美羽のにゃんにゃん物語

イケメン王宮×王子様のプロポーズSeason2
次世代を担う異種混合プリンセスブログ……かもしれない(・∀・)


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音楽会が催される日まで、あとわずかとなったある日…―。

公務の合間に立ちよった森の中で、私は手の中のフルートを見おろしていた。


(なかなか上手く吹けないな……)


考えながらため息をついていると、茂みが音をたてて揺れる。


「……!」


そこに現れたのは、眼鏡をかけた男の人だった。


(この方は……?)


身なりから、高い身分の方だということがわかる。


???「……あまり綺麗な音ではありませんね」


「す、すみません」


眼鏡を指で持ち上げ、男の人が視線を寄せた。


(もしかして、怒ってらっしゃるのかな)


そっと窺うと、男の人が口を開いた。


???「もう少し優しく、吹きかけるように」


「え?」


思いがけない言葉に顔をあげると、男が眉を寄せる。


???「早く」


「あ、はい……!」







そして練習を終え、私の演奏もようやく形になってきていた。


(良かった……)


「ありがとうございました」


???「…………」


お礼を告げ顔を上げると、男の人が眼鏡に手をかける。


???「全く、無駄な時間を過ごしました。ですが……」


眼鏡のずれを直すと、男の人が背を向けた。


???「ようやく、聞ける音になってきたようですね」


「あ、あの……」


私の呼びかけに振り返ることなく、男の人は去っていってしまう。


「…………」


(お名前も聞けなかったけど……)

(言葉はぶっきらぼうでも、教え方はずっと紳士的だった)

(お会い出来て、良かった……)







その頃、その男…アルバートはゼノの元へと戻っていた。


ゼノ「何かあったのか?」


アルバート「いえ」


眼鏡のずれをなおし、アルバートが答える。


アルバート「何も」


その唇はわずかに、綻んでいた。




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