美羽のにゃんにゃん物語

イケメン王宮×王子様のプロポーズSeason2
次世代を担う異種混合プリンセスブログ……かもしれない(・∀・)


テーマ:










美羽のブログ-57788.jpg



レオ「どうする?行く?」

レオに尋ねられ、私は手の中の招待状を改めて見おろす。

(ジルがいないことは少し不安だけど、私は……)

私はレオを見上げ、ゆっくりと頷いて見せた。

「行きます」






ネープルスに行くことを決めた私は、準備に追われていた。

(レオも側にいてくれると、わかってる。でも……)
(ジルがいなくて、私は本当に大丈夫なのかな)

静けさの中で、部屋のドアが叩かれる。

(もしかして……)

微かな予感に顔を上げると、そこにはやはりジルの姿があった。

「ジル……」

ジル「…………」

名前を呼ぶと、ジルが人差し指をたてて静かにという合図をする。
そして近づくと、声をひそめて言った。

ジル「レオから聞きました。ネープルスに行くらしいですね」

「……はい」

頷くと、ジルがふっと目を細める。

ジル「私はついていけそうにありませんね」
ジル「ですが……」

ジルの手が、優しく私の髪に触れた。

「……っ」

さらりとひと房手のひらに取ると、私の目をのぞきこむ。

ジル「心配いりません。あなたなら、大丈夫ですよ」

「…………」

ジルの言葉に、鼓動が大きく跳ねる。
その時、私は初めて気がついた。

(私はきっと、その言葉を聞きたかったんだ)
(ジルに、『大丈夫』だって)

胸をもやのように覆っていた不安が拭われていくのを感じ、私は息をつく。

(もう、大丈夫だけど……)

思いながらも私は、そっとジルの服の袖を引いた。

ジル「…………」

気づいたジルが、私の身体をぎゅっと抱きしめてくれる。

「頑張ってきますね、ジル」

肩に額をあてるようにして呟くと、ジルがわずかに笑みを浮かべた。






○○の部屋を出ると、ジルは向かいに立つレオに視線を寄せた。
やがてレオが笑みを滲ませて言う。

レオ「本当は、何をしてでもついていきたいって言えばいいじゃない」

ジル「…………」

するとジルが視線をそらし、わずかに目を細めた。

ジル「私がいなくても、大丈夫でしょう」
ジル「……○○は私よりずっと、しっかりしていますよ」






ネープルスを訪れた私は公務を終え、あてがわれた部屋へと戻っていた。

「…………」

無言のままソファに腰かけると、
明日の予定を読み上げるレオが、私を見おろして言う。

レオ「明日は舞踏会だよ」

「舞踏会……」

呟きながら、私はジルと交わした会話を思い出していった。



―ジル「心配いりません。あなたなら、大丈夫ですよ」―



(ジルのためにも、頑張りたい……)

私は顔を上げ、レオを見上げた。

「わかりました」

はっきりとした声で頷くと、レオがふっと目を細める。

レオ「その調子なら心配いらないね」

やがてドアに手をかけると、レオが小さく振り返った。

レオ「……ジルもウィスタリアで頑張ってるみたいだよ」

「…………」

ドアが閉まると、私は深く息をつく。

(正式に相手を選んでいない今、ジルと一緒に過ごすためには、)
(私はしっかりとしたプリンセスでいなくちゃいけない)

私は立ち上がり、窓の外の星空を見上げた。






そして、舞踏会当日…―。


私はウィスタリアのプリンセスとしての支度をととのえ、
ネープルス国王の前で挨拶をしていた。

ドレスの裾を持ち静かに膝を折ると、国王が気づいたように声をあげる。

国王「……ん?いつもの側近がいないようだな」

「え?」

思わず顔をあげ、私は国王の顔を見た。

(もしかして、ジルのことかな……?)

ひげを撫でるネープルス国王の視線に、鼓動が跳ねる。
私はわずかな動揺を隠すように視線を落とし、告げた。

「……彼は今、自国から私を支えてくれています」

国王「それは、随分遠いな」

からかうような国王の言葉に、私はジルの姿を思い出す。

「……気持ちは、誰よりも近くにいますから」

国王「ほう……なるほどな」

にっこりと微笑む国王が、最後に告げた。

国王「では、楽しんでいくといい。ウィスタリアのプリンセス」






曲が流れるホールを抜け、私はバルコニーへと出ていた。

「…………」

ぼんやりと外を眺め、息をつく。

(ウィスタリアは、あっちかな……)

そして視線を送ろうと身を乗り出した時、
バルコニーの下に見える、ある人の姿に気がついた。

「え……」

(ジル!?まさか……)

ジル「…………」






バルコニーの下にジルの姿を見つけた私は、慌てて庭へと降りてきていた。

「……っ」

乱れた息を整え、私はそっと声をかける。

「……ジル?」

ジル「…………」

すると笑みを浮かべたジルが、近づき私の耳に触れた。

ジル「やはり、こちらの方がよく似合っていますよ」

ジルの指先が、私の耳のピアスをもてあそんでいる。

(これは、ジルに褒めてもらったピアス……)



……



「……うーん」

ジル「まだ悩んでいるのですか?」

後ろから覗き込まれ、私の鼓動が跳ねる。

ジル「……こちらの方が、似合いますよ」

ジルが鏡台の引き出しの中から、買ったばかりのピアスを出した。

「もったいなくてまだつけていなかったんです。何で知っていたんですか?」

尋ねると、ジルがくすっと喉をならして笑う。

ジル「……あなたのことなら、何でも知っていますよ」
ジル「買ったばかりの装飾品は、すぐにここにしまうでしょう?」



……



「どうして、ここに……」

そっと見上げると、ジルが告げる。

ジル「迎えにきましたよ」

そして耳元に触れていた指先に力がこめられ、
静かに唇が、重なった…―。






PR

気になるキーワード