美羽のにゃんにゃん物語

イケメン王宮×王子様のプロポーズSeason2
次世代を担う異種混合プリンセスブログ……かもしれない(・∀・)


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そして、審問が終わる日…―。
部屋を訪れたユーリが、私にこっそりと教えてくれた。

ユーリ「レオ様の審問、終わったみたいだよ」

「え……」

ユーリが語ってくれた審問の内容は、
アロイス公爵夫人が、レオのことを気にいっていたというものだった。

ユーリ「レオ様も、とんだ災難だったみたいだね」

「…………」

ユーリの話に頷きながらも、私は思う。

(でも私には、アロイス公爵夫人の気持ちもすごく良くわかる)
(綺麗な人や、性格の良い方もたくさんいるのに……)
(レオは、何で私の側にいてくれるんだろう)






そして部屋を出ると、私は中庭へと足を向けた。
射しこむ日射しを温かく感じながら空を見上げていると…。

???「○○ちゃん」

後ろから名前を呼ばれ、私は振り返る。

「レオ?」

(あれ?)
(ユーリの話によると、レオは今日一日部屋を出ることが出来ないって……)

「どうして……?」

目を瞬かせながら見上げると、レオが微笑んで見せた。

レオ「内緒で出て来たんだよ」

「そんな。もし見つかったら……」

(外出禁止を破ったりしたら、レオが罰せられてしまうんじゃ……)

慌てて言うと、近づいてきたレオが唇に人差し指を立てた。

「……っ」

静かにという仕草に、私は唇を結ぶ。

レオ「だから、一緒に逃げようか」

「えっ」

(逃げるって……まさか)

レオが私の手を取り、にっこりと笑みを浮かべた。
触れたその感触にびくりと身体を震わせ、私は顔を上げる。

レオ「せっかく今日は恋人の日なんだから、デートしようってこと」

「恋人の、日……」

レオの言葉に、私ははっと息を呑んだ。

(そっか、今日はバレンタインデーなんだ)
(だったら、なおさら……)

私は静かに、首を横に振った。

「……やっぱり、だめだよ」

レオ「…………」

するとレオが少しだけ強引に、私の手を引く。

レオ「どうして?」

間近に迫ったレオが、吐息が吹きかかるほどの距離で尋ねた。
私はごくりと息を呑みながらも、レオを見つめ返す。

「それは……」

レオに尋ねられ、私は視線を伏せて考える。

(誰かに見つかったりしたら、レオが責められるんじゃないかという不安もある…)
(でも、今はそれ以外にも……)

「もしかしたら、レオと私が一緒にいる姿を見て、」
「悲しむ人がいるかもしれないから……」

レオ「…………」

何かを察したように目を細めたレオが、ふっと笑みを浮かべて呟く。

レオ「優しいね。でも……」

「え?」

呟きに顔を上げると、レオの指先が、私の頬に触れた。

レオ「○○ちゃん」

「っ……」

私は驚きに目を瞬かせ、レオを見上げる。
そして顔を傾けるレオの様子に気づき、私は慌ててその胸を押した。

「待って、レオ」

すると私の手をつかみ、レオがささやくように言った。

レオ「だめだよ」

唇が触れそうなほどの距離に近づき、レオが甘い吐息を吹きかける。

レオ「ちゃんと、俺のことを見てて」

「…レ…っ…」

そして私の返事も待たないまま、唇を重ねた。

「ん……」

(いけないことだって、分かっているのにどうして……)
(これ以上、拒めないんだろう)

深くなる口づけを受け止めながら私は、レオの腕に指先をのせた…。



重なっていた唇が音もなく離れると、レオがすぐに私の手を引いた。

レオ「行こう」

(あ……)

「待って。準備だけしていきたいの」

レオ「……準備?」

振り返ったレオが、わずかに眉を寄せ首を傾げた。






城下を見おろす高台に着くと、レオが不意に私の手元に視線を落とす。

レオ「その傘って……」

レオの言葉に、私は閉じた日傘を持ちあげて見せた。

「顔が隠せるかもしれないと思って、持ってきたの」

(もしも城の誰かを見かけても、大丈夫なように)

レオ「…………」

するとレオが、ふっと笑みを浮かべて言う。

レオ「……俺は、○○ちゃんのことを隠すつもりなんてないよ」

レオの言葉に、鼓動が小さく跳ねた。

レオ「○○ちゃんは、見えない誰かを気にしてるみたいだけど」

レオが目を細め、呟く。

レオ「……俺のことは、悲しませていいの?」
レオ「俺にはもう○○ちゃんしかいないんだから、」
レオ「それ以上拒絶されると、傷ついちゃうよ」

「あ……」

レオの言葉に、私は傘をぎゅっと握りしめた。

(確かにその通りだ……)
(人の目ばかり気にしていて、レオのことを考えていなかったのかもしれない)

私は顔を上げ、レオを見つめる。

「ごめんなさい、レオ」

レオ「……うん」

ふっと笑みを浮かべたレオが近付き、傘を握る私の手に触れた。

レオ「傘は、閉じたままでいてね」

嬉しそうに告げると私の手を持ちあげ、音をたててキスをした。






デートを終え城へと戻った私は、キッチンに立っていた。

(レオには、待ってもらうように言ってあるから……早くしないと)

城下でこっそりと買ったチョコを取り出し、私は顔を上げる。

「…………」

(今日は、好きな人に想いを伝える日だから……)
(私はきっと最初から、自分の気持ちを伝えなくちゃいけなかったんだ)

そして私はレオのことを想いながら、甘いチョコレートを作り始めた。
この時はまさかこのチョコを受け取ったレオに、
あんなことをお願いされるとは、この時の私は思ってもいなかった…。






選択肢


彼のもとへ行く→プレミア

部屋で待つ→スイート






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