美羽のにゃんにゃん物語

イケメン王宮×王子様のプロポーズSeason2
次世代を担う異種混合プリンセスブログ……かもしれない(・∀・)


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星が空高く輝く、ある冬の夜…―。


ジル「待ってください、プリンセス」

明日の予定を聞くためにジルの部屋を訪れていた私は、
ジルに呼び止められ、ドアの前で振り返る。

「え?」

振り返ろうとすると、近づいてきたジルが私のドレスのリボンに手をかけた。

「…っ」

思わず顔を赤く染め見上げると、ジルが吹きだすように静かに笑う。

ジル「リボンが、崩れていますよ」

「あ」

ジルの指先が器用にリボンを直す仕草に、私はますます頬を染めた。

(びっくりした。私は、てっきり……)

ジル「……解かれると思いましたか?」

「……っ」

ジルのからかうような声音に、鼓動が跳ねる。
返事も出来ずに顔をうつむかせていると、ジルが耳元に顔を寄せた。

ジル「そのような反応をされると、期待に応えたくなりますね」

「ジ、ジル……っ…」

ジルの唇が、耳の輪郭をたどる。
静寂の中に、ジルが落とすキスの音だけが響いていった。

「ん……」

ドアに背を預けた私の髪を、ジルの指先がかきあげた、その時…。

ジル「…………」

ジルがふと、顔を上げた…。

ジル「…………」

不意に顔を上げたジルが、私の身体を離す。

ジル「少し、こちらに来てください」

(え……?)

視線に促されるまま私が一歩部屋の中へと入ると、
ジルが静かに、ドアを開けた。

ジル「…………」

再び音もたてずドアを閉め切ると、ジルがため息をつく。

(どうしたんだろう……)

不安気に見上げる私に気づき、ジルがふっと笑みを浮かべた。
そのまま手を伸ばし、私の身体をぎゅっと抱き寄せる。

ジル「少し面倒なことになるかもしれませんね」

ジルの呟きが、部屋に低く響いていった。






そして数日後の朝、私はユーリから驚くような話を聞いていた。

「え!」

ユーリの話によると、ジルが審問にかけられることになったという。

ユーリ「プリンセスとの関係を疑われているみたい」

「そんな……」

(私のせいだ……)

責任を感じ顔をうつむかせていると、教育係の代理としてレオが現れた。

レオ「そんな不安そうな顔しても、俺はなぐさめられないよ?」

からかうような笑みを浮かべレオが告げた時、部屋のドアが叩かれた…。



部屋のドアが叩かれ、見えたその顔に私は思わず声を上げた。

「ジル……!?」

ジル「…………」

黙ったまま部屋に入ってきたジルが、私からレオへ視線を移す。

レオ「災難だったねー」

ジル「ええ」

笑みを浮かべるレオが、ジルとすれ違うように部屋を出ていった。
やがて部屋にジルと二人きりで残されると、私はそっと顔を上げる。

「ジル、すみません。私は……」

小さな声をあげる私の元に近づき、ジルがふっと目を細めた。

ジル「……そのような表情をしているのは、私のせいですね」

「え?」

ジルの指先が、ゆっくりと私の前髪をなぞり眉を露わにする。

ジル「眉が下がっていますよ」

「……っ」

慌てて眉を隠すように手を上げると、ジルが楽しそうに笑った。

ジル「本当に可愛らしい反応をしますね、○○は」

「……ジル、からかわないでください」

掠れた声で告げ見上げると、ジルが口元に笑みを浮かべて言う。

ジル「今のあなたをだれにも見せたくないと思うのは、私のわがままでしょうか?」

「ジル……?」

見上げると、ジルが優しく私の背中を抱き寄せた。
耳元に唇を寄せると、そっとささやく。

ジル「とても寂しそうで、抱きしめたくなりますからね///」

「……っ」

そうして私を抱き寄せる手に力を込めると、ジルがため息をついた。

ジル「私は少し離れますが……他の男に目移りなどしないでくださいね」

「あ、当たり前です」

ジルの言葉を聞き、私は慌てて口を開く。

「私には……」

かあっと頬を染めると、ジルが私の顔を覗きこみ目を細めた。

ジル「…………」

すると私の言葉を遮るように頬に触れるだけのキスを落とすと、言う。

ジル「その続きは、また今度聞かせてください」

「ジル……?」

そっと私の身体を放し、ジルが大きく息をついた。

ジル「片付けなくてはいけないことがたくさんありますからね」
ジル「……私がいない間もしっかり務めを果たしてください。プリンセス」

私は笑みを浮かべるジルを見上げ、しっかりと頷いて見せる。

(ジルに迷惑をかけないように、私も頑張らなくちゃ……)






翌日から、ジルが側にいないままプリンセスとしての生活が始まった。

「…………」

机の上に積まれた書類を前に、私はため息をつく。

(やっぱり、ジルがいないと寂しい。でも……)

私は改めてペンを握り直し、目の前の紙に視線を落とした。
そして、昨日のジルの言葉を思い出す。



―ジル「私がいない間もしっかり務めを果たしてください。プリンセス」―



(約束だから。私はプリンセスとして、立派に務めを果たさなくちゃ)

そうして公務に没頭していると、レオがやって来た。

レオ「ジルも審問の席で、頑張ってるみたいだよ」
レオ「怖いくらいにね」

にっこりと微笑むレオが、ジルの現状を教えてくれる。

レオ「この調子じゃ、審問もすぐに終わりそうだよ」

「そっか……」

(良かった……)

心からほっとしている私の前に、レオが何かを差し出した。

「……手紙?」

差し出された封筒を受け取り見上げると、レオが真面目な視線を向ける。
それはネープルスからの、公式な招待状だった。

レオ「ウィスタリアとしては招待を受けたほうがいいかもね」

農業が盛んな隣国ネープルスとは、浅からぬ繋がりがある。

(こんな時期に……)

思わず小さく息を呑むと、レオが尋ねる。

レオ「どうする?行く?」






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