分しか戦えない。
ガンダムは、重水素とヘリウム３による核融合を行っている。核融合は燃料の重さに対する効率がよく、右の物質があわせて１㎏あれば、ガンダムは最高出力１３８０kWで５年８ヵ月も活動できる。
ここだ、ガンダムの勝機は！ ビームライフルやビームサーベルで、アンビリカルケーブルをぶった切る！ ところがエヴァの主戦場である第３新東京市には、至るところに予備のケーブルが用意されているという。う～む、どこまでも手の打ちようがない汎用人型決戦兵器だ。
こうなったらガンダムは、エヴァが出現する前に勝負を決するしかない。エヴァは地下に格納されていることなどから、発進まで時間がかかる。計ってみると、地上に出るまで２分47秒。ガンダムはいち早く第３新東京市に乗り込んで、この間にケーブル群を破壊し尽くすのだ。
そしてエヴァが猛り狂う恐怖の５分間を耐え抜けばガンダムの勝ち。ケーブルが残っているうちにエヴァが出てきちゃったら、ガンダムはとっとと逃げましょう。
こうして見ると、サイズ差が一目瞭然！