作り終えたチョコを手に、私は部屋のベッドに腰かけていた。
(どうしよう。今日レオの部屋に行ったことがバレたら、)
(レオに迷惑がかかるかもしれないな……)
考えているうちに、ドアが叩かれる。
そして、静かに顔を出したのは…―。
「レオ……!」
レオ「こんばんは、○○ちゃん」
現れたレオの姿に驚き声を上げると、
レオが笑みを浮かべたまま、ゆっくりとドアを閉めた。
そして私の手元を見おろすと、レオが呟くように尋ねる。
レオ「ところで……そのチョコ、誰にあげるの?」
「え……?」
レオ「…………」
どこか不安そうな視線を受け止め、私はわずかに目を瞬かせた。
(私がチョコを渡す相手は、レオに決まってるのに……)
「レオでも、不安になるんだね」
思わず口にすると、レオがふっと吹きだすように笑った。
レオ「当たり前だよ」
手を伸ばすと、レオが私の腰元に手を置く。
そしてそっと、抱き寄せた。
レオ「○○ちゃんのことになると俺は、余裕ないんだから///」
「……レオ?」
名前を呼ぶと腰元を抱き寄せ、レオが私の耳元でささやいた。
レオ「……どうしたら俺だけのものになるか、いつも考えてる///」
「………」
レオと私の身体の間に挟まれたチョコを見おろし、私はそっと息をつく。
(レオも私と同じ気持ちだったんだ……)
(私もレオの隣にいるにはどうしたらいいか、いつも考えてるから)
やがて身体が離れると、私はそっとチョコを差し出した。
「レオのために作ったチョコなの……受け取ってくれる?」
黙ったまま受け取ったレオが、ふっと目を細める。
そしてすぐに包みを開くと、中身を一つ口に入れた。
レオ「うん。甘いね」
いつもよりも無垢に見えるレオの微笑みに、鼓動が跳ねる。
思わず赤く染まった顔をうつむかせると、
レオの指先についたチョコに気づいた。
(もしかしてさっき、溶けちゃったのかな……)
すると気づいたレオが指先を持ちあげ、笑みを浮かべる。
レオ「あーあ、手についちゃった」
「今、拭くものを…っ…」
言いかけた唇に、微かにチョコが香るレオの指先が触れた…。
チョコのついた指先で私の唇に触れ、レオが目を細める。
「……っ」
甘い香りに驚き、私は鼓動を跳ねさせながらレオを見上げた。
(これって……)
知らずに頬が赤く染まると、レオがくすっと笑みをこぼす。
レオ「甘いよ?舐めてみたら?」
「…………」
レオの指先にゆっくりと力が込められ、私の唇に隙間を作っていく。
その隙間から差し込まれた指先に、私の舌が触れた。
(本当に、甘い……)
レオ「…………///」
私が思わず吐息をこぼすと、レオが今度は強く唇を押す。
「…っ…レオ?」
レオが顔を傾け、何の予告もなく突然に唇を重ねた。
「…んっ……」
途端に舌を絡め取られ、私は声を上げる。
こらえきれない熱い吐息が、甘く響いていった。
(もう、息が出来ない……)
激しいキスが繰り返され、音をたてて唇が離れる。
レオの深い息が、私の唇にかかった。
レオ「どうしてこんなに夢中になるのかな///」
そして、どこか面白そうに呟く。
レオ「……溺れてるって、こういうことを言うんだろうね///」
「レオ……?」
先程まで繰り返されていた深いキスのせいで、身体に力が入らない。
レオの胸に顔をうずめ息をつくと、その腕が私の身体を抱きあげた。
「……っ」
そのまま私の身体をベッドに降ろすと、レオが顔の横に手をつく。
そして覆いかぶさるようにして、ついばむキスをした。
「ん…っ…」
優しいキスを受け止めながら、
私はレオの手が胸元へと降りていくのを感じる。
やがて顔を寄せたまま、レオが低い声でささやいた。
レオ「全部食べたい。いい……?///」
その息はほのかにチョコの香り。限りなく甘い…。
「あ……」
私はぴくりと指先を震わせた後で、掠れた声を上げた。
「うん……」
(渡したチョコも、私自身も……レオのものだから)
レオ「…………///」
笑みをふっと浮かべレオが指先を腰元のリボンへと降ろしていく。
レオ「こっち見て、○○ちゃん///」
そしてレオの指先に翻弄されるまま、夜が過ぎていった…。
そして、翌朝…―。
「ん…―」
カーテンの隙間から差し込む朝陽に目を瞬かせ、私は目を覚ました。
(レオは……)
ゆっくりと視線を上げると、
レオが上着を身につけないままベッドに腰かけていた。
レオ「おはよう、○○ちゃん」
その手元には、昨夜渡したチョコがある。
「あ……」
見ると、軽く溶けて形を変えてしまっていた。
「レオ。……あの、新しいものを作って来るよ」
思わず口にすると、レオが笑い声をあげて言う。
レオ「このままでいいよ、味は変わらないんだから」
そしてそのまま後ろに重心をずらし、振り返るように唇を重ねた。
「……っ」
レオ「……一番、好きな味だよ」
唇が離れる直前、レオがぺろりと私の唇を舐める。
その仕草に、背中が震えてしまった。
レオ「……へえ」
私の様子に目を細め、レオが面白そうに言う。
「レオ、もう朝だよ……やめ…」
レオ「無理だよ」
ベッドを軋ませ近づいてきたレオが、
レオを阻もうとする私の手首を優しく取った。
レオ「こんな楽しいこと、やめられない///」
「……んっ…っ」
レオのかむようなキスを首筋に感じながら、
私はただ目を閉じ、レオの背中にぎゅっと抱きつくしかなかった…。
Sweet End