美羽のにゃんにゃん物語

イケメン王宮×王子様のプロポーズSeason2
次世代を担う異種混合プリンセスブログ……かもしれない(・∀・)


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ジル「迎えにきましたよ」

静かに重なった唇が、ゆっくりと離れていく。
吐息が吹きかかる距離で、ジルが告げた。

ジル「……審問は無事に終わりました。頭の固い官僚たちを納得させるのに時間はかかりましたが…」
ジル「これでようやく、元に戻れます」

(元通り……)

その言葉に、私の胸が微かに痛む。

(私たちが正式に認められたわけではないんだよね)
(ジルは、私の教育係なんだから……)

当たり前のことに気づき、私はジルを見上げた。

「ありがとうございます、ジル」

(離れなくてはいけないと、分かっているのに……)

ジル「…………」

私の視線に気づき、ジルがふっと目を細める。
そしてゆっくりと、私の頬に手を添えた。

ジル「今は舞踏会に夢中で、誰も私たちのことなど見ていません」
ジル「もう少しだけ……こうしていてくださいますか?」

「……っ」

ジルの甘い願いに、私の鼓動が高鳴っていく。

「はい」

私は静かに頷くと、舞踏会の曲を聞きながら目を閉じていった。






それから舞踏会を抜けだし部屋に戻ると、私は振り返る。

「ジル、今夜はゆっくり休んで……」

ジル「…………」

するとその言葉を遮るように、ジルが私の腰を引き寄せた…。



部屋に戻った途端に抱き寄せられ、
私は声を落としたまま名前を呼んだ。

「ジル……」

ジル「…………」

するとジルが、顔を肩口にうずめたまま言う。

ジル「わかっていますよ」
ジル「ネープルスで、これ以上あなたに触れるような馬鹿な真似はしません」

低く響くジルの呟きに、私は微かに息を呑んだ。

ジル「ですが……あなたの顔を見たら、急に眠くなりました」

「え?」



一緒に眠ることになり、私はベッドの上、ジルの隣に潜り込んでいった。

(緊張して、眠れない……)

考えながら寝がえりをうつと、
ジルの綺麗な寝顔が、窓から差し込む月明かりに照らされている。

「…………」

その寝顔に息をつき、私はそっと身体を起こした。
そして、その額に静かにキスを落とす。

「ありがとうございました、ジル」

再びお礼の言葉を口にすると、私はシーツにもぐりこみ、目を閉じた。






○○が寝息を立て始めたころ、ジルが一人ベッドの上で身体を起こしていた。
優しく○○を見おろし、その髪を撫でる。

ジル「困りましたね……///」
ジル「いつか堂々と触れられる日が来てほしいと、願ってしまいます……///」

ジルの呟きは、夜の闇に溶けていった…。






翌朝、私はドアが叩かれる音に目を覚ました。

「……っ」

隣で眠るジルの姿に、鼓動が跳ねる。

(もしも、こんな所を見られてしまったら……)

慌ててベッドから飛び起きると、私はドアを小さく開いた。

「レオ……」

レオ「おはよう……どうしたの?○○ちゃん」

廊下に立つレオが、目を瞬かせている。
答えようと口を開きかけた瞬間、ドアが大きく開かれた。

ジル「もう出発の時間ですか?レオ」

「……っ」

後ろから突然に現れたジルの姿に、私は驚き振り返る。

レオ「そうだよ、支度してね」

全てわかっているようににっこりと微笑むレオが、去り際に言った。

レオ「よく眠れたみたいで、良かったね」

ジル「……おかげ様で」

腕を組むジルが目を細め、後ろ手に手を振るレオを見ている。

(レオは全部知っているのかな…それとも)

考えていると、ジルがゆっくりとドアを閉めた。

ジル「何をぼーっとしているのですか。早く仕度をしてください」

ジルの言葉に、私ははっと顔を上げる。

(いつもの、ジルだ)

見上げると、ジルがふっと笑みを浮かべた。

ジル「プリンセス」






そしてネープルスからの帰り道、
私たちは途中にある湖に立ち寄っていた。

「綺麗……鏡みたいですね」

ジル「ええ……」

新しいブーツに、わずかにその透明な水がかかる。
気を使ってくれたのか、レオは馬車近くで待っていてくれていた。

「少し、散歩してもいいですか?」

ジル「もちろん」

そうして私は、ジルの少し前を歩き始める。
湖面を揺らす風が、私の髪をわずかに浮かせた。

ジル「…………」

静寂の中、やがてジルがぽつりと呟く。

ジル「今回のことで反省しました。もう少し、考えられたでしょうに」

「え……?」

(今、よく聞こえなかったけど……何て言ったんだろう)

私は振り返り、ジルの顔を見上げた。

「ジル、今なんて……」

わずかに眉を寄せるジルが、私の言葉に表情を緩める。
そしてそっと近づくと、私の肩を抱き寄せた。

ジル「何でもありませんよ」
ジル「あなたとこうして過ごせて、幸せだと言ったんです」

(ジル……)

私はジルの背中に手を回し、ぎゅっと抱きつく。

ジル「あなたはずっと、そのままでいてください」

「……?」

ジルの言葉を不思議に思いながらも、私は背中に添えた指先に力を込めた。

「はい……」






そして私がお城へと向かう馬車に乗り込むと、
ジルは行きと同じように、馬で一足先に帰路についていた。

「…………」

(ジル、無事にお城に着いたかな)

黙ったまま外を眺めていると、同乗するレオが呟くように口にする。

レオ「そういえば……今日はバレンタインだって、知ってた?」

「あ……」

私は呟き、レオの顔を見上げる。

レオ「その顔は、忘れてたって顔だね」

面白そうに言うレオが、窓枠に頬杖をついた。

レオ「今からでも、間に合うんじゃないかな」

レオの言葉に、私はジルとの会話を思い出す。



―ジル「あなたとこうして過ごせて、幸せだと言ったんです」―

―ジル「あなたはずっと、そのままでいてください」―



「うん。ありがとう、レオ」

(バレンタインは想いを伝える日だから……)
(私もジルの想いに、応えたい)






選択肢


彼のもとへ行く→プレミア

部屋で待つ→スイート






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